第9話とある神様、あつあつ

 とある山奥のとある古い神社に、とある神様が独りで住んでいた

今は真夏、連日猛暑日という暑い中、神様だる~くなっていた

「う~ん、暑いのう、どうにかならないものかや」

神様はそういうとウチワをそよそよと仰いで風をおくった

神社のベンチで腰掛けている神様の隣ですずめが言った

「神様~、エアコン買いましょうよ~、暑すぎます~」

神様はそれを聞くと、すずめの頭をちょんとつつき言った

「エアコンじゃと、神が文明の利器に頼ったとあれば、

コケンにかかわる。嫌じゃ、人間の機械に頼るのは嫌じゃ」

そういうと、ウチワを仰ぎ、麦茶をぐびっと一口飲んだ

「でも、神様~、扇風機はよく使ってるじゃないですか~

あれは文明の利器ではないのですか?」

神様は暑さとすずめののうがきにイラッとして答えた

「馬鹿者、扇風機は原始的な道具じゃ、神が使っても問題ないのじゃ」

すずめはそれを聞くとあきれたように言った

「え~、神様の基準が分かりません~、それにしても暑いですね」

とはいうものの、このベンチには山のしたのほうから吹く風があり、

扇風機をかけるよりも涼しい。だから神様とすずめ、こうして、

木陰のベンチに座り、涼をとっているのである


陽がだいぶ傾いてきた。やっと日中の灼熱の光が穏やかになってくる

神様の顔もだいぶ穏やかになってきた

「すずめよ、夏は暑いのが当たり前じゃ、それを楽しむ余裕が必要じゃ」

そういうとすずめの頭をちょこんとつつき、にこっと笑った

「今日の夜は、納涼ということで、花火でもするか、すずめよ」

というと神様、自分の思いつきがいたく気に入ったようで、

顔をあげると、うんうんとうなずいた

「神様~、花火やりたいです~、夏はやっぱり花火ですね~」

すずめも嬉しそうに、楽しい夜を想像してうきうきするのだった

神様、麦茶をふたたびグビッと飲むと、そよ風に吹かれて満足げだった

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