第95話 全体初討伐報酬
〈レベル12になりました。アビリティポイントが追加されます〉
〈ジョブ『ブラッドサポーター』がレベル6になりました。それに伴いジョブアビリティ【ドラゴンサポート】がレベル4になりました。新しいスキル『ドラゴンエンハンス・マインド』を覚えました〉
〈【魔術】がレベル4になりました。それに伴い、新しいスキル『マナランス』を覚えました〉
〈【後方支援】がレベル6になりました。それに伴い、新しいスキル『ホロウアイズ』を覚えました。習得条件を満たしたので幾つかの派生アビリティが開放されます〉
〈【魔力供与】がレベル8になりました〉
〈【炸裂魔術】がレベル2になりました。それに伴い、新しいスキル『ダストボム』を覚えました〉
〈【支援回復術】がレベル3になりました〉
〈パートナードラゴン『【龍閃姫】ルヴィア』がレベル3になりました。ステータスが強化されます。また、新しいスキル『ブラッドスケイル』を習得しました〉
〈称号『
〈習得条件を満たしたので習得可能アビリティに【軍勢統率】が追加されました〉
プレイヤーレベルや、ジョブ、アビリティのレベルアップの通知を知らせるアナウンスが響き渡る。ルヴィアもレベル3に上がったようだ。新しいスキルは攻撃スキルだろうか? 後で確認だな。
最近は【炸裂魔術】を使うために支援スキルを使わなかったり、戦闘そのものに参加できなかったりしたから、この手は久々のレベルアップとなる。
ジョブの方は新たに『ドラゴンエンハンス・マインド』を覚えた。これはMINの数値に対するスキルだな。
そして【後方支援】は新たに『ホロウアイズ』というスキルを覚えたが、これは一定時間、正確に周囲の景色を認識することができるようになるスキルで、指定したプレイヤーに幻覚無効と暗視の効果を与えるスキルになる。
幻覚無効の使い所は今のところ分からないものの、暗視は単純に夜時間の戦闘がやりやすくなるので使い所はあるかもしれない。問題があるとするなら、やはり僕には効果がないという点だろう。
あとは何やら派生アビリティが解禁されたらしいが、何を習得可能になったのだろうか。時間があるときにでも確認してみよう。
そして、早速【炸裂魔術】もレベルアップしたが、これによって新たに『ダストボム』というスキルを覚えた。これはもしかしなくても、粉塵爆発的な爆弾を作ったりするのだろうか? ……実際に試す時が楽しみだが、同時に恐ろしくもある。
他には称号を手に入れたが、これは以前手に入れた『邪鬼の討伐者』と同じ効果となっており、対象がゴブリン種からゴーレム種を対象にしたものとなっている。ゴーレムに関してはかなり硬い敵となるので、ダメージが通りやすくなるのは単純に戦いやすくなるのでありがたい効果だ。
そして『エリアボスの初討伐者』はエリアボスを初めて討伐した者を示す証で、効果は『エリアボスと対峙する際に受ける被ダメージが0.9倍になる』という効果だ。こちらは単純に受けるダメージか少なくなるので、生き残りやすくなる。
また、『全体初討伐の証』はアイギスの時のようにプレイヤー全体で初めて、いずれかのエリアボスを討伐したということを示す称号となる。これは特に持つことで発動する効果はない。記念のようなものなのだろう。
なお、習得可能となったアビリティである【軍勢統率】に関しては、パーティー以上の人数で戦闘を行う際に、支援・回復・補助スキルの効果をパーティーリンクしていなくても全体に発動するという効果のものとなる。ただし、その効果は【スキルリンク】同様に半分となり、また追加発動したスキルは【スキルリンク】とは異なりそのスキルの使用回数には含まれないようだ。
パーティー内に対しては【スキルリンク】の効果が発動するので、このアビリティの効果があるのはパーティーメンバー以外のプレイヤーとなる。
汎用性は乏しく、正直習得するか悩ましいところだが、レイドイベントである邪竜討伐はその効果がドンピシャでハマるので習得したほうが良さそうな気もする。
取り敢えずレイド開始までの間に色々と調べてから検討することにしよう。
〈エリアボスの討伐に成功しました。全員に討伐報酬が与えられます。また、新しいエリアが開放されました〉
その後、エリアボス討伐の報酬として各種ゴーレムの素材や鉱石等が配られる。残念ながらその中に例のマキシマ鉱石は含まれてはいなかった。となると、やはり採掘のみでしか手に入らないようだ。
他にはアイテムとして『隠れ道の通行許可証』という、クラスカードのようなサイズの手形が与えられた。大切なものかと思ったが、普通に売却やトレードは出来るタイプのアイテムらしい。
これはどうやら所持していることで、このルートを通る際に再度あのギガントゴーレムと戦わなくて済むようになるというものらしい。
つまり、エリアボスであるギガントゴーレムは再度出現するということなのだろう。まぁ、そうでないと不要な装備を手に入れたときに再挑戦できなくなるか。
おそらく、ゲーム内で日付が変わるタイミング、もしくはリアルで日付が変わるタイミングで再出現するようになるのだろう。
この通行許可証は同一パーティー内であればまだ戦ったことのないプレイヤーも対象となって素通りすることができるようになるらしい。
なお、これを持っている場合でも再度戦いたい場合は、普通にゴーレムに攻撃を仕掛けると戦闘開始となるようだ。まぁ、僕はもう戦いたいとは思わないが……。
また、案の定だが新しいエリアが開放されたらしい。ギガントゴーレムの裏にあった洞窟の入り口から先にあるエリアのことを指すのだろう。戦闘中は一定距離から離れられなかったので近づけなかったので、何があるか確かめる必要がある。
〈特殊エリアボス『ギガントゴーレム』のプレイヤー全体での初討伐を達成しました。その為、参加したプレイヤー全員に『全体初討伐報酬』が与えられます。次の項目の中から、報酬を1つ選択してください〉
そして、全体初討伐を達成したというアナウンスが響いた後に、メニューに全体初討伐報酬の選択画面が表示される。どうやら、この手の全体初討伐報酬が貰えるボスは特殊エリアボスと呼称されるらしいな。
なお、この装備品はこのタイミングでのみ選択・獲得できるため、後に取っておいて選ぶことは出来ない仕様になっている。
この選択自体に制限時間はないものの、強制ログアウトまであまり時間がないタイミングだと、ログアウト前に早く選ばなければと焦って選んでしまい、欲しくないアイテムを選んでしまった――なんて事があってもおかしくなさそうだ。
まぁ、幸いにも今回はログアウト時間まではまだ余裕があるのでじっくり選べそうだ。とはいえ、外は既に暗くなっているようだが。
アイギスは戦闘終了前後には目が覚めていたようで、いつの間にかゴーレムの姿が無くなっていた事に驚きを隠せないようだった。まぁ、それはそうなるだろう。仕方ない。
因みに今はそんなアイギスも含めて全員が全体初討伐報酬を選んでいる最中となっている。皆、思い思いの装備品を選んでいるところだろう。
「取り敢えず、僕も選ばないとな。ルヴィアも見てサポートしてくれるか?」
「うむ、任せよ!」
僕はルヴィアにも見えるよう選択画面を拡大し、その装備類を眺めていく。
ざっと見たところアイテムランクは全て『☆4』となっているようで、詳細も幾つか見てみた感じでは普通に高い性能を持つようだ。流石は特殊エリアボスの討伐報酬だけはあるようだ。
因みにこのファスタ近郊のフィールドで宝箱から手に入る装備は基本的に☆3相当であることは、道中に宝箱から装備を入手したナインスらが話をしているのを近くで聞いていた為に知っていたのだが、どうやらそれらは店売りのものよりは性能が高いものの特殊な効果は無く、同ランクのプレイヤーメイドには装備補正としては及ばないという扱いになっているらしい。
ナインスの武器としても使える手甲も、ベータテストの時点から鍛冶プレイヤーが作れた防具だったので、その頃からレシピが変わってなければ普通に製作可能だったりする。まぁ、お金と素材、そして作れるプレイヤーが現時点で居るかどうかという問題は付いてくるのだが。
「……今回の討伐報酬は、結構特殊な効果持ちの装備が多いみたいだな。見たことのない効果が幾つかある」
「ふむ。ゴーレムがドワーフ族製だとすると、おそらくその殆どは人間族の手では与えられない効果であろうな。先のドワーフ族にならばその効果を持つ装備は作れるやもしれぬが」
「成る程、つまり特殊なNPCにしか付けられない効果持ちの装備ってことか」
今回手に入る装備類は、ステータス値に対する装備補正的には腕のいい生産職が作った☆3や☆4辺りのプレイヤーメイド装備と同等といったところだ。
それだけでも十分に強力なのだが、 その中にはプレイヤーメイドでは付けられない特殊な効果を持っている装備類が幾つか存在しているようだ。
「そうなると、それらの効果持ちの装備から選んだほうが良さそうかな?」
「うむ。まぁ、主殿の場合は兎にも角にも武器を新調したほうが良さそうだがな」
ルヴィアの言う通り、今回は武器を選ぼうと思っている。
防具類に関してはオキナに作ってもらったこの天暁シリーズがあるのでわざわざ選ぶ必要はない。
また、アクセサリーについては『隠匿の外套』と『招福の御守』を装備しており、あとひと枠装備可能ではあるが、なんとなくここでアクセサリーを選ぶのは勿体ないような気がしていた。
そうなると武器しか選択肢はない訳である。
取り敢えず、魔術スキルの発動体を持つ武器から探してみることにしよう。やはり、杖ひとつくらいしかないだろうか?
取り敢えず、魔術スキルの発動体に絞って探してみると、意外と杖以外にも発動体に種類があることを知る。
例えば短剣カテゴリーの中にある『巨像兵の宝石剣』でも魔術スキルが使用可能となっている。因みにINTのステータス値的に装備できないようだ。残念。
「おっ、杖も何種類かある感じなんだな」
流石に使い慣れている武器を選ぼうと思い、そこから杖に絞ってみると3種類の杖が表示される。
それぞれ『巨像兵の
まずは『巨像兵の打撃杖』だが、これは単純に ATKの装備補正が+75と高めの武器となる。これはINTの装備補正が入ってないので、発動体とはいえ【魔術】を使う際には使い物にならないだろう。
他にはアビリティとして【杖術】のスキルやアーツの効果に補正を与える【杖術補正 レベル6】が与えられている。アビリティレベルは結構高めだ。
次に『巨像兵の魔導杖』だが、こちらは逆にINTの装備補正が+75と高めの武器となる。こっちらも逆にATKの装備補正が入ってないので【杖術】を使う際にはあまり恩恵を受けられないかもしれない。
他にはアビリティとして【魔術】のスキルやアーツの効果に補正を与える【魔術補正 レベル6】が与えられている。
これら2つの武器のアビリティはプレイヤーメイドでも付けられるものとなっており、どうやら汎用的な効果の武器に対してはステータス値に対する補正効果がやや高めに設定され、またアビリティの装備補正も最初からレベルが高い仕様になっているらしい。
「とはいえ、この2つは装備条件のステータス値が足りなくて装備できないから、選択肢からは外れるな……」
どちらの武器も装備条件よりも僕自身のATKやINTのステータス値が足りないので装備不可だった。
アビリティに関してもだが、僕のステータス値だとこの手の装備制限に引っかかりやすいのは最早仕方ないとしか言いようがない。
そして最後に残った『魔力核の保管杖』という杖は、ゴーレムの核を模した結晶体に魔力を溜め込むことができるという杖となっており、仕様としてはMP+100と高いMPの装備補正を持っている。その代わり、ATKやINTに関する装備補正は+10ずつと控えめとなっているようだ。
他には、戦闘外でMPを武器に込めておくことで、その分のMPを戦闘時に使用することができる魔力貯蓄機能が追加効果として与えられていた。これはおそらく、プレイヤーメイドでは付けられない効果になるだろう。
「最後にこの手の武器が来るか……。MPが増えるのはかなりありがたいし、これにするかな。まぁ、他に選択肢は無いんだけど」
「うむ。妾としても主殿の魔力が多いに越したことは無いからな。良い選択だと思うぞ」
念のためアクセサリーの方も見てみたが、僕としてはそこまで惹かれるような感じのアイテムが見当たらなかったので、この様子だとアクセサリーからは選ばなくても良さそうだ。
なので、僕はこの『魔力核の保管杖』を獲得することにした。
〈『魔力核の保管杖』を選択しています。決定すると変更はできません。それでも宜しいですか?〉
アナウンスが鳴り響いたあとにメニューに『YES』と『NO』と表記されたボタンが現れるので、僕は迷わず『YES』を選択する。
すると、目の前にギガントゴーレムの胸にあった真っ赤な結晶体を杖の先の方に取り付けた形の細長い石製の杖が現れる。その作りはゴーレムの腕部に似ている……かもしれない。
――――――――――――――――――
魔力核の保管杖 ☆4
分類:武器(物理打撃・魔導具)
カテゴリー:杖・棍棒・発動体・魔導器
装備補正:MP+100、ATK+10、INT+10
追加効果:魔力貯蔵機能【0/200】
装備耐久値:150
品質:普通
装備制限:レベル12以上、MP200以上
ギガントゴーレムの魔力核を模して作られた魔力を溜めることが出来る杖。戦闘力としてはあまり高くはないが、高い魔力を得ることができる。
※魔力貯蔵:戦闘時以外に『魔力貯蔵』のアーツが使用可能。アーツ使用時、MPを規定の数値まで杖に溜める事が可能。ただし溜める際は一度に容量の最大量まで溜める必要がある。その際にMPの残量が必要量より少ない場合、アーツは不発となる。
――――――――――――――――――
これを装備すれば、あっという間にMPは460を越えることになる。更に戦闘外でMPを貯蓄しておけば最大660だ。
装備条件のMP200以上というのは、魔力貯蔵の仕様的に最低限必要なので仕方ないのだろうが、僕のようなMP特化型のステータス構成じゃなければ使えるプレイヤーは居ないだろう。
そもそも、普通の魔術士ならMPよりもINTを伸ばしたい筈なので、元からこの武器は選択肢にすら入らないだろう。僕の場合、これしか選択肢になかったのではあるが。
まぁ、お陰で支援スキルや炸裂魔術、そしてルヴィアに対する魔力供与がより多く使えるようになったので、万々歳である。
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