第5話 ボトムアップ
「君も知っているように、当社は本社の力が非常に強い。逆に言えば事業本部から新たな活動の提案が少ないという課題がある」
真奈美は無言でうなづいた。
経営管理本部に在籍していた真奈美も、そこが課題と感じたために、MA推進部へ異動を申し出たのだった。
「今回の件は、全社にボトムアップ提案の重要性を認識させるいい事例になるだろう」
幹部からの指示によるプロジェクトをトップダウン案件という。
逆に、事業の現場から提案していく案件をボトムアップ案件という。
「ただし、事業本部が本社に提案できるようなボトムアップ案件を創出するためには、相当粘り強く事業本部に伴走してもらう必要があるだろう」
そういうと、落合は今までの笑顔をキリッと引き締めて真奈美を見つめた。
真奈美も、空気が一気に張り付いたことを理解し、瞬時に背筋を伸ばした。
「酒井さん。MA推進部の中でも、君がもっとも事業本部への貢献を最優先にしていると感じている。だから、君に頼みたいんだ」
落合は真奈美の瞳をまっすぐに見つめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます