第25話 最後の世代になりたい
一人っ子政策を緩和したが出生率に全く効果はない。中国の経済成長率が大きく鈍化した今、子育てコストの高さと経済的負担が若者の結婚・出産の意欲を萎えさせている。失業率悪化に歯止めが聞かず、低賃金の就労もままならない状態では自分一人が生きていくのにも苦難な状態だ。ある若者は「最後の世代になりたい」と語るほど未来に希望を見い出せない。仮に結婚・出産に至って子供を大学に通わせても卒業後、失業で子育てに頑張る意欲さへ失せてしまっている。また、男の子が生まれれば、中国の慣習で結婚・家の購入と費用が嵩む未来が待っている。出産を控えた若夫婦の妻に突然夫の勤め先から電話があり「明日から出勤しなくていい」と連絡があった。オーナーが変わって大リストラが始まり、クレジットやネットローンで生活しなければならなく、預金もない。無力感から中絶する者もいる。医療や老後を考えると希望が持てない。結婚をせず、子供を持たず、家を買わず、車を買わず、消費を如何に抑えるかしか考えられないと若者は涙する。一部の特権階級でも下層の部分ではその傾向が顕著に表れている。
中国での預金とも言える不動産投資は泥沼に入り込み、ローンを払っても家は完成しない。また、価格は暴落し、すべてを失う危機感さへ身近に迫ってきている恐怖が付きまとう。一発逆転を狙って新たに借金して株式投資に転じても国の行き当たりばったりの経済政策で株価は乱高下し、更なる借金が重くのしかかる。
外資が中国から逃げ出し、就職先が激減している。若者の親でさへ「私が病気になったら治療はしない。大病を患っても治療しなくていい。亡くなったらコツバイは捨ててくれ。自分の人生を楽しめ。人生なんてそんなもの」と言い放つ有様。若者の80%が子供を作る事は生活水準を大きく下げると考え、どんどん結婚・出産に消極的になっている。子供が減れば、一人単価が高くなる。今の中国では幼稚園の費用が大学の学費を上回ることも珍しくなくなっている。
中国国務院事務庁は13項目の出産支援を発表するが、実際には形式的なものであり、実際には政府に金がなく費用は負担されないポンジ・スキームのようなものだとの見方が侵透している。民間企業も同じだ。子育て支援の政策は、国・地方が借金まみれで民間企業が負担させられることも少なくない。企業は出産適齢期の女性社員を無駄な出費の予防策として解雇することも珍しくない。企業面接で「何年も妊娠しないと約束するように」と約束されることも増え、女性の不採用にも繋がっている。中国の女性は結婚相手を見つけるより、就職先を見つける方が難しいというのが今の中国の実態だ。いまや、北京や上海も例外ではなくなってきている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます