第19話 最終章 新曲が売れ始めた
最終章
東京に出て七年半の歳月が流れていた。十八歳で高校卒業と同時に芸能界への世界に入り一年弱でテレビの画面に私は出るようになった。そしてあっと言う間にスター街道へ 、しかしそれも束の間、芸能界とは恐ろしい所だと嫌というほど骨身に沁みた。
もう私は先生が作った曲に賭けるしかない。するとバイト先の音楽事務所が応援してくれるという。但し売れたら佐原音楽事務所の専属になることで話がついた。するとスタッフ総出でラジオ局、有線放送局、レコード店など売込みに出た。
二十五歳になり更に半年が過ぎた頃、有線放送で私の曲がリクエストされるようになった。何度も門前払いをくらい。歌の下手な元アイドル歌手とあざ気笑う者達への口惜しさを耐えて廻った。しかしそのデモテープは捨てられずやっと陽の目を見た。やっと努力が実り先生の作曲した私が唄った曲が日の目をみた。
これも先生や息子さんの事務所のスタッフが協力してくれたからだ。
私達が売り込んだ曲は(微笑むだけ)これまで演歌にはない、メロディーでしっとりと聞かせてくれる。誰が唄っているんだ。いいねぇこの歌は。そんな声が聞こえてくる。
私は先生の下に駆けつけた。先生は喜んだ。私の為でもあるが自分の新しい曲が大衆に受けた事を。七十一歳にして新しい道が開けたことに先生は涙を流して喜んだ。他にも先生の息子である佐原音楽事務所の応援のおかげでもある。
つづく
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