第11話 新たな眷属

 オークを討伐した後、6時間ほど第1層で狩りを続けた。


 オークの他にはD級の武器を持ったホブゴブリンソルジャーや、E級の武器持ちゴブリン、F級のゴブリンなどを討伐した。


 今回の成果は、D級魔石30個、E級47個にF級が15個だった。

 基本はE級とD級がメインで出現するため、F級は少ない。

  

 そして俺のレベルが18まで一気に上昇し、リトスは26まで上昇した。


 ______

 名前 天霧 英人

 Lv 18

 HP:1900/1900(+600)

 MP :1000/1900(+600)

 龍気:2800


 筋力 :2000(+600)

 耐久 :2000(+600)

 器用 :1900(+600)

 敏捷 :1900(+600)

 知力 :2000(+600)

 ______


 ______

 名前:リトス

 種族:レインボージュエルドラゴン

 Lv26

 HP:176

 MP:176

 筋力:176

 耐久:176

 器用:176

 敏捷:176

 知力:176

 ______


 強化系のスキルがレベル2に上がっている筋力、耐久、知力は2000に上昇した。


 レベル15で何か新しいコアスキルが解放されるかと思ったが、何も起こらなかったのは少し残念だな。


 今日は昇格試験やらで割と疲れていたようで、帰宅した後はすぐに眠ってしまった。




 次の日、俺は鍛錬と朝食を済ませた後すぐにまた庭にやってきていた。

 

 昨日の探索で溜まったD級魔石で、Dランクの眷属を召喚してみよう。


 直接戦える眷属なら良いんだけど……


 早速眷属召喚を起動し、『D』と書かれた部分をタップする。


 ステータスボードの魔法陣が輝き、眷属のカードが召喚された。

 

 召喚されたカードには馬のような絵が描かれており、種族は『龍馬りゅうば』と書かれている。

  

「馬? うーん……とても戦えるようには見えないな」

 

 まあ召喚してみるか……、


「召喚!」


 すると俺の前方に直径3メートルほどの魔法陣が、表面をこちらに向けて現れた。

 やがてその中心から龍の頭を持つ馬のような生物がゆっくりと出てきた。


「で……でかいな」


「ヒヒーン!」


 召喚されて喜んでいるのが伝わってくる。

 鳴き声は完全に馬だな……。


 だけど見た目はかなり迫力がある。

 体高(背中までの高さ)は1.8メートルほどで、俺の身長と同じくらいある。

 頭は完全に龍で、額には槍の様に鋭く大きな角が一本生えている。

 骨格は馬っぽいが、体毛はなく黒曜石のような黒色の龍の鱗がびっしりと生えている。


 


 しばらく召喚した龍馬りゅうばを眺めていると、突然横から叫び声が聞こえた。


「ぎゃーーー!!!。お……お母さ〜ん!庭に変な馬がいる〜!」


 大きな叫び声に驚きそちらに顔を向けると、鈴が腰を抜かした後、ドタドタと叫びながらリビングに走っていった。


 まずいと思った俺はすぐに龍馬を送還すると、カード化してインベントリに送られた。


 直後に母さんの手を引きながら鈴が戻ってきた。


「まったく、正月の朝からいったい何なのよ……」


「お兄ちゃんが変な馬うちで飼おうとしてるよ!」


「変な馬?……どこにもいないじゃない」


 庭にやってきた母さんはしばらく変な馬を探していたが、すぐに探すのをやめた。


「あれ?……」


「鈴……あなた寝ぼけ過ぎよ。さっさと顔洗ってきなさい」


 そう言って母さんはリビングへと戻っていった。

 鈴は目をゴシゴシ擦りながらキョロキョロと馬を探している。


「お兄ちゃん? さっきの変な馬は何?」


「うーん……秘密だ」


 別に隠すようなことではない。

 バレてどうにかなることは無さそうだけど、正直この力が何なのかが俺自身わからないため、そう答えることにした。

 この力が何なのかがわかったら、その時説明すれば良いかな。


「ぶー、やっぱり変な馬いたんじゃん!」


「ごめんごめん。今はそういうことにしておいてよ」


「……わかった」


 龍馬は目立つな、人の少ないE級ダンジョンで能力を確認するか。


「ちょっとダンジョン行ってくる」


「へ?……お兄ちゃん最近毎日ダンジョン行ってるよね?。少しは休んだほうがいいんじゃない?」


「まあそうなんだけど、早くランクを上げないといけないからね」


「それって……」


「じゃあ行ってくる」


 俺はすぐに準備を済ませ、ダンジョンに向かった。




 E級ダンジョンにやってきた俺は、第一層の入り口と二層への階段から離れた位置にきた。


 E級は魔石の価格も安い上に宝箱も出てこないので、昇給目的以外の攻略はほとんど行われない。

 何かを実験するには最適のダンジョンだ。


 まずは「龍馬」のステータスを見てみる。


 ______

 名前:なし

 種族:龍馬

 HP:500

 MP:100

 筋力:500

 耐久:500

 器用:100

 敏捷:1000

 知力:100

 

 スキル

 ・龍装

 ______

 

 敏捷が一番高く、次いでHPと筋力、耐久が高いな。

 馬だからやっぱり騎乗用の眷属なのだろうか?。


 次にスキルを見ていく。


 ______

 ・龍装:瞬風しゅんぷうのグリーヴ

 龍馬の敏捷値の数値分、装備者の敏捷値が加算される。

 ______


 眷属は龍装スキルで装備できるということで確定かな?


 龍馬の敏捷が1000だから、かなり変わるな。


 確認を終えた俺は、龍馬を召喚する。


「召喚」


 魔法陣が現れ、中から龍馬が出現する。


「ヒヒーン!」


 このまま名前をつけてしまおうか。

 うーん……何にしよう?。


 シーカーリングでネットを起動して、いろいろ調べてみる。

 

 鱗が黒曜石みたいなので、そこから連想してみよう。

 黒曜石は英語でオブシディアンというらしい。


「じゃあお前の名前はディアンでどうだ?」


「ブルル!」


(いやだ!)という様に首を振る。


「じゃあディーンはどうだ?。ヒヒーンと音が似てるだろう?」


「ヒ……ヒーーーン!!!」


 歓喜の鳴き声をあげると、そのまま光に包まれていく。

 

「ディーン」がよほど気に入ったのだろう、まだ提案してただけなのに決まってしまった。


 光が収まると、額の角はさらに鋭く凶悪になり、角の根元から背中にかけてたてがみのようなものが生えた。

 鱗はさらに黒色が濃く、体全体に紫色のラインが走っており、うっすらと輝いている。


 総じて、なんだか神々しくなった。

 

 ______

 名前:ディーン

 種族:天龍馬てんりゅうば

 HP:1000

 MP:200

 筋力:1000

 耐久:1000

 器用:200

 敏捷:2000

 知力:200

 

 スキル

 ・龍装:龍天翔りゅうてんしょうのグリーヴ

  天龍馬の敏捷値の数値分、装備者の敏捷値が加算される。

  空中に足場を形成できる(装備者のみ足場を利用できる)。同時に最大3つまで。

 ______

 

 ステータスが2倍に上がり、「魔闘術」の空歩の様なスキルまでついた。


 とりあえず龍装は使用せずに、ディーンの背中に乗ってみることにした。


 俺はジャンプしてディーンの背中に飛び乗る。

 鱗がゴツゴツして乗りにくいかと思ったが、俺が乗る為なのか背中の一部は少しだけ表面が丸くなっている。


 ディーンにまたがった俺は、(前進)と心の中で意識してみる。

 しっかりと伝わったようで、ゆっくりと歩き出した。


「ディーン、全力で走ってみてくれ」

 

「ヒヒーン!」

 

「おぉ! 疾いな!」

 

 最高速度は時速100キロくらいは出てるんじゃないかな?

 

 ものすごい風圧だが、俺自身のステータスが既に常人ではないので、むしろ気持ちがいい。


 途中でゴブリンに出くわしたが、ディーンがそのままねたり、角で突き刺して魔石に変えていた。

 魔石を余裕で通り過ぎてしまうので、回収の方が大変だった。


 しばらくゴブリンを轢き殺していると、ディーンのレベルが4まで上昇した。

 ちなみに俺のレベルは上がらなかった。

 ______

 名前:ディーン

 種族:天龍馬

 lv4

 HP:1300 (+300)

 MP:260 (+60)

 筋力:1300 (+300)

 耐久:1300 (+300)

 器用:260 (+60)

 敏捷:2600(+600)

 知力:260 (+60)

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 敏捷の上昇値がかなり高い。

 龍装したら俺の敏捷値はプラス2600されることになる。

 高レベルの上級ジョブに匹敵する敏捷値になる。


 D級の眷属でこれなら、S級はどうなってしまうんだろう?

 

 俺はディーンから降りて、龍装を試してみることにした。


「ディーン。龍装してくれ」


「ヒヒーン!」


 ディーンが光に包まれて、その光が俺の足を纏い始めた。


 光が収まると、深い黒色の鱗を纏い、紫色のラインが入ったグリーヴが俺の足に装備されていた。


「おぉ」


 かっこいいんだけど、足以外は父さんのお下がりの革製の防具なので少しアンバランスだ。


 俺は軽く走り始め、徐々に速度を上げていった。

 

 俺のレベルは19で、敏捷値の値は2000ある。

 そこにリトスとディーンの龍装が加わり、5000を超える数値になった。


 今だせる最高速度に到達した時、あまりの速さにものすごい勢いで景色が流れていく。


 俺の思考速度を超えてしまっているため、俺が止まろうとした地点からはかなり離れてしまっていた。


 これは「思考加速」のレベルを上げたほうが良さそうだな……


 新たな眷属の確認を終えた俺は、夕方までD級ダンジョンで狩りをすることにした。

 

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