第14話 冒険者ギルドの光の翼、黄昏の時、闇夜の剣
領都ラーズ 冒険者ギルド
「お前たちに集まってもらったのはお前たちなら信頼できると思ったからだ。」とスキンヘッドのちょっと恐い親父イーベンが言う。
「それはどういうことでしょうか?」
少し若いが、鋼の装備といい剣を付けた男ユースケ。
勇者と言われても信じてしまいそうだ。
「この辺境のB級パーティー光の翼、黄昏の時、闇夜の剣に依頼がある。」といつもの飄々とした態度と違って真剣だ。
「それはヤバい依頼なのか。」
黄昏の時のリーダー髭を生やして、黄色の帽子をかぶったダンディな男ソウスケ。
カーボーイみたいな感じの服装だ。
「ああ、特大にヤバい。下手したらこの街から逃げてもらうくらいにな。俺もそうなったら逃げる。お前たちが逃げた後にな。」と決意を固めているようだ。
「その依頼とは?」黒い忍び装飾を付けているカヨ。
さっき女将と話していた女だ。
リーダーではなくただ王国各地で派遣滞在している大きなクラン闇夜の剣なのだ。
構成人数は王国の3指に入る。
実力はA級でもおかしくないとも言われているらしい。
そしてギルマスは重い口を開いた。
「・・・領主邸の襲撃だ。」言ってやったぜって顔をするイーベン。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「まぁそうだよな。断ってくれてもいいぜ。ここで言ったことは聞かなかったことにしてくれ。」と天を仰いだ。
しかし前に進み出てきた男がいる。
「いや、俺はやる。いや俺たちはやる!なんとなくそんな感じがしていたんだ。ギルドマスター。光の翼は皆覚悟が出来ている。それにリースは俺の幼馴染だからな助けてやらないと。」そう決意する。ユースケ。
「おおー。」と立ち上がって感動するイーベンはユウスケの手を握った。
「私たちも覚悟が出来ている。今回はリーダーが殺るき!だから勝ちは確定!そして赤ちゃんの着せ替え。ふぅぅぅー。」
どこから取り出したか、いつの間にかクナイが両手にある。
気合を貯めるポーズをしている。
なんかわけわからないこと言っているぞ。というかこいつは殺る気だ!
「おいおい、リーダーってお前じゃないのか?もちろん俺もやるぜ。辺境伯のおやっさんには世話になってたからな!」ソウスケが取り出したのはリュート。
「リーダーは強い。鬼マジでヤバい。頼りになる。勝ちは確定。後はなだれ込むだけ。そして私は赤ちゃんを抱く。私のやる気も200パーセント!!」とカヨは言い放った。
「そ、そうか。赤ちゃんってなんだ?リーダーが小さい子って意味か?」
わけがわからず首を傾げるソウスケ。
「すまない皆!お前達ならやってくれると思う。もう少しで打診してきた兵士の奴らが来る一緒に戦ってくれ!武運を祈る。」と大演説をして拳を振り上げた。
「「「おう」」」と皆そろって声を出し合う。
実に冒険者らしい人たちだ。
そして各々がドアから階下に降りていく。
それを見送ってギルマスは椅子に腰かけた。
「よろしかったのですかギルマス?」隣に控えた可愛い娘が聞く。
「なんだ?」と疑問を口にした。
「冒険者ギルドはあくまで中立ですよ。」と強い口調で言い返してきた。
「・・・それは民に被害が出なかったらの話だ。民に被害が出た。それはモンスターだ。そうに違いない!」と椅子から立ち上がって拳を握る。
「確かにダスト様はモンスターっぽいですし、三男のゴース様もなんだかグールっぽいですね。」となぜか理解できてしまう。不思議だ。
「お前俺よりひどくない、否定はしないけど。だから冒険者ギルドとして依頼するんだ!新種のモンスター及びグールの拿捕をな。」頭を抑えながら言った。
「さすが完璧ですね。叔父さんなのに容赦ない。」うんうんと頷いている。
「言ってろ!しかしあいつら、まじバカモンスターだよな。」と落ち着いてまた着席した。
「はい!」
「笑顔で言うな!」思わず突っ込んでしまった。いつものことだ。
「本当の事でしょう、私も姪として!恥ずかしいですよ!あんなのが親戚とかないです!」と強い口調だ。
「断言するとは可愛そうに・・・1ミリも思ってないけどな。」
そう言って再び立ち上がり、ギルドの建物の三階の窓から遠くの領主邸を睨みつけた。
領主の弟なのだから、落ち着かないのだろうと娘ながらに思った。
「兄貴、今度また一緒にいい店行こうって言ったのに・・・もう兄貴のおごりでいい女の子の店にいけないじゃないか。どうしてくれるんだ。」と嘆いた。
ダメだ!父上も同類だった!
侮蔑の目をして父の後姿を見ていたが、受付の業務に戻ろうと部屋を出ていった。
「母上に報告しておこうと。」と言っていたのをイーベンは聞いていない。
「兄者、ゾンビとなってでも生き返ってくれ!!!そしてイチャイチャの店に!!」と悲痛な叫び声が聞こえたような気がした。
もう、ギルドマスターを辞めてくれ!と心で思ったのはいつか言ってやろう。
「ギルドマスターがそんなにも領主のことを・・・」と感動しているユースケたぶんいい言葉しか聞こえていない。
あーあと頭を抑えるギルマスの娘のチコ。
「ギルマスの気持ち俺にもわかるぜユースケ。」ニヤッとしているソウスケ。
「さすがですね!ソウスケさん!。」と同士を得たような気持だ。
「ああ、わかるぞ(領主に誘われて奇麗な女の子がいる店にいけなくなるとは俺も一緒にいけなくなるからな。)」と。がっつりユースケとソウスケさんが手を握っている。
それからなんだか腕相撲で賭け事が始まっている。
「なんかソウスケさんの心の声が聞こえてきたような。」とジト目でみる私。
しかもそんな私を頭の上からなでてくるカヨさん達。
やっぱり妖精もいいとか周りの忍者衣装の人たちが言っている。
多少私が周りから身長が低いからって、闇夜の剣の皆さんは私をぬいぐるみのように可愛がるのです。
「もう、もう。」って言う。私は怒っているのです。
「おお喋った。」
「怒った姿も可愛い。」
「ああ、なんて尊いんだ。」とか忍者の人が言っている。
どうしてこうも冒険者には変人が多いのだろうか、私にはわからない。
「もう皆さんしっかり準備してくださいね!!」と私は言うしかなかった。
それは闇夜の月が一番高いところに来ていた。
月が雲に隠れていたが・・・それが顔を出すと、その女は言い放った。
「さてそろそろ動きますかね。」
月の光が浴びた女。
そこには髪の色が白く、目の色が赤くなったメイドのリッテがいた。
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