第55話 ゴブ狩りの龍姫

 リュウキとリュウガのビルドが完成した後、昼食を済ませてD級ダンジョンへと来ていた。


 今回はリュウキとリュウガのレベル上げと、二人の戦いを確認するためにD級を選んだ。


 D級とは言っても、召喚されたばかりの二人では少しステータス差がキツイかと思ったが、リュウキに持たせた「崩壊滅の斧・ユルングル」が大活躍だった。


「オラオラ行くぜぇ!」


 振り上げられた漆黒の大斧がホブゴブリンソルジャーに直撃し、ホブゴブリンは木っ端微塵に消し飛ぶ。

 

 ――ズドーン!

 

 あー……これは……


 斧が触れたホブゴブリンの体は、塵のように崩壊が始まった。

 そしてゴブリンを真っ二つにした斧は地面に直撃し、前方に破壊の衝撃波が発生する。


 体の崩壊が始まったゴブリンは地面と斧の衝突で発生した衝撃波で吹き飛ぶ。

 さらに後方にいた4体のゴブリンに衝撃波が命中し、目にも止まらぬ速さで塵となった。


 まあ簡単に言うと、一体に攻撃したら巻き添えで全員塵になったと言う感じだ。


 そしてリュウキはご覧の通りだ。


「へっへ〜ん。見てたか主人! これが俺の実力よ!」


「姉さんすごい! すごいよ!」


「そうだろうそうだろう。リュウガもこれくらいできるようにならねえとな! ワッハッハ!」


 完全に天狗になっている。

 そしてリュウガがさらに拍車をかけている。


 本当に一旦取り上げて、普通の斧持たせるか?

 まあ、見方が強いに越したことはないか……巻き添えを喰らわないように気をつけないとな。

 

 しかし……あの斧はヤバいな。


 さすがはSランクの武器だ。

 敵が塵のようになっているのはおそらく「破壊エネルギー」と書かれていた能力だろう。

 

 もし蚊の化け物との戦いの時にリュウキが居れば、あの再生力を封殺できただろうか?

 龍魔法は威力は凄いが、龍気の消費量が他の龍スキルよりも多い。


 この前みたいに戦闘中に龍気が切れるのだけは絶対に防がないとな。

 ニダスだって龍気が潤沢にあれば、あそこまでやられずに済んだはずだ。


 俺が考え事をしていると、調子に乗ったリュウキが急かしてきた。

 

「おい主人! 次の獲物探しに行こうぜ!」


 カブトムシを捕まえに来た小学生か……

 リュウキはものすごく楽しそうな顔をしている。

 まあ、あんな嬉しそうな顔されたら、斧を取り上げるのは野暮だな。

 

 そうして、魔物は基本的にリュウキが斧で粉砕しながら、D級ダンジョンを攻略した。


 ボスはリュウガが盾スキルでヘイトを稼いで、その隙にリュウキの斧を叩き込むことで瞬殺だった。


「ボスって言っても大したことなかったな〜。主人! 次はもっと手応えのあるダンジョンで頼むぜ!」


「おう……」


 もう普通にB級ダンジョン連れて行くか……

 

 低階層なら二人でも大丈夫だろう。

 二人ともレベルはもう22まで上がっているし、元々耐久値が高いからB級でも一撃でやられることはないだろう。

 龍装で耐久もかなり盛ってるしな。


 俺はボス討伐報酬をインベントリに仕舞い、転移魔法陣で地上に帰還した。

 



 そして帰宅した後、俺は自分の部屋でステータスを見ながら、どのスキルレベルを上げるか悩んでいた。


 スキルオーブもかなり溜まっているし、まだまだF級魔石もある。

 眷属も増やしたことだし、当分は自分の強化に使っても問題ない。

 

 そしてインベントリのスキルオーブの余りは、多いもので300個溜まっている。


 ひとまずはステータス増強系のスキルレベルを最大にしたい。

 俺の素のステータスも高くなってきたし、上級になった強化系のスキルは割合上昇だから大きく数値が伸びるはずだ。

 だけどレベル1から最大レベルにするのにスキルオーブが550個必要になる。


 俺は少し考えて、ひとまず今持っているオーブは自分に使うことに決めた。

 リュート達眷属のスキルレベルは一旦後回しだ。


 仮に俺が死んだ場合、リュート達眷属はどうなる?


 俺の予想だけど、多分リュート達は消えてしまうような気がする。

 だとしたら、まずは俺の生存が優先になる。


 俺は習得している全てのスキルレベルを、今ある全てのオーブを使って上昇させた。

 

 使わないスキルは上げていなかったけど、魔石にも余裕があるし、戦闘中は何があるかわからない。

 打てる選択肢は多い方がいい。

 

 そして完成した俺のステータスがこれだ。

 

 ______

 名前 天霧 英人

 Lv 65

 HP:8800/8800(6500+1000+1300)

 MP :9125/9125(6500+1000+1625)

 龍気:0


 筋力 :9125(6500+1000+1625)

 耐久 :9125(6500+1000+1625)

 器用 :9125(6500+1000+1625)

 敏捷 :9125(6500+1000+1625)

 知力 :9125(6500+1000+1625)

 

 スキル

 ・武術系

 剣術Lv10、弓術Lv10、槍術Lv10、斧術Lv10、短剣術Lv10、盾術Lv10、魔闘術Lv10、投擲術Lv10、

 ・魔法系

 火魔法Lv10、水魔法Lv10、風魔法Lv10、地魔法Lv10、光魔法Lv10、闇魔法Lv10、回復魔法Lv10

 ・強化系

 HP増強Lv4、MP増強Lv5、筋力増強Lv5、耐久増強Lv5、器用増強Lv5、敏捷増強Lv5、知力増強Lv5、

 ・耐性系

 上級火耐性Lv5、上級水耐性Lv5、上級風耐性Lv5、上級地耐性Lv5、上級光耐性Lv6、上級闇耐性Lv6、猛毒免疫Lv5、麻痺免疫Lv6

 ・特殊系

 気配察知Lv5、気配隠蔽Lv5、魔力察知Lv5、魔力隠蔽Lv5、危険察知Lv6、再生Lv4、魔呼吸Lv4、神速思考Lv4、

 暗視Lv5、千里眼Lv5、言語理解Lv1


 エクストラスキル(アクティブ)

 龍剣術Lv10、龍闘術Lv10、龍魔法、龍圧、龍感覚


 エクストラスキル(パッシブ)

 龍の心臓、龍の鱗(NEW)


 コアスキル

・召喚・送喚・スキルガチャ・武装ガチャ・眷属召喚・ビルドシステム

・インベントリ・龍脈回路・ネームド・魔石分解・魔石合成・武装合成・功績

・部隊編成・魂の契約(NEW)

 ______


 まずこの間のニダスとの戦いで、俺のレベルは一気に65になった。

 強化系のスキルが上位スキルのレベル5になったことで、素の状態で1万に近いステータスとなった。

 この数値にさらにリトス、ディーン、ソラの龍装が加算される。


 リトスはレベルが92に上昇し、バフの倍率は前ステータス140%上昇となる。

 そしてディーンが71になり、敏捷値が16000上昇する。

 ソラのレベルはまだ25で耐久値+5000と、まだまだこれからと言う感じだ。


 吸血鬼との戦いで、みんなかなりのレベルアップができた。

 リトスに至ってはもうレベルの最大が見えてきた。

 

 そして俺のステータスは、敏捷値に関してはもう探索者の中でもトップクラスに高いはずだ。

 そこに「龍纏」や「魔纏」を使えば凄まじいことになる。


 そして上位スキルに新しく進化したのが、特殊系の三つのスキル。


魔呼吸まこきゅう」はMP回復速度上昇の上位スキルで、上昇量がさらに増加している。

「千里眼」というスキルは、名前から分かる通り「遠視」の上位版で、さらに見える距離が大幅に増加した。

「暗視」は「夜目」の上位スキルで、どんな暗闇でも視界が確保できる。

 

 そして午前中に引いたスキルガチャでは、新たな龍スキルは一つだけだった。

 14個引くことができたけど他のスキルは被りだった。

 眷属の空いているスロットにでも使おうかな。

 

 新たな龍スキルは「龍の鱗」というもので、常時発動型の防御スキルだった。

 各属性の攻撃によるダメージをカットする効果が常時発動していて、さらには「龍纏」を使った時にも効果が上がるという嬉しいスキルだ。

 

 そして最後に、レベル60になった時に追加されたコアスキル。


 ______

『魂の契約』

 :眷属以外の生物と、魂の契約を結ぶことができる。

 契約を結んだ者と魂で繋がり、スキルオーブを習得させることができる。

 契約者は龍脈回路を手に入れ、龍気を使用することが可能。

 契約者との親密度によって、習得させるスキルや龍気の使用が制限される。

 一度結ばれた契約は破棄できない。

 ______


 その名の通り契約を結ぶスキルらしい。

 俺のスキルオーブを習得させることができて、さらには龍気まで使えるようになる。


 例えば俺が誰かと契約をすると、「龍剣術」や「龍闘術」を習得させて龍気による攻撃が可能になる 

 そしておそらく習得ジョブが「剣士」だとしても、魔法を全種類習得させることができる。


 普通にとんでもないスキルだな……

 世界の常識が変わってしまう。


 契約する人は慎重に選ばないといけない。


 使いたい人が思い浮かばないし、色々検証しようにもできない。

 まあ俺には眷属がいるし、他人を俺の目的に付き合わせるわけにもいかない。

 このスキルはまだ当分使うことはないだろうな。


 俺はいつものようにリトスを召喚して、一緒にベットに入る。

 

「ピュイ」


 リトスはニダスとの戦いの後、今まで以上に甘えてくるようになった。

 

 もうあんなにやられることがないようにしないと。

 リトスを撫でていると、自然と眠りについていた。

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