九州旅行(仮)

第39話

あれから、2週間くらいたった。


俺は普通に働いていた。

普通に車で仕事にいって普通に帰ってきている。


スライムをひいてレベル99になる前の生活と同じ生活だ。


あの激戦。正直疲れたよ。

戦った次の日から数日は本当にきつかった。


ずっと懈怠感が続いていて、一日中動けなかったんだよな。


年とると筋肉痛が長引くって言うけどさ、俺、もう年なのかねぇ

いや、まだまだそんな年じゃないけど。


ひょっとして急にレベルをあげた反動だろうか。

代償なしに急激なステータスを得たことのでそれで全力を出したからか?


もしかして、これのせいで寿命が短くなったりとか・・・・・・?

孫に囲まれながら大往生したかったのに・・・・・・。


まぁ、まだ相手いないんだけど。悲しい。




あれからダンジョンには…ちょっと入っていない。

入らずに普通に働いている。


うん、あの後、冷静に、冷静に考えたんだ。




「あんな死ぬ目に二度と会いたくねぇ!」


レベル99で余裕だと思ってたら一撃死コースの裏ボスがいきなり出てきたんだぞ!

俺は少し前まで一般人だったんだ! いやに決まってるんだろ!


というか裏ボスってなんだよ…。

何で俺は初心者ダンジョンっぽいところに行って裏ボスと戦ってるんだよ。


それに裏ボス倒した後、第1試練とか言ってたから、第2第3とかもあるんだろうな…。

あの開幕一撃死コースの攻撃をしてくる奴がさ。


「あの仕組み考えた奴は、ダンジョンに入る奴全員を修行マニアかなんかだとでも思ってるんだろうか?」


ハードモードすぎるだろ。

ゴブリン軍曹が恋しい。あの首を飛ばす感覚が懐かしい。


とにかく、裏ボスとの戦闘なんて絶対にやりたくない。

絶対にだ。


戦闘狂じゃないんだ。俺は俺より弱い奴と会いに行きたい。


「まぁそうなると、もしスキルも得たくなっても得られないってことか」


裏ボス戦を避けるということは、ボス部屋にも入れない。

ボス部屋に入ったら出てくる可能性があるからな。


これ、新たなスキルをボスから得られないってことになる。


つまりスキルを得るためには髪の毛を刈らねばならない。


「これは、もっと髪の毛を刈れという天啓か…」


作ってしまうか、ハゲの帝国を。



「後それに加えて、魔王種初討伐の称号とスカイツリーの円環、関係ない可能性があるんだよな」


あの開幕ぶっぱの裏ボス。

あれはおそらく魔王種討伐の称号とは関係があるっぽい。


裏ボス戦の最初のあの宣言。


『これより、その道が開かれる』


つまり、魔王種初討伐の称号と裏ボスと関係があるってことだ。


逆にいえば、おそらく円環とは関係はない。

おそらくだけどな。


俺がダンジョンに潜る目的はあのスカイツリーの円環のことを調べるためだからだ。

もっというとあの円環と俺との関係だ。あの円環が俺のせいだなんていやだからな。


だから、今回のダンジョン攻略で俺が深層にまで潜る理由は…あんましなくなった。


正直、今回のダンジョン攻略は成果0というか、見方によってはマイナスだ。


「だが、魔王種討伐の称号と円環は同時には出たんだよな。たまたまだったのか?」


あのスカイツリーの円環は何だったんだろう。

不明なままだ。


そんなこんなでダンジョンとは疎遠だ。

というか、俺ダンジョン関係でいやな目にしか遭ってなくない?


いきなりダンジョン協会に殺されるし変態に会うし裏ボスと戦う羽目に会うし…。


運999さん?



まぁけど、彼女たちと出会ったのは運が良かったか?

巻き込んで申し訳なかったが、正直一人じゃ死んでた。


彼女たちがいたおかげで俺は助かったよ。


最初は遥の変態シーンみて理不尽に追われて運が悪いと思ってたけど、運良かったな…。


これやっぱ運999機能してるんじゃない?

不運999とか運-999とかいってごめんなさい。


…一度、後で宝くじ試してみるか。

ジャンボも夢じゃない。





宝くじはさておき、元気にしてるかね。あの6人組。

最後思わず逃げちゃったけど、大したお礼もせずに行ってしまったなぁ…。


盾の子、天河瑞樹にも結局お礼言えずか…。

悪いことしちゃったな。


「それに」


俺は部屋の片隅においてある盾をみる。


「盾、借りパクしちゃったよ」


これが唯一の成果か?

借りパクが成果ってなんか窃盗犯みたいじゃん…。


やばいなこれ、カルマが悪よりに傾いてないかこれ?

俺のスライムの進化先、ダークスライムとかになってない?


もしくはスライムシーフとか。なんかエロそうじゃん。

ハゲスライムとかもあるかもしれん。禿を愛するスライムだ。


スキルにも愛されてそう。

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