第15話 学校から
「そういえば凛大君ってなんか中世的だよね」
そう言われて、少し動揺する。
「もしかして嫌だった?ごめん」
慌てて謝るアキに訂正する。
「大丈夫。よく言われるし嫌じゃないよ。自分でもどっちでもいいと思ってるし」
実際、最近まで体の性別は男だったのに、急に体が女になっていたら気づかなくても違和感を感じる人はいるだろう。とはいえ、一応男として学校では過ごしているので、女と思われることはない。これこそ、男女で制服が違うという現実である。最近、女子のズボンの制服だとか男子のスカートなど男女平等などが言われる地域もあるようだけど、この学校ではまだそんな活動は見られない。おかげで、制服が男子用なら性別も男子という固定概念で覆われている。
「もしかして...女の子?」
「違うよ」
予想外の質問に冷静に答えた。どうして急に、「女の子?」なんて聞いてきたのか分からないが内心少し焦っていた。
「ごめんごめん。だよね。知ってる。」
そうアキは言いながら、チャイムを聞きながら席に着いた。そのまま授業は始まる。
「ねぇねぇなんでそんなにぼーっとしてるの?」
と、話してきたのはもちろんアキだった。
「ちょっと、家で留守番している猫が心配で...」
「猫ちゃん飼ってるの?」
アキは食い気味に聞いてきた。
「まぁ、最近飼い始めたばかりなんだけどね...」
と、思いつつ凛大は猫とは思えないヒト型の怪物をボコボコにするネコを思い出す。
「へぇいいなぁ...今度家に遊びに行っていい?」
きっとアキは可愛らしい猫や、元気で遊びまわるような猫たちを想像しているのだろう。でも真実は全然違う。可愛いや元気でまとめられるような存在ではない。確かに見る人が見れば美人で元気だけど、怪物を木っ端みじんにしようとするくらい狂気に満ち溢れている。何よりヒト型になる。
「アハハ...うちの猫はそんなに人に会わせられるような猫じゃないよ...」
隠すも何も苦笑いしか出てこなかった。そんな凛大をアキは不思議そうに見ていた。
学校も終わって帰ろうというときに、立ちはだかる女子が一人。
「部活とかしないの?」
アキはしつこい程に、部活の勧誘をしてくる。バイトのことを話してもいいけど、バイト中に見に来られると迷惑なので言わない。
「別に部活したいとは思ってないから」
とにかく帰ろうとするが、通してくれない。
「部活したくないとも思ってないんでしょ?見学くらいきても良いんじゃない?」
アキは、全力で勧誘してくる。
「今日は用事あるから無理です。また今度」
そう凛大が突き放すと、
「よし!言ったからね!今度ちゃんと見学にきてね!百人一首部!」
と、手のひらサイズの機会を見せつけて「録音したからね」と脅迫してくる。
「はいはい...」
そう返事して、少しスピードを上げて学校を出た。
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