第十四話 ルナさんVSパペットーズ前編
~ルナ視点~
メリュジーナと一緒にテオ君の前に立ち、私は身構える。
「邪魔をしないで! ファイヤーボール!」
得意の火球魔法を放ち、メイデスを攻撃する。
『そうはさせるか! メイデス様を守れ! 弟よ!』
『え? うわわわわ! 兄ちゃん酷いよ!』
メイデスに向けて放たれた火球が迫る中、パーぺが弟のマーペを掴んで投げ飛ばす。
飛ばされたマーペはメイデスと火球の間に入り、彼女を守るようにして炎に焼かれる。
うわ! あの子自分の弟をメイデスの盾に使ったわ! いくらモンスターとは言え、それは正直に引くわね。
まぁでも、あのパペット人形は2体揃うと厄介な力を発揮する。だから先に1体を倒せたことは
『うえーん! 痛くも痒くもないけど、炎に焼かれるのはやっぱり気分が良くないよ!』
炎の中からマーペの声が聞こえてくる。
うそ! もしかして全然効いていないの!
炎が消えると、中からマーペが姿を見せる。パペット人形の肉体からは少しだけ異臭が漂ってくるけど、ほぼ無傷のように感じる。
『ハハハ! 残念だったな! 俺たちは既に炎に耐性を得ている。だから弟を盾に使ったのだ!』
活躍しているのはマーペのはずなのに、なぜか自分の功績のようにパーぺが偉そうにする。
『メイデス様! ここは僕たちが引き付けておきます』
『なのでメイデス様たちは2人でテオを倒してください。行くぞ弟よ!』
『うん! 僕たちだけであいつらを倒そう』
2体が私との距離を詰めてきた。もしかしたら私を操ってメリュジーナと戦わせようとしているのかもしれない。
「そうはさせないわ!」
胸の前で腕を組み、両手を隠す。挿入する場所がなければ、体を乗っ取られることはない。
『兄ちゃん! あの女、腕を組んで手を隠したよ!』
『何だと! それでは体を乗っ取られないではないか!』
『こうなったら、もう一人の方だ!』
パーぺたちが標的をメリュジーナの方に変える。
「メリュジーナ!」
咄嗟に彼女の名を読んで顔を向ける。するとメリュジーナも私と同様に胸の前で腕を組み、手を隠している。
『そんなバカな!』
『こいつら、完全に僕たちの対策をしているよ!』
まるで完膚なきまで叩きのめされたかのように驚愕する2体を見て、思わず溜め息を吐きそうになる。
どれだけ私たちを過小評価していたのよ。いくらテオ君よりも頭が良くなくとも、それくらいの判断はつくわよ。
『くそう。こうなったら最後の手段だ! 切り札を使うぞ』
『分かったよ兄ちゃん! これを使うのは数年ぶりだね』
2体が意味深なことを言ってくる。
あの子たちにはまだ対策があるみたい。油断はできないわね。
可能な限り対策をしようと思考を巡らせている中、パペット人形たちは仕掛けてきた。
『俺の名前はパーぺ♪』
『僕の名前はマーぺ♪』
『『2人合わせてパペットーズ♪ 小さな体から大きな体に、なってみ~せる~♪』』
2体が歌い終わると、光に包まれた。
すると、その光はどんどん大きくなり
数秒後に光が収縮すると、私は目の前の光景に信じられずにいる。
パペット人形が役2メートルにまで大きくなっており、少年から青年を思わせる顔付きとなっている。
『これが真の姿、パペットーズだ。今までは力を半分にしていたが、本気でいかせてもらう』
パペット人形がゆっくりと距離を縮めてくる。
真の姿になったパペットーズの力は未知数、ここはできることならテオ君から引き離した方が良いわね。
「こいつを食らいなさい! ストロングウインド!」
風の魔法を使って強風を生み出す。
『うわわわわ!』
吹き飛ばされるパペット人形を見て、小さくガッツポーズを取る。
よし、思った通り。いくら大きくなったところで、人形であることには変わらない。
強風が吹けば踏ん張ることができずに吹き飛ばされると思ったけど、予想が当たって本当に良かったわ。
「テオ君! あの人形は私が倒してくる」
後のことを彼に託し、私は吹き飛ばされたパペットーズを追いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます