第62話 天下†夢想の公爵令嬢 Ⅱ ①
学園を卒業した後、ジークフリートは婿入り先のリキュール辺境伯領に預けられて領地経営の勉強をしていた。
王位継承権は有るものの、継承順位は低い為に王位に就くことは無いだろう。
リキュール辺境伯の三女カタリナも既に学園を卒業しており、結婚は秒読み段階に入っていた。
「ハァ~、旅がしたい」
自然と独り言が出てしまったジークフリート。
正直、クッキーとテリーが羨ましいと云う気持ちも有り、あの二人を捕縛する為にシエスタから要請があった時、一も二もなく飛び付いたジークフリートは、城に閉じ籠り勉強する日々に飽きていた。
原作小説では、キャスバルの死を きっかけにフラフラと放浪の旅をしながら、時には絵を描いたり時にはオカリナを吹き、時には詩を詠む。
まさに自由人だった訳だが、シエスタがフラグを叩き折った為に旅に出ることも無く、真面目?に学園に在席していられたのだった。
そんなジークフリートを見詰めていたカタリナも原作小説を知る転生者だった為にジークフリートが考えていることを予想していたのである。
原作小説の主人公クッキーが悩んでいる時にフラりと現れてアドバイスをしたり、時には王族の権力を使いクッキーを助けていた大人な渋いジークに憧れていた
ストレスが溜まって爆発してクッキーやテリーみたいに飛び出してしまう前に手を打った方が良さそうだと考えたカタリナは父親であるリキュール辺境伯ゼンガーと相談した上でジークフリートに辺境伯領の視察をすることを勧めることにしたのでした。
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視察とはいえ、ジークフリートだけで行かせることに不安を抱いた
「何故、お前等が居るんだ、クッキーとテリーよ !
私の記憶に間違いが無ければ、二人共に反省して領地経営の勉強をするのではなかったか ! 」
気がつけば、いつの間にか クッキー達がリキュール辺境騎士団の中に交じっていたのである。
「アハハ、バレちゃった !
ジークとカタリナ、二人だけの旅行なら邪魔する気は無かったんだけどね。
聞いた処によると、領地視察に行くと聞いて、居ても立ってもいられなくなったのよねぇ 」
「スマン、クッキーを止められなかった 」
クッキーとテリーの顔色は、真逆に成っていた為にジークフリートはテリーを責める気には成れなかったのである。
カタリナが、どうして只の領地視察に興味を持ったのか、クッキーに聞いたところ、
「メイド時代に夜、眠れなかった時に同室だったシエスタに昔話を聞かせてもらったのよ。
ウソップ童話と云う奴で『ミートコモンの世直し旅』と云うのを寝物語で聞いたの。
『昔、とある王国で引退した元王様が近衛騎士のスケサブロウとカクエモンを連れて旅をするんだけど、行く先々で悪い領主貴族や悪い商人を懲らしめながら旅をするお話よ 』
初めて聞く話だったけど、シエスタって物知りよね 」
それを聞いた
クッキーを寝かせつける為とはいえ、
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