第27話 追跡
いつもより早く家に帰った俺は、手に入れたスキルオーブを使って自分のスキルを整理していた。
ガチャで手に入れたオーブはそれぞれのスキル毎に40個ほどだ。
リュートに使ったスキルはオーブが足りないため、俺のスキルを上げることはできない。
今後も眷属を増やすことを視野に入れると、普段使わないスキルのオーブは貯めておいた方だいいだろうか?
魔石は「魔石分解」のスキルを覚えたことで、以前よりは格段に集めやすくなっている。
そしてレベル40になって新たに追加された機能が「武装合成」というものだ。
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武装合成
:同一の名前の武器を10個合成して、レアリティを一段階上昇させる。
固有名称武器は不可。
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少し試してみたところ、「鉄の剣(E級)」→「鋼鉄の剣(D級)」→「ミスリルの剣(C級)」という感じで、鉄の剣100本でC級のミスリルの剣になった。
固有名称武器というのは、リュートに持たせている「双龍の短剣」とかだろう。
そこそこ引いたが、この一本しか出ていない。
レベル30で「魔石分解」を手に入れたからか、功績のレベル10ごとにもらえていた「指定スキルチケット」はもらえなくなってしまった。
まあ、魔石を集めればいいだけだし問題はないだろう。
そして俺のスキルだが、主に使っている「剣術」、「魔闘術」、「投擲術」、「火魔法」あたりはレベルを上げよう。
他の武術系や魔法系は、次のドラゴニュートのために温存しておこう。
その他の強化系や耐性系のスキルは、俺を優先してレベルを上げることにした。
そしてスキルレベルを上げた俺のステータスがこれだ。
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名前 天霧 英人
Lv 42(+7)
HP:5200/5200(+700+500)
MP :4800/4800(+700+100)
龍気:146500(−14300)
筋力 :5200(+700+500)
耐久 :5200(+700+500)
器用 :4700(+700)
敏捷 :4800(+700+100)
知力 :5200(+700+500)
スキル
・武術系
剣術Lv10、弓術Lv5、槍術Lv5、斧術Lv5、短剣術Lv5、盾術Lv5、魔闘術Lv8、投擲術Lv10、
・魔法系
火魔法Lv10、水魔法Lv5、風魔法Lv5、地魔法Lv5、光魔法Lv5、闇魔法Lv5、回復魔法Lv5
・強化系
HP強化Lv10、MP強化Lv6、筋力強化Lv10、耐久強化Lv10、器用強化Lv5、敏捷強化Lv6、知力強化Lv10、
・耐性系
火耐性Lv10、水耐性Lv10、風耐性Lv10、地耐性Lv10、光耐性Lv10、闇耐性Lv10、毒耐性Lv10、麻痺耐性Lv10
・特殊系
気配感知Lv5、気配遮断Lv6、魔力感知Lv6、魔力遮断Lv6、危険感知Lv10、HP自然回復速度上昇Lv10、MP自然回復速度上昇Lv6、思考加速Lv7、夜目Lv10、遠視Lv10、言語理解Lv1
エクストラスキル
龍剣術Lv10、龍闘術Lv8、龍圧、龍感覚
コアスキル
・召喚・送喚・スキルガチャ・武装ガチャ・ビルドシステム・インベントリ・龍脈回路・魔石分解・魔石合成・装備合成・功績
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素のステータスは大体下級ジョブのレベル最大付近と同じくらいになった。
そしてついに、いくつかスキルレベルが10になった。
最初は魔石を集めるのが大変でなかなか上がらなかったが、ここにきて大幅に上がったな。
強化系や耐性系、特殊スキルなどは、上位のスキルがあるはずなんだが……
今の所上位のスキルにできる気配はない。
何か条件があるのかな?
まあ当分の間はこのスキルで問題ないはずだ。
ステータスは上位の探索者には及ばないが、俺にはリトスやディーンがいる。
おかげでステータスの方も問題ないだろう。
今できることはやった。
あとは刺客を跳ね除けるだけ……
翌日、日課を終えてダンジョンに向かおうと家を出ると、懐かしい人物が家の前に立っていた。
「久しぶりね、英人」
そこには中学に入学して以来一度も会っていない俺の幼馴染がいた。
「レイナ……久しぶり……急にどうしたんだ?」
天道レイナ、俺の幼馴染であり、天道支部長の娘でもある。
「どうしたもこうしたもないわよ。見たわ、派手にC級に上がったようね。おめでとう」
それでわざわざうちまで来たのか……
「あ、ありがとう」
「で? ステータスが発現したなら、どうして私に何の連絡も寄越さないわけ?」
レイナは少し機嫌の悪そうな口調でそう言った。
ん? どうして連絡する必要が?
「なんでそんなことする必要が? みたいな顔してるわね」
っ!? エスパーかこいつ!
「はぁ、その様子だと、昔の約束なんて覚えてないんでしょうね……」
約束? まずい……そんな記憶一ミリもない。
「もういいわ……私、クラン作る予定だから、英人も私のクランに入りなさい!」
「クラン? それなら俺も――」
「言い訳はいいわ! 約束のことはそれでチャラにしてあげるから。今度のトーナメントで優勝して、クランを作ったらまた連絡するわ。それじゃ」
「あ、おい」
一方的に言うだけ言って、レイナは行ってしまった。
なんだったんだ?
約束に関しては申し訳ないが覚えていない。
最後に会ったのは12歳の頃だし……
と言うより、トーナメントで優勝してクラン作るって言ったか?
俺も大会で優勝して、そのままクランを立ち上げる予定だったんだが……
どうやらトーナメントはレイナと戦うことになりそうだな。
申し訳ないが負けるつもりはない。
俺には目的がある。
レイナに会った後、俺は昨日ライカンを討伐したダンジョンと同じところに来ていた。
ちなみに天道さんから連絡が入り、アーサーさんが無事退院したようだ。
病院には高レベルの「回復魔法」を使える人が常駐しているみたいで、すぐに回復してもらって意識を取り戻したらしい。
俺の回復魔法のレベルだと、ポーションくらいの効果しかない。
これも余談だが、病院で回復魔法をかけてもらうのはかなりのお金がかかる。
アーサーさんのあの出血量だと、「回復魔法」レベル9の「エクストラヒール」が必要になる。
まあ、探索者は割引されるけど、それでも簡単に出せる金額ではない。
話が逸れたが、同じところに来ている理由は刺客を釣るためだ。
イレギュラーは討伐したから、これから他の探索者も増えてくるだろう。
あと数日は、人が少ない状態のままなはず。
敵が襲ってくるとしたら絶好のタイミングではないだろうか?
リュートはできるだけ影に潜ませておこう。
そうしてダンジョンの入り口前の広場に入ると、思ったよりも人が多くいた。
そして俺が広場に入った途端、ものすごい勢いで駆け寄ってくる。
「天霧英人さんですか!? 取材よろしいでしょうか?」
「Dニュースの森田です! こちらにも取材お願いします!」
「昨日の配信見たよ! どう? 俺のパーティーに入らない?」
「京極事務所の鈴木だ。お前を俺たちのクランに入れてやるよ! いい女も用意するぜ?」
「すみません。池袋支部に伝えておいてください! 俺は忙しいので!」
いろいろな勧誘や報道陣を押し退けて、俺は足速にダンジョンに入場した。
ふぅ……昨日の配信は思ったより反響があったのか?
それに「京極事務所」って、確か九州に本部があるヤクザの探索者クランのはず。
ダンジョンを半ば独占して、九州ではやりたい放題らしい。
こんなところまで勧誘に来るのか……
まあとにかく、しばらくの探索は適度に周囲を索敵しながら、魔石集めとレベル上げをしよう。
そして第三層を探索中に、リュートが影から声をかけてきた。
「王よ、何者かに尾行されているようです」
「リュートも気付いたか」
先程から「気配感知」に反応がある。
だけど何か違和感がある……
人数も一人だし、それに俺の「気配感知」のレベルは5だ。
お世辞にも高いとは言えないレベルしかない。
誰かを暗殺するような奴らが、「気配遮断」のレベルを上げていないのは不自然な気がする。
それに人数もひとりだし……複数で来るんじゃなかったのか?
尾行にしては少しお粗末な気がする。
一番可能性が高いのは囮だろうか?
あの尾行の周囲に、高レベルで隠密している奴らが何人もいるとか?
「どうされますか?」
リュートを先に尾行に接触させるか?
いや、まだリュートのレベルは高くないし、敵にやられる可能性がある。
眷属はHPが0になったらどうなる?
こいつらにはちゃんと意志があるし、再び召喚できる保証はない。
もしかしたら……「龍感覚」なら、高度な隠密も探知できるんじゃないか?
少し試してみよう。
「一度龍感覚で探ってみるよ」
「承知いたしました」
「龍感覚」
俺は龍感覚を発動して、尾行の周囲を探る。
龍気が俺を中心に波紋のように広がり、地形や風向き、魔物の動きなど、ありとあらゆる情報が頭に流れ込んでくる。
尾行の周辺に、隠密で隠れている敵はいないようだ。
まあ、そもそも探知できない可能性もあるんだけど。
うーん、あの尾行はなんだ? ダンジョン前にいた取材陣?
それとも今日は襲撃する気はなくて、単純に俺の様子を確認しているだけとか?
しばらくは様子を見るか……
そして、こまめに尾行を警戒しながら、その後も探索を続けた。
尾行は俺たちが進む速度を速めたところで、感知には引っ掛からなくなった。
その後誰も襲ってくる気配はなく、この日の探索は切り上げた。
尾行を意識しすぎてレベル上げが進まなかった……
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