「トドカナイ」のヒロインの片思いの相手、春斗。その春斗視点の話が、この「見守る」です。「トドカナイ」を読んでから、これを読むと、もう、もう、切なくってたまらなくなります。でも、このショートだけでも、独立して読む事は可能です。死別を経験し。それを支える親友がいて……主人公と、親友・蒼汰の尊い友情にも、胸を打たれます。拝読し思うのは、主人公の春斗は、かっこよくって魅力的だな、です。強くあろうとして、弱いところもあって。彼がまわりから愛される人なのも納得です。みずみずしい青春群像劇です。
恋愛についての連作の、ひとつのお話です。でもわたしには、ちがう色で見えてしまいます。失う、ってそんなに簡単なことじゃない。泣き叫んで、ことばを並べて、吐き出して。わたしももちろん、それを経ました。でも、ほんとうに絶対に絶対に、ぜったいに失ってはならないものを送ったとき。わたしは、ずっと作業をしていました。いっこの作業を、ずっと。ずっと。そのことを、このお話で思い出しました。わたしも見守る。あのこを。
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