第97話 グレイル視点

グレイル視点です

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「ダン!」

「ああ、グレイル思ったより早かったですね……って、早いということは……相手の反応が悪かった?」

 ダンが書類から視線を上げて、俺に同情の目を向けてきた。

「黄色い薔薇、駄目でしたか?」

「いや。名もなき花をまた持ってきてほしいと頼まれた」

 ダンが俺の話を聞いてうんと頷く。

「薔薇よりも名もなき花を喜ぶとは変った女性ですね」

「しかも、今度は根っこがついた状態で持ってきてほしいと頼まれた。俺の贈った花を、植えてずっと眺めていたいと思ったんじゃないかと思うんだが……ダン」

 ダンがペンをペン立てに置いた。

「殿下、間違いないでしょうね。嫌いな人間から貰った花はそのままゴミにするという話ですから。ずっと眺めていたいということは、少なくとも殿下のことを嫌ってはいないのでしょう」

 少なくとも……嫌ってはいない?

「嫌われてはいないか……だが……」

「どうしたんですか?浮かない顔をして」

「指輪……が」

 ダンが立ち上がった。

「グレイルの指輪、もしやその女性の指から抜けてグレイルの指に戻って来たんですか?それって、嫌われたってことでしょう?いや、もう、花を持ってきてほしいとそこまでは好感触だったのに、その後何をやらかしたんですかっ」

 殿下呼びからグレイル呼びに変わった。ダンの感情が高ぶっている証拠だ。

「いや、何もやらかしてない……」

 ただ、別の男からの指輪も持っていた。

 リツは……本当に俺のことは、嫌っていないというだけ……。別の男の指輪……。ワーシュとか言う男……。

 奴の方が好きなのか?リツは?

 それとも、俺と同じように嫌っていないだけなのか……。お礼にもらったと言っていた。

「なぁ、ダン……。もし、食べもののゴミと生肉を貰ったらどうする?」

「嫌がらせの話ですか?」

 いや。リツは嫌がらせなんてしないだろう。

 宿でいらなくなったパイナップルと生肉で料理をしたと言っていた……。料理だと思っているんだ。リツは。

 さっきも、鍋に泥水を入れていた。自分が食べられる物は料理だと思っている。

 かわいそうに。今までどんな食事を取って来たのか。

 きっと、指輪の主も、リツがかわいそうな子供だと思って指輪を渡したんじゃないだろうか。

 そう、そうだ。そうに違いない。そもそもリツを大人の女性だと思うことがないんじゃないか?

 ってことは、指輪の主の男は、単に親切な人?

 いや、親切だけなら指輪じゃなくて魔石やお金を渡せばいいんじゃ?

 そもそも魔力をまとわせた指輪なんて……。




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間があきましたが。泥水はココアですよー。

生肉とパイナップルは肉を柔らかくしたんですよー。

ゴミでも泥水でもないですよ……そして

大人の女に見られるわけないとか、何気なくディスってますねwwww


引き続きよろしくお願いします!!

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