高卒、無職、ボッチの俺が、現代ダンジョンで億を稼げたワケ〜会社が倒産して無職になったので、今日から秘密のダンジョンに潜って稼いでいこうと思います〜
第24話 男子の大半が大人になっても好きだと思うんだ。ハンバーグとカレー。②
第24話 男子の大半が大人になっても好きだと思うんだ。ハンバーグとカレー。②
「どう、ですか? 似合ってますか?」
「あぁ。似合ってるよ」
「!!」
俺はちらりとネックレスをつけた京子を見た後、京子の目をまっすぐ見てそんなふうに言った。
ネックレスってガン見しちゃいけないところにネックレストップが来るよね。
これで似合ってるかどうか聞いてくるのは一種の拷問だと思う。
「そうですか。よかった」
京子は嬉しそうにはにかむ。
その笑顔は破壊力抜群だった。
俺の顔は真っ赤になっていたと思う。
「えっと、そろそろでようか」
「はい!」
ダンジョンから脱出すると、ちょうどお昼時になっていた。
心地よい日差しの中、時折ふく少し冷たい風が熱った顔を冷ましてくれる。
すごく過ごしやすい気候だった。
こういう日は外でお昼ご飯とか食べたいよな。
「お腹も空いたし、少し早いけどお昼ご飯を食べに行かないか?」
「はい」
「午前中もしっかり稼げたし、テラス席のある美味しそうなお店に行こうぜ」
「あの、それなんですが」
「ん?」
京子は少し恥ずかしそうに鞄を持ち上げる。
「お弁当作ってきたんですけど、これを一緒に食べませんか」
「……はい」
口元を鞄で隠して上目遣いに見上げてくる京子の破壊力は抜群だった。
俺じゃなきゃ惚れちゃうところだぜ。
俺?
俺はほら。高卒ボッチの俺を女の子が好きになってくれるわけないからさ。
勘違いしそうになるのは慣れてるんだ。
俺は心の中で涙した。
***
「へー。新宿にもこんな大きい公園があるんだな」
「ここにくるのは初めてですか?」
「あぁ。まず新宿なんてオシャレな場所に来ることないから」
俺は、京子と一緒に新宿の公園に来ていた。
観光地にもなっている場所らしい。
東京って、オフィスビルと買い物できる場所しかないと思ってたけど、こういう場所もあるんだな。
そういえば、代々木とか上野にもおっきい公園があるんだっけ。
あれ? 東京って結構公園多い?
「じゃあ、食べましょうか」
「あぁ」
京子が持ってきてくれたシートを敷いて座ると、京子は鞄の中から二人分のお弁当を取り出す。
女の子のカバンって異次元ポケットにでもなってるんじゃないだろうか?
明らかにそのサイズのカバンに入らないのが出てきてるように見える。
「うゎ。うまそう!」
「ありがとうございます。有り合わせのもので作ったので、簡単なものしか作れませんでしたが」
「いやいや、十分だよ」
お弁当は二段になっていて、一段目がご飯だった。
二段目には卵焼きとプチトマト、タコさんウインナーにサニーレタスが入っている。
どれも美味しそうだ。
「いただきます」
「召し上がれ」
俺は卵焼きを食べてみる。
卵はふわふわで、口に入れた瞬間とろけるようにほぐれる。
砂糖が入っているのだろう。甘く味付けされていた。
冷めていても十分美味しい。
「どうですか?」
「めっちゃ美味しい!」
「そうですかよかった」
京子は本当に嬉しそうにそう言う。
俺はガツガツと弁当を食べ進めていく。
あっという間にお弁当は空っぽになってしまった。
「はぁ。美味しかった。ごちそうさまです」
「お粗末さまです。お口にあったみたいでよかったです」
「こんなお弁当なら毎日でも食べたいくらいだ」
「じゃあ、明日も作ってきますね」
「本当か! 助かる」
京子とは当面一緒に潜る予定だ。
明日もこのお弁当が食べられるなら、明日も午前中の探索を頑張れる。
「今日はちゃんと帰る前にお買い物をするつもりなので、もっと美味しいものを準備できると思います」
「本当か? 楽しみだな」
「何かリクエストとかありますか?」
「うーん。なんでもいい、って言われるのは困るんだっけ?」
「まあ、そうですね」
でも、本当になんでもいい。
というか、選択肢がないのでなんとも答えづらい。
京子の料理はまだほとんど食べたことがないのだから。
「うーん。サグルさんの好きな料理はなんですか?」
「……カレーとハンバーグ。後、オムライス」
「……くす」
笑われると思った。
子供舌で申し訳ない。
だが好きなのだ。
でも世の中の男子の大半が大人になっても好きだと思うんだ。ハンバーグとカレーとオムライス。
そりゃ大人になってから塩辛とか、サバ味噌とかよく食べるようになったものはあるが、好きかと言われると、そうでもなかったりするんだよな。
「だから、レトルトのカレーがあんなにいっぱいあったんですね」
「まあ、それもあるけど、楽だしな。ご飯さえあればあとは簡単に作れるから」
「カレーとオムライスはあまりお弁当向きじゃないので、明日はハンバーグをおかずに作ってきますね」
「……お願いします」
赤くなった顔を見られたくなかったので、俺は深々と頭を下げてお願いした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます