第101話

 4月26日、木曜日。


カザフスタンの金箱を全て回収し終える。


通常の世界でも『抽出』を頻繁に行い、銀箱を約4000まで減らした上で、1750個の茶箱と共に、後はお仲間の誰かに任せる。


金箱の中身に大した物はなかったので、各能力値を上げる品以外はポイントに替えた。


魔物も1万体くらいしか狩っていない。


午前3時過ぎまで、理沙さんと美保さんの2人を相手に激しい肉弾戦を繰り広げていたので、8時少し前に金箱の全回収が済んだ時点で一旦家に戻り、通学前の美冬と珈琲を楽しんだ。


彼女を送り出した後、今後の方針について考えを巡らす。


先ず、ダンジョン内以外でも、日本の敵に回りそうな国からは、『抽出』を使って徹底的に鉱山資源を奪い取る。


中国とロシアには、ほとんど何も残さないつもりだ。


その一方で、友好国、同盟国の一部には、ダンジョンのユニーク討伐と金箱を回収するだけで、銀箱や茶箱はある程度残しておいても良い。


表(通常)の世界の資源には手を付けない。


既に回収してしまった場所はともかく、これからはそうしてメリハリをつける。


金銀プラチナ、その他のレアメタルも、資産価値の高い宝石類と共に、既にこの世界に存在する7割以上は自分のアイテムボックスに入っている。


尤も、金とプラチナだけは、市場で買い漁った物も含まれている。


お陰で今はその価格がかなり高騰し、却って俺の陰(表に出し辛い)の資産を増やしてもいた。


次に、眷族の数をもう少し増やしておきたい。


ダンジョン内でも、理由なく人を殺し回れば、魔物と化す危険性がある。


だから、そのルールから外れた存在である眷族達をなるべく揃えておきたい。


美鈴は中国、アマンダはロシアに、事実上固定化されてしまっている。


アミーラとシャリーファは2人で1組だし、彼女達には中近東でテロリスト達を狩って貰う役割がある。


アメリカに居るシロは動かせるが、それだけでは足りない。


今度、欧州辺りで探してみよう。


それから、ダンジョンを探索する手順も改める必要がある。


現在のような、国土面積の広い国を中心にしたものから、たとえ国土は狭くても、重要度の高い国から順に攻略することにした方が、何かと合理的な気がする。


途上国を急いで攻略しなくても、どうせその国の民では、満足に魔物を倒せない。


中に入った大勢の子供達のせいで、魔物自体がかなり強くなっているのだから。


今後は欧州を真っ先に攻略し、そこのユニークと金箱をどうにかしてから、残りの時間で途上国を回ることにする。


美冬や吉永さん達が順調に強くなっていけば、彼女達にも世界でどんどん戦って貰うつもりだし。


最後に、要らない宝石類や、産業に必要なレアメタルを、有限会社を通して友好国に売るルートも開拓しなければならない。


幾らアイテムボックスに余裕があるとはいえ、資産価値の低い宝石なんか持っていても、邪魔になるだけだ。


買い占めている国土をどう活用するかの問題もある。


仁科さんと落合さんは、今後益々忙しくなるだろう。


その分、彼女達の休日には、しっかりと満足して貰おう。


今の3時間から、5時間くらいにまで時間を増やしても良い。


南さん達や理沙さん達からも、3時間では足りないと、苦情に近い申請がきているしな。


午前10時。


粗方の方針が決まった後で、早速欧州に向かう。


新たな出会いと、更なる刺激を求めて。




*当初の予定より大分短いですが、ここで終了させていただきます。

詳しくは後日、近況ノートにて。

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世界の片隅で、果てなき夢を追う 下手の横好き @Hetanoyokozuki

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