第11話 圧倒的なチカラ②
「質問は以上だ、他に聞きたい事は無い。
後はオマエ等に俺が言う事を無理矢理させるだけだ。
モチロン拒否権は無い。
先ずは全員土下座しろ。」
俺は気絶していた男3人も起こし、全員に催眠で土下座させる。
「今からカンペを出すから、全員で揃って読み上げながら鳴沢澪と平川七瀬に誠心誠意謝罪しろ。」
俺は背中に隠し入れていたスケッチブックを取り出し、予めマジックで大きく書いておいた鳴沢と平川への謝罪文を全員一斉に読ませながら謝罪させ、その姿をスマホで録画した。
それが終わると最後の仕上げだ。
「いいと言うまで暫くジッとしていろ。」
最後の催眠での命令を終えると今度は1人ずつ、催眠より強い洗脳というチカラを使う。
鳴沢と平川に今後近付かない事、悪さをしない事、俺の事は全て忘れる事等を脳に直接命令した。
それから全員スマホを出させロジック・マスターのチカラを使い、DVDを取巻きが下駄箱に置いてあったのを発見してから俺が体育館裏に現れるまでの、俺に関してのトーキングアプリでのやり取りした内容等を全て消去した。
俺はフィンガースナップで音を鳴らすと跪いていた男女12名が我に返り、一斉にコチラを見た。
俺はモブを装い、オドオドとした演技をしながら
「みっ、皆さんどうしたんですか?土下座なんかして…。」
と質問すると、内田が
「…ヒッ…なっ…何でだろ…?
誰だアンタ、何か用か…!?」
と答えたので、次に堀を見ると
「…ヒッ…あっ…あの…貴方は…?
何でアタシが此処に居るのか知ってます…?」
との反応があったので無事に洗脳が出来た様だが、何故か全員俺を見る目が怯えている。
…どうやら、俺への恐怖が魂にまで刻まれてしまった様だ。
俺はアイツ等を置き去りにして体育館裏を足早に立ち去ってから一旦教室に戻りリュックを背負って下校する。
暫くして是政橋付近の土手に出たところで、アポート(物質化、別の場所にある物体をその場に取り寄せる超能力)のチカラを使い、堀の手元にあったハズの、俺が送り付けたDVDを回収、パイロキネシスで手から炎を出し、DVDを燃やし尽くした。
…アチチ、燃えカスがッ…
俺が自宅に戻った途端、急に睡魔が襲って来た。
あぁ、今頃来たか…直ぐに帰って来て良かった。
こんなに沢山の種類のチカラが使えるチートな俺にも一応弱点はある。
チカラを使い過ぎると時間も場所も関係なく、突然睡魔が襲って来るのだ。
使い過ぎの時はモチロン眠くなるが、少ししか使って無い日でも時々眠たくなる事もある。
何故なのか俺には解らないが、兎に角チカラを使う際のデメリット、リスクとして考えておかねばならない。
俺は制服のままベッドに転がると、直ぐに意識が遠ざかった。
…あ…スケッチブック学校に忘れて…来た…。
翌日、俺は登校前に是政橋の
鳴沢がダルそうに歩いているので、俺は声を掛けた。
「よう、おはよう。」
「お…おはよう…。
学校では声を掛けないでよ…。」
「あぁ、解ってる。
ところで、堀って知ってるか?
堀から鳴沢宛の預かり物があるんだ。」
「え…貴方、あの人と知り合いなの…?」
「イヤ、全然知らないけど、昨日突然声を掛けられたんだ。
お前鳴沢と同じクラスだろ?って。
って事で、トーキングアプリのIDを教えてくれ。」
「えっ?何でトーキングアプリなの?」
「いいからいいから。
預かったのは動画だからだよ、ほら早く。」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ…。」
鳴沢がスマホを用意して俺とトーキングアプリのIDの交換をした後、俺は昨日の堀とその取巻きが土下座で謝罪している動画を送った。
「後、平川さん?って子にもこの動画を送っておいてって。
じゃあな、俺の要件はこれで終わりだから。
俺のトーキングアプリのIDは消しておいてくれ、もう俺からは声は掛けないから。
サヨナラ…。
…幸せにな…」
「えっ…?今、何て…?」
鳴沢は佐竹が立ち去った後、動画の内容の方が気になって、橋の袂でその動画を再生した。
そこには土下座した堀とその取巻き、それに知らない男達が一緒に映っている。
『この度は鳴沢さんと平川さんに大変ご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。
もう誰かと喋っていただいても、お友達や彼氏を作っていただいても結構です。
今後私達は心を入れ替えて、二度とあの様な事は致しませんので、今回に限り、ご寛大なるご処分をお願い申し上げます。』
コレ、絶対に誰かに言わされてるっぽい…
そう思った鳴沢は最後まで目を離さず動画を見ていたところ、動画の最後でカメラが下を向き、一瞬だけスケッチブックと動画を撮ったと思われる男の足が映っていた。
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