夏の祭りでトロピカル
サドヶ島ハワイアンアイランドを観て回って2日、食べ物なんかに薬物反応などはなかったがとにかく酒臭い。
飲み物がほぼ酒とジュース、海水をてんさげ様で濾過した水くらいしかないのだから当然か。
酒は地下で作ったアルコールをカクテルにしているらしい。
「密造の証拠は見付かったが、それ以外にも有りそうだな。」
裏の工場で働かされている人間はパリピではなく普通の陰キャであった。監視役のパリピが怖いのか皆怯えていたが、懸命に働いていた。
そしてここが、クラブのうちのもっとも人が多い人気のクラブだ。
ステージの上ではヤスのような犯罪者たちが鞭で打たれている。サドヶ島の佐渡精文はこれだったのだろうか。犯罪者とはいえ、このような私刑は許されない。必ず救って豚箱にぶち込んでやらねばなるまい。
証拠の整理のためにホテルへの部屋へと足を向ける。
「今年のてんあげ祭りいつだっけ。」
「確か明日……って言っても夜がねぇからあっこの時計で13日の24時だから、あと半日だな。」
「ファイアーダンス、マジ受けるよね」
「それな。」
祭りね……。恐らくそれがヤスが恐れた何かの正体だろう。
「ねぇねぇ、お姉さん達~祭りって何の事?」
「お兄さんてんあげ祭り初めて?チョー楽しいよ。」
「普段とは違ってフェス会場組んでさ、島の中央にあるてんあげ様に供物を捧げてお祈りするの。」
「曲も普段の爆音EDMから、クソデカ爆音ロックになっててね。」
あまり変わらないのではないか。
「祭りのフィナーレが、お供物のファイアーダンスなの。」
「あれめっちゃテンション上がるから、1回観た方がいいよ。」
「ふーん、そうなんだ。ありがとウェーイ。明日会えたら一緒に見ようぜ。」
「「「ウェーイ。」」」
気になるワードが出たな。お供物のファイアーダンス……そして、ヤスの言っていた供物にされていたというワード……。
恐らくは人間を供物として、生け贄にしているのだろう。
それにしてもファイアーダンスとは何を差す隠語なのだろうか……。
その後酒場などで聞き込みを継続し、ファイアーダンスは祭りのフィナーレである24日の24字と判明した。俺は明日に備えて寝ることにした。
3時間程度仮眠したところで爆音で起こされる。普段から音は聞こえるが我慢すれば眠れるホテル区画でさえ耳を塞ぎたくなるような爆音が流れている。
「てんあげ祭りの開催FOOO!!」
祭りのスターティングセレモニーだった。ここから2時間ほどロックフェスが挟まり、僅かに静かになった。
まだ2時……やることもないし寝直そう。
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