第23話 神澤視点


望月さんと別れて、部屋に残った私。


神澤 真梨菜:「ほんと、どうかしてるよ……私ってば」


二階に上がるのも怖くて、望月さんの腕にしがみ付いていたのに。


自ら殺人現場を調べるなんて、警察でもないのに、どうかしてる。


でもここは普通じゃない。


望月さんは気配を感じる力が覚醒してるし。


私は残りバッテリーが少ないスマホのライトを点けた。


神澤 真梨菜:「よく分かんないけど、絶対ここに何かある」


……気がする。


私は部屋を見回した。


血だらけのベッド、本が散乱している埃の積もった本棚、ビニールが破けて綿が露出する小さな椅子、倒れているテーブル、壁や床に残る茶色いシミ。


私は本棚に向かった。


神澤 真梨菜:「あるなら、ここぐらいだよね」


まずは床に落ちている幾つかの本を拾い上げる。


倒れているテーブルを起こして、その上に埃だらけの本を置いた。


神澤 真梨菜:「絵本ばっかり……ってことはやっぱり子供の病室か」


おそらく私たちの前に現れた少女の病室だろう。


『人魚姫』『シンデレラ』『赤い靴』を大人が男の子に与えるとは考えにくい。


表紙の笑顔はキラキラしているはずなのに、埃をかぶっているせいで灰色の笑顔は不気味に見える。


パラパラとページをめくる。


神澤 真梨菜:「ゲホッゲホッ……」


埃を吸ってしまい、咳き込む。


なるべく埃を吸わないように、手の甲で鼻を抑える。


三冊の絵本をめくったが、何かヒントになるようなものは見当たらなかった。


私は手の埃を払いながら、本棚の前に立つ。


引き出しの付いている立派な本棚だ。


神澤 真梨菜:「子供にしては大きい本棚だなぁ……本が好きだったんだろうな」


背表紙だけ見ると、先ほどと同じ様な絵本や、小学生の教科書もあった。


神澤 真梨菜:「なかなか学校行けなかったのかな……」


少女は重い病気で学校に行けず、苦しんで亡くなったと仮定する。


だから生きてる私たちを恨んで、廃病院に閉じ込めているのだと考えれば不可解な状況に説明が付く。


神澤 真梨菜:「その説が正しかったら、成仏してくれないと出られないかもなぁ……」


私は本棚から教科書を引き抜く。


『算数 5年 上』


適当に取った教科書の裏表紙に、スマホのライトを当てて確認する。


名前らしき文字は書かれておらず、使い古したような汚れの他に血痕が確認できた。


パラパラと教科書をめくったが、特に何もなかったので本棚に戻してため息をつく。


本棚を見上げるが、似たような本ばかりで手を伸ばす気にはなれなかった。


神澤 真梨菜:「う~ん……本当なら全部調べたいけど、望月さん戻って来た時に収穫が無いと何か言われそうだしな……」


そう呟きながら、本棚の引き出しを開けた。


神澤 真梨菜:「ん……?」


引き出しは途中で何かに引っ掛かり、止まってしまう。


そういう仕様なのかと思って隣の引き出しを開けると、隣の引き出しは大きく口を開いた。


中には鉛筆や定規など、学校で使うような文房具が入っている。


神澤 真梨菜:「やっぱ、何か引っ掛かってるんだ……」


私は膝をついて、引き出しの中を覗き込んだ。


神澤 真梨菜:「あ、なんかある」


引き出しの中は何も入っていなかったが、上部にガムテープで何かが貼り付けられていた。


まるで見つからないように隠しているみたいだ。



◇◇◇


選択肢

    『取る』

    『取らない』


◇◇◇



私は迷った。


少女が私たちを閉じ込めている原因が、隠していた「これ」で解る気がした。


でも隠していたのだから、取ったら祟られてしまうかもしれない。


神澤 真梨菜:「で、でも……」



▶『取る』



収穫が欲しくて、手を伸ばす。


私は手探りでガムテープを剥がした。


神澤 真梨菜:「何だろ……」


引き剥がしたら「これ」は分厚く、重い。


ガムテープが巻かれていて、正体を確認することは出来なかった。


神澤 真梨菜:「これじゃ、重いガムテープの塊ね」


どこからか剥がせないか、色々な角度で「これ」を観察する。


神澤 真梨菜:「ん~……無理そう」


爪でカリカリとガムテープを剥がしてみるが「これ」とガムテープが一体化したのかと思うほど、剥がれる気配は全く無かった。


神澤 真梨菜:「あ、引き出しにハサミがあるかも」


先ほど文房具が入っていた引き出しをもう一度開けた。


神澤 真梨菜:「えぇ、ハサミもカッターも無いや……あ、電池がある」



◇◇◇


入手アイテム

『四角く重い「何か」』を手に入れた

『単三電池1本』を手に入れた


◇◇◇



ガサガサとあさってみたが、刃物として使えそうな物は何も入っていなかった。


神澤 真梨菜:「しかたない。他の情報を探してみるかな」


トントントン……


神澤 真梨菜:「あ、望月さんが帰って来た」


私は本棚から扉に視線を移す。



◇◇◇


選択肢

    『扉を開ける』

    『扉を開けない』


◇◇◇



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