第9話
目の前に極上の料理が転がっている。火車とは罪人の死体を喰らう妖怪。俺にとって、月神は食べる事が出来ない三ツ星料理のようなもんだ。
「美味い飯が喰いてえな」
俺は電車に揺られながら呟いた。
「次は、もっと美味い奴だといいね」
月神は合いの手をうってきた。こいつは知っているはずだ。俺が本当に喰いたいのは、おまえだということを。
月神はいつも嬉しそうに俺を見ている。それが腹がたって仕方がない。こいつを殺せるまで、この旅は終わらない。
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