第29話 恋バナ
———まだ期末テスト前のある日のお昼時間。
———いつも陽葵と二人でいる事が殆どの昼休みだが、今日は珍しく芳賀さんが私達と一緒にお弁当を食べていた。どうやら相談したい事があるらしい。
「
入学当初、芳賀さんは高瀬さん推しだったが、文化祭準備での正吾君と高瀬さん衝突をみて、高瀬推しはやめたらしい。
異性に対しては結構きつい性格をしていてクラス内の男子は彼女にあまり寄りつかない。たまに他のクラスの男子が告白してくるが、玉砕……微粉砕している。
そんな芳賀さんから相談だ。
「気になる人ができたんだけど———」
———何の前触れも兆候も無く突然の話にちょっと驚いた。
「———で、どこのどいつ?」
陽葵は言葉だけ聞くと適当っぽく感じるけど、前のめりになって色々聞き出そうとしている。聞く気満々だ。
「———1-Dの小堀空君」
「「ぷっ!」」
私と陽葵は思わず吹き出した。芳賀さんは私達と空君の関係を全く知らない。知らないからこそ相談して来たんだと思う。その方が言いやすいこととかあるからね。
「———丹菜、ちょっと落ち着こうか」
陽葵は私の目を見て言ってる。その状況を見た芳賀さんは当然「?」という表情になっている。
「うんとね、結論から言うと、小堀空には彼女は居ない」
「———え? 何で知ってるの?」
「あいつね、一応、私達の友達……なんだよ」
「えー! そうなの? それなら、ちょっと詳しく教えて欲しいんだけど」
なんか芳賀さん目がギラついてきた。結構肉食系のようだ。
「その前に、空の何処に惹かれた? キッカケは何?」
「私さ、十月から生活美化委員やってるでしょ? その委員に小堀君も入ってるんだけど、委員会活動で集まると、いつのまにか小堀君が一年生まとめて指揮取ってたりして……なんか彼のリーダーシップに惹かれた見たい……なんだよ」
「あー、入学当初、このクラス、
「私、引っ張って行く人にどうも弱いみたい」
「だったら正解だよ。空のリーダーシップっぷりは私達が保証するよ。で、どうしたい? もう少し様子見る? それとも紹介する? 私も丹菜も普通にあいつと友達だし、私達にも本命居るから気兼ねなく攻めていいよ」
「ありがとう。ちょっと彼氏っていたこと無いから……どうしていいか分かんないってのが正直なところ……かな? それより、二人に本命がいるってのも気になる話しなんですけど」
「おっと、これはオフレコで。バレると
そう言って、二人で私を見る。
「内緒でお願いします」
ここは空君にそれとなく聞いて反応を見ようと言う事になった。
・
・
・
———省吾君の部屋。
只今絶賛お食事中だ。今日のお夕飯はスキヤキです。正吾君は「美味い!」を連呼している。本当に美味しそうにパクパク食べてる。
そんな正吾君の姿を見ながら、私は芳賀さんの話を切り出した。
「昼休み、芳賀さんから相談あったんですけど……聞いて驚いてください」
「———芳賀さんが相談って珍しいな」
「芳賀さん、空君が気になてるそうです」
「ぷっ!」
正吾君が吹き出した。でも、吹き出した理由は驚いたのとはちょっと違ったようだ。
「———前振り無しでいきなりだな。悪いが今の話ちょっと横に置いといてくれ。俺からも報告がある」
「———何ですか?」
「昼休み、空から相談受けた。『芳賀愛花』が気になるって」
「ぷっ!」
今度は私が吹き出した。ごめん、省吾君に顔にちょっと飛んじゃったよ。
「どうやら、空が最近なった生活美化委員の活動で、芳賀さんの気が効く行動に目が行ってて気づいたら惹かれたらしい」
私も芳賀さんの惹かれた部分を省吾君に教えてあげた。
「それじゃあ、やる事は一つだな」
「そうですね。勉強会でいいでしょうか?」
「そうだな。場所は……大地のスタジオか? テーブルあったよな?」
「ところで大地君はこの事知ってるんですか?」
「知ってる」
「なら善は急げです」
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