第63話 天下†夢想の公爵令嬢 Ⅱ ②

カタリナ叶多(かなた)side】


 クッキーが張り切っている処、悪いけど視察であって、悪者退治じゃ無いんだけどなぁ~。


 原作小説では、キャスバルの死をキッカケに落ち着きを身に付けたクッキーですが、シエスタ菜豊(なゆた)お姉ちゃんがキャスバルの死亡フラグを折った為、キャスバル生存ルートの現在では 自由奔放に成長してしまいました。

 今や、暴走機関車クッキーを止めることが出来るのは、シエスタお姉ちゃんだけです。


 時間稼ぎをする為に、

『準備に時間がかかる』

 と、嘘をついて出発を遅らせているけど……



「たっ 大変です ! ウイスキー公爵令嬢が、数人の騎士を連れて出発してしまいました !」


 辺境伯爵軍の騎士さんが飛び込んで来ました。


 うん、知ってた。

 行動力だけは、人一倍なクッキーが じっとなんて出来る訳無いよね。


「何処に向かったか、判るか ?

 当然、尾行を付けているんだろうな 」


 ジークフリートが騎士に問いただすと、


「国境付近で、盗賊が出ている話を部下達がしているのを聞いていたらしいので、おそらくは国境に向かったと思われます。

 尾行には、白い家出身のサイゾウ=コークハイを向かわせているので、ご安心ください 」


 ダイヤモンド連邦国……だけど、誰もがと呼ぶ国から逃げ出した、共和党の残党が組織したとされる武装集団のことは聞いていたのですが、よりにもよって一番最悪の事態に成ってしまいました。


 辺境伯軍から精鋭を選びだして、クッキーへの増援をジークフリートに提案しました。

 念のため、シエスタお姉ちゃんにも通信魔法で連絡しましょう……新婚のシエスタお姉ちゃんには悪いけど。



 ♟♞♝♜♛♚


【ジェリドside】


「スキップ ! スキップ ! 私は大好き~♪駆けっこ、木登り大好き~ ♬ わたしは~ わたしは~ わたしは、クッキー ! 」


 ウイスキー公爵令嬢が、スキップをしながら機嫌良く歌を歌っていた。

 自作なのか、吟遊詩人をしていただけあり、妙に上手いのが腹にたつ。


「なあ、ジェリド。 何で、帝国騎士の俺達が辺境伯爵軍にされた上に公爵令嬢の護衛なんてしなければ成らないんだ ! 」


 カミーユがウンザリしながら怒っているが、


「そんなことは俺に言うなよ !

 文句なら白い悪魔シエスタに言ってくれ !

 後、一応 俺達は扱いに成っているんだから、他の辺境伯爵の騎士や民間人には言うなよ 」


 あの悪魔シエスタに頭を丸坊主にされてから要約、元のリーゼントに戻すことが出来たんだから余計な事だけはするなよ、カミーユ。


 只のメイドだった悪魔が、今や大公閣下にまで出世した上に隣国のお姫様なんて悪い冗談だぜ !

 その大公閣下シエスタから、直々に帝国騎士団に依頼がされて、俺達二人が悪魔と縁があることもあり公爵令嬢クッキーの護衛騎士に任命されてしまったのだ。


「スケサン、カクサン、悪い奴らをブッ飛ばすわよ ! 」


 公爵令嬢の言っていることは解らないが、とにかく凄い自信だ !


「クッキー様。 俺の名前はカミーユで、コイツはジェリドだと何度も教えましたよね !

 いい加減に覚えてくださいよ ! 」


 イライラしながらカミーユが言う。

 本当に短気だよな、顔は女の子みたいなのに……

 もちろん、そんな事を言ったりはしない。

 俺は空気が読めるからな。


「クッキー様、止まってください !

 どうやら、敵さんからお出迎えが来たようですぜ ! 」


 辺境伯爵の騎士団から俺達に付いて来た、キュウベイ=ソルティドッグが警告してきた。


「クッ、油断した ! どうやら囲まれてしまったようだぞ ! 」


 相変わらず、カミーユの勘は凄いな。

 それとも気配を感じるのだろうか ?


 山賊に劣る人数で奴らの相手をするなんて、とんだ貧乏くじだぜ !

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る