12:好奇心が猫をころす
(2023/03/21・pixiv)
吾輩は『猫』である。
正確には『虐待を受けた上に非業の最期を遂げた猫』である。
御察しの通り、吾輩は既に死んでいる。今は男子高校生なるものをやっている。金髪猫眼のイケてるDKだ。
生まれながらの金髪ゆえ、幼い頃から苦労した。地毛証明書を提出してもなお疑念の眼を向け続ける大人達には、ほとほと困り果てたものである。まぁ、黒髪の両親の間に、金の髪を持つ子供が産まれるわけがないと思うのも無理はないが……母方の血には異国のものが混じっているので所謂“先祖返り”というやつなのだろう。
吾輩に言わせれば
「前世、茶トラだったからじゃね?」
という感じなのだが。そんなことを固定観念が強過ぎる堅物な大人達に言おうものなら
「『前世』だって? 厨二病を拗らせた不良少年なんて救いようがないぞ」
と憐れまれるのがオチなので絶対に言わない。
因みに、悪友には嗤われた。一言一句違わぬセリフで以て。
その悪友は保育園からの付き合いであり、地毛証明書仲間でもある。
彼のことは『
蒼真はグレーの髪に、水色の瞳を持っている。母親は生粋の日本人だが、父親は西欧の血が混ざりまくっている雄だ。家系を遡るとロシアやベラルーシ辺りの血も入っているらしい。ゆえに顔立ちは日本人のそれではなく、肌も白い。おまけに恐ろしいほど整った容貌をしている。
人間、あんまりにも美しい同族には嫉妬ではなく、畏怖の念を抱くらしい。
蒼真は子供にも保育士にも恐れられ、遠巻きにされていた。
本人は全く気にしていない様子だった。が、それは表面上の話。本当は死ぬほど淋しがっていた。心底、友を欲していた。愛する両親に紹介できる友がいないことを恥じていた。
吾輩にはそれが手に取るように分かった。吾輩もまた、蒼真と同類だったゆえに。
難なく近付いた吾輩を見、つんと顎を上げた蒼真は
「ぼくは『ゆきおんなのこども』だぞ」
と言った。『雪女の子供』——それは当時、周囲の大人が囁き、残酷なまでに純粋な子供が投げつけた渾名だった。
吾輩は「『ゆきおんな』って、あかちゃんうめるのか?」と訊いた。
「え? あかちゃん?」
そう訊き返す蒼真の瞳には、自ら『雪女の子供』と名乗った時に宿った恐怖心が消えていた。代わりに困惑の色があった。
「そうさ。あかちゃんだ。おまえが『ゆきおんなのこども』なら、おまえの母おやは『ゆきおんなのあかちゃん』をうんだ。つまり、おまえの母おやは『ゆきおんな』だ」
「おかあさんは『ゆきおんな』じゃない!」
「だろうな。おまえの母おや、きのうみたぞ。むかえのときだ。おまえの母おやは、にんげんだ。どうみても、かいでも、にんげんだ。おれにはわかる。でも、そうなると、父おやが『ゆきおんな』とまぐわったことになる」
「まぐ……?」
幼い蒼真に“まぐわう”という言葉は難しかったようだ(その後、成長した蒼真に叱られた。「幼気な子供が使う言葉じゃない!」)。が、吾輩は構わず続けた。
「『ゆきおんな』は、ものすごくつめたいときくぞ。なんせ、ゆきのおんなだからな。そんなめすと、まぐわえるか? おれはむり。おれは、あったかいほうがいい」
「うん……そうだな……?」
「だいたい、あやかしと、まぐわえるのか? そんなの、おとぎばなしのなかだけじゃないのか? あやかしとにんげんのハーフなんて、まんがやふぁんたじーの“キャラせってい”ってやつだろ。あやかし、にんげん、体のつくりはおなじなのか?
そもそも『ゆきおんな』は、ゆきがないところで生きられるのか? ちきゅうおんだんかとやらが進むげんだいで『ゆきおんな』は、どこであんしんできるんだろう。ホッカイドウ? でも、ホッカイドウは、ゆきがとける。シベリアだって氷がとけるんだろう? ナンキョクやホッキョクの氷もヤベーんだろ? だったら、ホッカイドウじゃないココで、『ゆきおんな』は生きれるのか? むりじゃないか? そうじゃない?」
蒼真は戸惑うばかりで、うんともすんとも言わなかった。だから吾輩は
「ほんとうの母おやである『ゆきおんな』が、おまえをむかえにきたら……母おや、死ぬんじゃないか?」
と続けた。
蒼真はキレた。とても人間らしくキレた。
「『ゆきおんな』は、おかあさんじゃないもん! しなないもん!」
そう叫んで、吾輩を突き飛ばした。床に仰向けに転がった吾輩の上に乗ると、握りこぶしで殴った。泣きながら、そりゃあもう滅茶苦茶に。
元『虐待を受けた上に非業の最期を遂げた猫』からすれば幼子の拳など、痛くはあるが大した威力ではない。吾輩も爪を立て、猫らしく引っ掻いて応戦した。周囲の子供達は火がついたように泣き喚き、大騒ぎして大人を呼んだ。呼ばれた大人は大慌てで蒼真を吾輩から引き剥がした。
空き教室に吾輩らを押し込んだ大人は、みな蒼真を責めた。大きいのも小さいのも。
「喧嘩はダメでしょ、蒼真くん」
「どうして、お友達を殴ったりしたの?」
呼び出された蒼真の母親も、困惑と恐怖と不安と……とにかく色々な感情を混ぜこぜにした表情で
「蒼真、ちゃんとお話しして」
と促した。未だボロボロと泣いていた蒼真は、小さな手の甲で流れる涙を必死に拭いながら悲痛な声音で
「だって、っ、れおくんが……おかあさん、『ゆきおんな』って……しんじゃうって……!」
と答えた。『れおくん』とは、吾輩の今世の名である。
大人達はギョッとした眼で吾輩を見た。蒼真の母親は驚きを前面に出した。蒼真の母親と同じく呼び出されていた吾輩の今世の母は激怒した。
まるで尻尾を踏まれた猫のような叫び声をあげた母は「玲於!」と鋭く呼び、吾輩の頬を
「なんて酷いこと言うの!」
「だって、みんないうだもん。せんせーも、おともだちも、おともだちのおかーさんも、そーまくんは『ゆきおんなのこども』だって」
吾輩の正直な告白を聞き、ばつが悪そうな顔をする保育士方。
「そーまくんが『ゆきおんなのこども』なら、そーまくんのおかーさんは『ゆきおんな』だよ。そうでしょ?」
まんまるお目々で母を見上げ、吾輩は何処までも純粋で無垢な生き物を意識しながら、甘い声で尋ねた。首を傾げることも忘れない。猫は被るものである。
母は保育士方を睥睨した後、膝を折って吾輩と目線を合わせ、断言した。
「蒼真くんは『雪女の子供』じゃないし、蒼真くんのお母さんも『雪女』じゃありません」
「うん。しってる」
「知ってるなら、なんで——」
「みんなが、そーいうから。でも、ぼくしってる。そーまくんは『ゆきおんなのこども』じゃないよ。だって、もしそうだったら、ぴゅーってして、ぼくをこおらせるはずだもん。『ゆきおんな』は、ひとをカチカチにしちゃうって、えほんにかいてあった。そーまくんが『ゆきおんなのこども』なら、おかあさんみたいに、こおらしちゃえばいい。でも、たたくだけだった。なにより、つめたくなかった。あったかかった。
おかあさん、しってる? 『ゆきおんな』って、とってもつめたいんだって。
だから、あったかいそーまくんは『ゆきおんなのこども』じゃない。ふつーのニンゲンだよ」
そっと空き教室から追い出された吾輩と蒼真は、阿房のように立ち尽くした。しっかりと閉められた扉の向こう側、吾輩の母の声が聞こえる。その声音はとても激情していた。荒ぶりすぎて何を言っているのかとんと聴き取れぬが、怒髪冠を衝いているのは想像に難くなかった。
つと、微かに袖を摘まれる感覚に、視線を扉から真横へ移す。
子供の眼許は痛々しいほど赤く染まり、円い頬には涙が伝った跡が残っていた。が、涙は止まっていた。小さな口が小さく開き、音にならない声を発して、閉じる。ほんの僅かに下唇を噛んだ後、再び小さく開かれた。
「ありがと」
「なにが?」
「……ふつうのにんげんって、いってくれて」
吾輩は呆れた。とてもとても呆れた。「何言ってんだこいつ」とさえ思った。吾輩は思ったことを思ったまま言語化したに過ぎない。蒼真の母親は間違いなく人間で、蒼真も正真正銘の人間である。揺るぎない真実を口にしただけなのに、なにゆえ感謝されねばならない?
しかし、心からの言を「意味が分からん」と撥ね付けるような無粋な元『猫』ではない。吾輩は蒼真からの謝意を素直に受け取った。そして「ごめん、ひっかいて」と返した。
蒼真は「ぼくも」と控えめに笑った。「たたいてごめん」
この日を境に、吾輩と蒼真は友となった。
* * *
決して平々凡々ではない、そこそこ波瀾万丈の小・中学校時代を経た吾輩と蒼真。
高校生になった現在も、平穏で平和的な日常であると断言するのは難しい。
「ねぇ、聞いた? また猫の死骸が見つかったって!」
「マジ⁉︎」
「何回目だよ。四回目? 五回目?」
「ヤバくない? ほんとに連続殺人鬼が越してきたんじゃないの?」
「それか、未来の殺人鬼な」
「よく言うもんな。『猫を殺し始めたら、次は人』って」
「ヤダー! こわーい!」
と騒ぎながら、ギャハハ! と馬鹿笑いする同級生達。
騒々しい輩を横目で見、吾輩は溜息をつく。
吾輩の通う高校がある地域で、猫の遺骸が発見される事案が続いている。
始まりは半年ほど前。戸建て住宅が集まる一角——ゴミの集積場とされている場所に、死んだ猫が横たわっていた。その猫は腹が裂け、
同月。集合住宅で子猫の遺骸が見つかった。発見場所は、やはりゴミ集積場。より正確に表現すると『燃えるゴミ』の籠の裏側。陰になっていて人目につきにくい隙間だった。子猫は痩せ細っていた。清掃員の人間は「野良猫の子供が餓死したのか」と考えた。マニュアルに従い、子猫は新聞紙に包められて次週の『燃えるゴミ』に出された。その週のゴミは回収済みだったので。
翌月。小学校の近くにある公園の公衆トイレ中で、黒猫が死んでいた。その猫の口許は泡まみれだった。次の週には首の骨が折れた灰色の猫が、そのまた翌週には片耳と尻尾のない猫が、再び泡を吹いて息絶えていた。
更に翌月。首のない白黒の斑猫の亡骸が河川敷に捨てられていた。ひと月のスパンを置いて、バラバラに切断された三毛猫の遺骸が市内にばら撒かれた。四肢を潰され、眼球や脳を含むすべての内臓を摘出された茶トラの猫が、空き地の片隅に横たわっていた。その遺骸は半分凍っていたらしい。
そして、今月。
「よく笑ってられるよな。殺されたってのに」
吾輩の独白のような呟きへ、蒼真は
「殺されたとは限らないだろう」
と言い、鼻を鳴らす。彼の瞳には手許のスマートフォンが映っている。輩へも、前の席で椅子を前後逆に坐って背凭れに肘をつく吾輩へも眼を向けない。声は平坦だった。如何にも興味のない様子だ。
「自然死か、病死か……仮に殺されたとしても、本当に交通事故に遭っただけかも」
「それ、マジで言ってんのか? こーんなに不審死が続いてんのに?」
「可能性は限りなく低いけどね。でも、ゼロじゃない」
「そうだけどさぁ……」
「……随分、不満げだな」
蒼真の視線が吾輩に移り、しかしすぐスマホへ戻る。
吾輩は眉を寄せて「当然だろ」と返す。
「なんで?」
「は?」
「なんで玲於が不満を感じるの?」
「なんでって、だって、猫だぞ?」
「あぁ」納得したふうの声を上げ、蒼真は頷く。「前世が『猫』だから、赦せないわけだ。猫殺しが」
「前世うんぬんは関係ねぇだろ。猫だって犬だって鳥だって嫌だわ」
「でも、たかが動物が殺されただけだ。人間じゃない。警察だって動いてる。犯人が動物愛護法違反で逮捕されるのは時間の問題だろう」
蒼真の言う通りだった。一連の事件の被害者は人間ではない。猫だ。たかが動物。されど動物。勿論、ターゲットが動物から人間に変わる可能性は大いにある。故に、地元警察は連続猫殺しの犯人を捕まえるべく捜査をしている。最悪の展開を阻止するために。
尤も、今月も被害猫が出た結果からして、捜査は捗っていないようだが。
「なのに、どうして玲於は『恐怖』や『不安』ではなく『不満』を感じてるの?」
「それは……」
言い淀んで、結局、吾輩は「笑えねぇよ」と答えた。
「生き物が死んで、理不尽に殺されたかもしれなくて、『こわーい!』とか言って、なのになんでゲラゲラ笑ってられるんだ? 連続殺人鬼が潜んでるか、未来の殺人鬼が生まれる兆候かもしれないのに、なんで呑気でいられる?」
「……君ってやつは、相変わらず純粋で単純だねぇ」
「あ? 誰が単純馬鹿だ」
「馬鹿とは言ってないだろう。思ってはいるけど」
「思ってんじゃねぇか」
「ある種の褒め言葉だよ」
机に伏せる形で、スマートフォンが置かれる。液晶画面と天板が当たる小さな音が耳に届く。
「呑気に笑っていられるのは当事者意識がないからさ」
「当事者意識?」
「そう」頷いて、蒼真は言葉を続ける。
「猫が殺されて、もしかしたら猫以外にも——喩えば雀や鳩も殺されていたとして、けれど所詮、他人事なのさ。確かに自分が通う高校がある地域で起こっている事件だ。でも、学校の近くで死体が見つかったわけじゃない。校門に動物の頭部が飾られたわけでもない。死体を実際に見たわけじゃない。捨てられる瞬間も目撃してない。どんなに残酷な現実でも、それは膜一枚隔てた向こう側の出来事としか思えないのさ」
「……それって、現実逃避ってやつじゃねぇの」
どうかな? と首を傾げる蒼真。
「現実逃避をするには、目の前の事象を『現実』として確実に受け入れる必要があると僕は思う。けれど、あそこで下品に笑う彼らは、猫殺しが『現実』だと完全に認識していない。事実に基づいて制作されたフィクション作品を観ている感覚に近いんじゃないかな。或いは現実を舞台にしたリアルゲームでも体験している気分か……」
一旦、発言が止まる。乾いた表面を潤すように、ちらりと出た舌の先が唇を這う。
「とにかく簡潔に言えば、猫殺しも連続殺人鬼も、未来の殺人鬼も『自分には関係ない』ことなのさ。絶対に自分には害のないことだと信じている。自分の飼い猫は殺されないし、自分が殺人鬼の被害者になるなんて夢にも思っていない。
そういうのは全部、他人に降りかかる不幸だと思ってる」
「馬鹿じゃん」
「馬鹿というより間抜けだね」
危機意識が死んだ間抜け。そう続けて、蒼真は微笑む。それは雄の吾輩から見ても綺麗な笑みであった。
実は吾輩、長年抱え続けている悩みがある。どんなに頭を捻っても逆立ちをしても、うんうん唸ってみても答が見つからない。深刻な悩みである。
——なぜ人間は猫を虐待するのか。
吾輩は元『虐待を受けた上に非業の最期を遂げた猫』である。
だから、被虐者の立場や気持ちが理解できる。苦しくて悲しくて悔しくて惨めで、どんなに言葉を並べても足りない。筆舌に尽くし難い感情が嵐のように巻き起こって、いろんな絵の具をぐちゃぐちゃに掻き混ぜたみたいになる。無論これは、吾輩の所感である。個人の感想である。他の被虐者の胸にどのような感想が芽生えるのか、とんと分からない。そして猫以外の動物を加虐するのも、また悪である。
では、なにゆえ加虐者は猫を——己より弱い生物を——痛め付けるのか。
猫殺しの犯人が逮捕された。
大学を中退後、親の脛を囓りながら過ごしていた、取るに足らぬ冴えない男だった。
そいつは猫殺しの動機について「特に意味はない」と語った。敢えて言うなら「生き物を殺してみたかった」が「人間を殺める勇気はなく」「犬をターゲットにする度胸もなくて」、けれど「鳩では物足りない」と感じたらしい。人間は鈍臭い上に辛抱強くないから「飛翔する生き物を捕獲するのが面倒だった」というのも、鳩殺しをやめた理由のひとつではないか。と、吾輩は見ている。
とにかく猫殺しは捕まった。
が。不思議なことに、三毛猫をバラバラにした件と、内臓を抜いた半解凍の茶トラの件については「俺がやったんじゃない」と否定しているらしい。
真偽は不明だ。どこから仕入れたのか分からぬ噂話に過ぎない。
「犯人に『なんで生き物を殺してみたいんだ?』って訊いたら、答えてくれんのかな」
西の空が茜色に染まった放課後。寄り道したコンビニで購入した一口サイズの唐揚げを頬張りながらの疑問へ、蒼真は「そんなこと訊いて何になる?」と顔を顰める。
「こちらが不愉快になるだけだぞ」
「そうだけど。でも、気になんねぇ?」
「なんねぇ」
「なんで?」
「……答が得られたところで、理解できないからだ」
「……まぁ、そうかもだけど」
「それに、『ただやってみたいから』って言うだけさ。幼い子供が理由もなく『ただやってみたいから』奇妙な振る舞いをするのと同じだよ」
反論の言葉が見つからず、ただ黙るしかなくなった吾輩の手許から、唐揚げがひとつ攫われる。攫った犯人は「この件は放っておけ」と言う。
「『好奇心は猫をも殺す』というだろう? あまり余計なことに首を突っ込んで、痛い目に遭っても知らないぞ。噂ではもう一人、猫殺しが居るらしいじゃないか」
「本当に別の猫殺しが居るなら、是非とも訊いてみたいぜ。『なんで死体をバラバラにして町中に撒いたのか』。『手足を潰して、内臓を抜き取るだけじゃ飽き足らず、どうして凍らせたのか』。目的は? 手段は——具体的にどうやった? 猫は何処から仕入れた? 元々いた猫殺しに感化されたのか? それとも罪をなすりつけようとしたのか? おれは後者だと思う。でも、それにしては残虐性が高過ぎる。なんで単純さを見習わなかった? 手の込んだ捨て方や、死体にしたのはなんでだ? 抜き取った内臓はどうした? 考えれば考えるほど動機が分んねぇ。
なぁ、蒼真はどう考える?」
「そうだな……案外、気づいて欲しいのかも。自分の行為を通じて『自分』を深く深く考えて欲しい。考えている様を眺めたい。そして最終的には『自分』より『自分』に詳しくなってもらって、相手の頭を埋め尽くしたいのさ。独占欲の塊だよ。
もしかしたら、その相手を殺すかもしれないね。一生、自分だけのものにする為に」
(終)
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