第14話 爆速攻略2
氾濫の発生源に近づけば近づくほどモンスターの質も量も増えていく。煉としては機動力を潰すため遭遇したモンスターの足付近に攻撃を与え、すぐ離脱を繰り返しているためそこまでの消耗は無いが、防衛班の様子が気になる。
『美獣』の2人もいるのでそこまで心配する必要は無いかも知れないが、それでも防衛班の負担が大きいようであれば遭遇したモンスターの掃討も検討しなければならない
【現状、問題なく防衛できています。それよりも煉さんは大丈夫ですか? 少しずつダメージや疲労が蓄積してきているように感じますが】
「極力戦闘はしないようにしてますし、しても戦闘時間は少ないですが、流石に強いですね。まあダメージも疲労はありますが…ういしょっと。ポーションを飲めば基本解決するので問題ないです」
【流石に特級探索者ですね。ポーションを水のように】
ダンジョンでモンスターを倒した際、ごく稀に発生する現象ドロップ。このドロップにより得られるアイテムをドロップアイテムという。その中でも人気のアイテムがポーション系である。医者いらず、回復スキル持ち要らずのポーションを常備したい探索者は多い。
しかしドロップは稀にしか発生せず、しかも深い階層になればなるほど発生するという法則がある。そのため通常の探索者には手に入れにくい品なのだ。
「ポーションは個人所有が認められてなかったですし」
【そこに関しては私からは何とも】
「自分はそれなりに持ってるので今のところは大丈夫です」
現在は制度が大幅に変更され所有できるようになったが、昔はポーションがドロップしても国に少ない報酬金と引き換えに取られていたので、本当に常備出来ている探索者は少ない。
「前方から約20匹、脇道をすり抜けていったのが40から50。戦闘に入ります」
【了解。前方のモンスターはダークデーモンの群。群の最後尾にいるのがリーダーのイビルデーモンです】
「りょうか、い! っと流石デーモン種、『魔力感知』も俺より断然精度が高いし、魔法の効果範囲も広いな」
煉が『魔力感知』で感知した段階には既に攻撃魔法を放ってくる攻撃範囲の広さ。これがデーモン種の厄介さである。
ただダークデーモン、イビルデーモンクラスであればさほど脅威ではない。飛んでくる魔法を避け、弾き、斬る。そうして接近し攻撃する。すると
「ギャァァァ!」
「痛みへの耐性が無いから一撃食らわせば戦意を失う。比較的倒しやすいモンスターだな」
【………】
そんなことはない。デーモン種はそもそも接近するのが難しく、不利になるとすぐに逃亡する狡猾さがあるため倒すのが困難なモンスターに分類される。特にイビルデーモンに至っては全員での魔法攻撃が失敗した段階で逃走の判断を下していたくらいである。
気がつけば煉が接近し剣を振り下ろしていた。ホラーである。
「次の階層が氾濫の発生階層ですよね?状況はわかりますか?」
【現在、下層に設置してあった定点カメラをその階層に移動させて確認していますが、守護者は
「竜王は良いとして竜人種は組織的な動きを得意としてる筈ですよね。となると今回の氾濫の守護者が竜王ってかなり運が悪いな」
他のモンスターが守護者ならばモンスターの数が増えても連携してくることは少なかっただろうが、しょうがない。
「これ以上増えないうちに叩きます」
【ご武運を】
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