第54話 破壊と堅牢
二人に名付けを終え、続いてビルドを構築していこうと思う。
二人の初期のステータスはこんなかんじだ。
______
名前:リュウキ
種族:龍人族
Lv 1
HP:150/150
MP :50/50
龍気:100/100
筋力:150
耐久:100
器用:50
敏捷:50
知力:50
スキル
・空きスロット:13
______
______
名前:リュウガ
種族:龍人族
Lv 1
HP:150/150
MP :50/50
龍気:100/100
筋力:100
耐久:150
器用:50
敏捷:50
知力:50
スキル
・空きスロット:13
______
二人ともなかなかに脳筋なステータスをしている。
それに兄弟だからか、耐久と筋力以外は同じ初期値をしていた。
どんなビルドにしようか?
とりあえず二人の希望を聞いてみるか。
「リュウキとリュウガには俺のダンジョン攻略を手伝ってもらうんだが、武器は何がいい? 希望があれば教えてくれ」
魔法職のビルドを作りたかったが、二人のステータスは魔法に向かない。
丁度「龍魔法」のスキルオーブも自分に使ってしまったし、MPや知力が高いドラゴニュートが出てきてからでもいいだろう。
それまでは魔法火力は俺が担当することにしよう。
「ダンジョンてのはわからねえが、戦うんだよな? それなら俺はでかい武器だったらなんでもいいぜ」
一人称が俺だからか、それとも見た目が大きいからか、リュウキが喋っているのはなんだか慣れないな……
白銀のように綺麗な長い髪を腰あたりまで伸ばしていて、顔立ちは綺麗な女性だ。
しかし身長は俺よりも高い190cmほどあって鍛え上げられた筋骨隆々の肉体を持っている。
そしてリュートやサクヤに比べて肌の露出が多い。
ドラゴニュートは召喚時点では服を着ておらず、硬い緑色の鱗に覆われている。
だが龍人へと進化すると、見た目はドラゴンから人間に近くなり、龍の紋様が刺繍された白い衣装を身につけて現れる。
服装はそれぞれ異なり、リュートは執事のような白いスーツっぽい衣装、サクヤは中世貴族の令嬢のようなワンピースを着ている。
そしてリュウキとリュウガは、蛮族のような筋肉を見せつけるような衣装に変わっている。
胸にサラシのような白い布巻きと、ズボンはゆったり目で足首の部分で膨れるような形をしている。
おっと、話が逸れた。
リュウキはデカい武器が良いと……ならこの前「武装ガチャ」で出た武器を持たせてみるか。
「オイラは剣か盾がいいです……あ、普通のサイズで大丈夫です」
リュウガが普通のサイズの武器を所望すると、姉のリュウキが苦言を呈す。
「おめえ……その図体ならでかい剣振り回してねえとモテねえぞ?」
いや……デカい武器だとモテるってどこの世界線だ?
まあいい、リュウガは剣か盾か。
ステータス的には盾一択だが、体の大きさ的に片手で盾を持って、もう一方の手に剣を持たせるのが良さそうだな。
二人のビルドの方針が決まった。
そして俺は溜まっている魔石を分解する。
______
インベントリ
魔石
・F級:7698
・E級;675
・D級:978
・C級:876
・B級:327
______
現在の分解効率はレベル60に上がったことで、1個の分解で6個の魔石が手に入る。
B級魔石1個をF級まで分解すると、1296個のF級魔石が手に入る。
俺は魔石を300個程度残るようにF級まで分解すると、ものすごい数のF級魔石になった。
______
インベントリ
魔石
・F級:268698(+1800+21600+108000+129600)
・E級;375(−300)
・D級:378(−600)
・C級:376(−500)
・B級:227(−100)
______
F級が約27万個と、これだけでひと財産になるくらいには溜まった。
F級は一個100円程度にしかならないけど、全部売ったら2700万円ほどになる。
まあお金の使い所はあまりないから、今はスキルガチャを優先するけど。
これを全てスキルガチャに当てれば、10人以上のビルドを構築できる。
まあ今日のところは、リュウガとリュウキの分のオーブが溜まったら終わりにするけどね。
なんでって? 時間がかかりすぎるんだよ……
今だってこれだけの数を分解するのに30分近くはかかっている。
そしてスキルガチャになると、さらに時間はかかる。
スキルガチャは最大で10連ずつしか引けない。
そしてオーブが出てくる演出などで、大体一回のガチャで5秒くらいはかかる。
1分で120連、1時間で7200連のガチャを引く計算だ。
7200連だと、F級魔石の消費は72000個。
全部引くとなると4時間もの間、無心になってステータス画面の「10連」ボタンを押し続けるということだ。
普通に頭がおかしくなるから、今回は二人分のオーブが確保できる7000連くらいでいいだろう。
それでも1時間くらいは無心にならないといけないけど、それくらいなら頑張れる。
よし! まだ手に入れていないスキルがついでに出ますように!
俺は心の中で気合いを入れ、少しの神頼みをしてスキルガチャを回し始めた。
そしてガチャを引き始めてからかなりの時間が経った。
――ピー!
無心……無心……
俺は心を無にしながら、スキルガチャを回し続けていた。
あとどれくらいだろう? 1時間後にアラームが鳴るようにセットしてたんだけど……おっと、いけないいけない……無心……無心……
――ピー!
「おい
「姉さん……英人様はずっと透明な板に指を押し付けてるけど、一体何をしてるんだろう?」
「んなもん俺が知るわけねえだろーが! おい主人! いい加減戻ってきやがれ!」
無心で「10連」ボタンをタップしていたところで、誰かに体を揺すられた。
「ん?……なんだリュウキか……どうした?」
「『どうした?』じゃねえ! さっきから主人の腕輪から変な音が鳴ってるぞ!」
――ピー!
「うん? ほんとだ、全然気づかなかった……」
これは俺がセットしたアラームか。
やばいな……スキルガチャを引くのに集中しすぎて、シーカーリングのアラームに全然気づかなかった……
それに無心を意識しすぎた弊害か、まだ頭がボーッとする。
インベントリを確認すると、二人のビルドを組める分のスキルオーブが溜まっていた。
そしてガチャを引き終わってからさらに30分ほどかけて、ようやく二人のビルドが完成した。
______
名前:リュウキ
種族:龍人族
Lv 1
HP:1150/1150(+1000)
MP :50/50
龍気:100/100
筋力:1150(+1000)
耐久:1100(+1000)
器用:50
敏捷:50
知力:50
スキル
・武術系
斧術Lv10、魔闘術Lv10、投擲術Lv10、
・強化系
HP強化Lv10、筋力強化Lv10、耐久強化Lv10、
・特殊系
HP自然回復速度上昇Lv10、MP自然回復速度上昇Lv6、思考加速Lv10
エクストラスキル
龍斧術Lv10、龍闘術Lv10
・空きスロット:2
______
リュウキは斧を使った一撃の火力を高めたビルドだ。
必須の「斧術」と「魔闘術」に加えて「投擲術」を入れたのは、小斧を投擲できるように習得させた。
強化系は元々高いステータスをさらに伸ばすためにHP、筋力、耐久の3つを習得。
空きスロットは龍スキルを習得させたいが、今の所全てのスキルが入手できているわけじゃないから保留とした。
続いてリュウガのビルドはこれだ。
______
名前:リュウガ
種族:龍人族
Lv 1
HP:150/150
MP :50/50
龍気:100/100
筋力:100
耐久:150
器用:50
敏捷:50
知力:50
スキル
・武術系
剣術Lv10、盾術Lv10、魔闘術Lv10、
・強化系
HP強化Lv10、耐久強化Lv10、
・耐性系
火耐性Lv10、水耐性Lv10、風耐性Lv10、地耐性Lv10、麻痺耐性Lv10、毒耐性Lv10
・特殊系
HP自然回復速度上昇Lv10
エクストラスキル
龍盾術Lv10
・空きスロット:0
______
リュウガに関してはスロットの数が足りなくて、本来つけておきたいスキルをいくつか削った。
本当は耐性スキルの欄に、「光耐性」と「闇耐性」を入れたかった。
だけどこの二つの属性は、魔物でも持っているのは珍しい。
だから食らうと致命的になりかねない麻痺と毒の耐性を優先した。
あとは二人に武器を渡して、龍装を装備させれば終了だ。
俺はインベントリにあるオリハルコンの剣と盾を取り出して、リュウガに渡した。
「リュウガ、とりあえず今はこれを使ってくれ」
剣と盾は名前付きの物は入手できてないから、今はオリハルコンを持たせておこう。
「ありがとうございます英人様!」
そしてリュウキの斧だが……こいつにこれを持たせても大丈夫だろうか?
______
:崩壊と消滅の力が付与された斧。
装備者の魔力または龍気を、破壊エネルギーに変換できる。
______
サクヤを召喚した時に武装ガチャで引いていたこの武器。
説明文もこれだけしか書かれておらず、MPの消費量とかのゲームシステム的な文言が一切無い。
触れただけで俺の手とダンジョンの床を溶かした「
あっちは専用装備でEXランクの武器で、こっちは一個下のランクの武器だからそこまでヤバくは無いと思う。
現にこの「崩滅の斧・ユルングル」は、俺が今手に持っているけど何も起こらない。
全てを飲み込むような漆黒に包まれた大斧をリュウキに渡す。
「リュウキ、お前にはこれを預けるよ」
そうして俺が漆黒の大斧を両手で差し出すと、リュウキは慌てて跪いて斧を受け取った。
「感謝します主人よ」
そしてしばらく「崩滅の斧・ユルングル」を手に持ったり、振ったりと確認した。
「こいつはすげえ! どんな硬いモンでもぶっ壊せる気がするぜ!」
そう言ってブンブンと斧を振り回している。
やっぱり持たせないほうがよかったか?……
「最初に言っておくが、それの扱いには気をつけろよ?」
リュウキには少しだけ釘を刺しておいた。
「わかってるって! そんなに心配そうな顔で見るなよ」
おもちゃを与えられた子供のように目を輝かせている顔を見て俺は悟った。
絶対わかってないなこいつ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます