第23話 ビルドシステム
俺は小一時間、このドラゴニュートの名前を考えている。
その間ずっと、ドラゴニュートは跪いたままだ。
こいつは多分オスだ。
声も低いし、筋肉もムキムキだし。
うーん……だとすれば、ドラゴニュートだからニュートかな?
龍とニュートでリュートはどうだろう?
お? リュートは良さそうだな。
漢字にしたら「龍人」と書いてリュート、俺の名前と少し似ている。
よしリュートで決めてしまおう。
異論は認めない。
王なんだから許してくれるだろう……多分。
「よし、お前の名前は[リュート]でどうだ? 知っているか分からないけど、俺の名前が英人だから寄せてみたんだけど」
「リュート……リュート、王の名に基づいた私の名前……ありがたき……幸せ!」
感涙に頬を濡らしながら、自分の名前を噛み締めるように呟いた後、光に包まれ始めた。
光が収まると、ドラゴニュート改め「リュート」が姿を現す。
それと同時に、突然アナウンスが頭に響き渡った。
『ドラゴニュートの召喚とネームドを確認。ビルドシステムが解放されます』
また何か来たな。
ビルドシステム?……後で確認するか。
アナウンスに気を取られていると、リュートのネームドが終わり、姿を現した。
龍に近い顔だったが、今ではほとんど人間に見える。
整った顔立ちに蒼髪の碧眼で、頭部には龍の角が2本生えている。
腰の辺りからは先ほどよりは小さめだが、地面に届くほどの尻尾が生えている。
そしてなぜか服まで着ている。
どっから出てきたそれ?
「我が名はリュート、王の盾であり剣、命をかけて御身をお守りいたします」
「まあいいか、これからよろしく頼むぞ」
「はっ!」
いい返事だ。
慣れてくると気持ちが良いかもしれない。
そしたら次はステータスを見ていこうかな。
______
名前:リュート
種族:龍人族
Lv 1
HP:100/100
MP :75/75
龍気:100/100
筋力:75
耐久:75
器用:75
敏捷:75
知力:75
スキル
・空きスロット:13
______
え?……スキルないのか!?
この「空きスロット」というのはなんだろう?
もしかして、さっきのビルドシステムってそういうことか?
俺は急いで「ビルドシステム」の説明欄を見てみる。
______
ビルドシステム
:C級眷属または契約者に、スキルオーブを消費してスキルを習得させることができる。
習得できるスキルの数は、空きスロットの数まで。
一度習得させたスキルは削除可能。ただし消費したオーブは返還されない。
______
まじかよ……好きなようにスキルを構築できるのか……
これはすごいな!
可能性が一気に広がった気がする。
色々試したいことが多すぎるな……
魔法や弓術を覚えさせて後衛で援護してもらうのがいいか?
それとも盾術を覚えさせてタンクとして前衛に立ってもらうか、はたまた斥候やヒーラーか。
いや、別にどれかに絞る必要はないかもしれない。
眷属は何体でも召喚できるのを確認している。
いろんなビルドを試していけばいい。
ジュエルドラゴンや龍馬はこれまで数が必要ではなかった。
いや、そもそも龍装というスキルは俺だけのためじゃない?
ちょっと試してみようか。
「ディーン、リトスも、出てきてくれ」
「ヒヒーン!」
「ピュイー!」
2体は龍装を解除して現れる。
「二人とも、新しい仲間のリュートだ。仲良くしろよ」
「ピュイ!」
「ヒヒーン!」
リトスはリュートの頭の上に座り、ディーンは頭をすりすりしている。
彼らなりの挨拶なのかな?
「リトス殿にディーン殿、よろしくお願いします。共に王をお守りしましょう!」
「ヒッヒーン!」
「ピュイピュイー!」
うまくやっていけそうでよかった。
「二人共、リュートに龍装してみてくれ」
すると返事をしたディーンとリトスはそれぞれ装備の状態になり、リュートに無事装備された。
ステータスを確認すると、正常にステータスが上昇していた。
つまりはドラゴニュートの数だけ、龍馬やジュエルドラゴンも召喚したほうがいいだろう。
そうなると、魔石がやはり足りないな……。
ドラゴニュートのスキル分に、龍馬とジュエルドラゴンの召喚、あとは……っ!?
そこで気付く、俺には不要だと思っていた能力があることに。
「武装ガチャ」、これは俺の武器を手に入れるためじゃ無くてドラゴニュートのためだったか……
ドラゴニュートに装備させる武器を、武装ガチャで手に入れるということだろうな。
武装ガチャからは今の所低レアリティの武器しか出てきていないが、Sランクなどの強力な武器を持たせれば上級探索者並みの働きはしてくれそうだな。
そうなるとリュートのビルドを完全に仕上げるためには相当数の魔石が必要になる。
これは、一刻も早くクランを立ち上げて、独占できるダンジョンを確保したほうが良さそうだな。
もしかしたら眷属だけでパーティーを組ませて、ダンジョンを攻略させることも可能かもしれない。
そうなると、まずは何から手をつけるべきか……
ひとまず俺のレベルを40まで上げて、魔石分解の効率を40%にする。
ある程度魔石を分解して、リュートのビルドを構築する。
その後はC級を攻略しつつ、俺たち全員のレベル上げ。
当分はこんな感じかな?
現状リュートのスキルを満足に仕上げるほどのオーブが無い。
手に入れたものは全部俺が習得しちゃってるからな……。
刺客が襲ってくるのがわかっている今、俺のスキルやレベルも優先的に上げていかなければならない。
やることが多いな、しばらくは魔石を集めつつレベル上げだな。
当分の課題を決め、俺は残りの時間で第一層でレベリングと魔石集めを続けた。
今日来ていたダンジョンは、虫の魔物で人気がないのもそうだが、生きた魔物の討伐がまだされていない。
そのため探索者は他のダンジョンに比べて圧倒的に少なく、リュートを表に出したままでも騒ぎになることはなかった。
俺のレベルは36に上がり、リュートは一気に8まで上がった。
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名前:リュート
種族:龍人族
Lv 8
HP:800/800(+700)
MP :600/600(+525)
龍気:800/800(+700)
筋力:600(+525)
耐久:600(+525)
器用:600(+525)
敏捷:600(+525)
知力:600(+525)
______
リュートのステータスの上昇幅は、1レベルでHPと龍気以外が75上昇している。
レベルが100になれば、7500程のステータスになるだろう。
大体上級ジョブ持ちと同じくらいの数値になるな。
俺は夕方には探索を切り上げ、ダンジョンを後にした。
______
インベントリ
魔石
・F級:31個(+13)
・E級;1591個(+211)
・D級:337個(+259)
・C級:34
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