第60話
例えば、出入りするとしたら普通は商人が荷物を運ぶとかですよね。その多くは食料でしょうか。
宝石や装飾品なんかはそれほど頻繁に行き来はしないような気がします。服や鍋などの日用品は街の中でも作られている気がします。
うーん、食料の行き来がないだけで、近隣の街や村から野菜などを売りに来ることもなくなるわけですよね。
近隣から来るなら祝福を受けに……ですか。この町の教会だけの特別な本物の料理も食べられるという話ですし。魔石は畑で手に入れてましたから、ファンタジーにあるような冒険者がダンジョンや森や平原に獲物を狩りにということもないんですね。肉や山の幸を求めて街の外へ行くこともない。
なるほど。本当に食料事情が違うだけで、生活のいろんなことに差が出てくるんですね。
などといろいろと考えながら時間をつぶします。
どれくらい時間がたったでしょうか。漫画のネタを考えてぼんやりしている間にあっという間に時間が過ぎちゃうこともよくあるので、待つのは苦ではないです。
いろいろ街の様子を目に焼き付けていきます。スケッチがしたいですが、あいにくメモ用紙とボールペンしか持っていません。お金が入って余裕があれば、紙と筆記具も欲しいところです。筆記具はどんなものでしょう。羽ペンとかガラスペンとかでしょうか。
インクツボにペン先をつけて書くものであれば、デジタルではなくちょっと前の漫画を書くための道具としては一般的でした。ちょっとあこがれもあります。練習すればきっとうまく描けるようになるはずです。
筆系だったら……結構大変かもしれません。ミック君は知っているかな?というより、識字率が低くて、文字を書いたりする人が少ないとなれば、筆記具も需要が少なく高級品かもしれません……。それはちょっと困ります。
紙は最悪作りますか?和紙みたいなもの……なら作れるかもしれないです。バナナの葉っぱでも大根でも紙は作れるのですから。……書き心地は慣れるしかないですよね……贅沢は言えません。ペンもなければ筆でもなんでも作って、インクも花の絞り汁でもなんでも作る。
そういえば、そういう漫画がありましたね。本が読みたいから紙から作るみたいなやつ。……その気持ちわかります。
絵が描きたい。材料がなければ作ってでも絵を描きます。あ、壁画という手も……いやいや、壁画かぁ……。うーん。
「あ、なんだか考えが明後日の方にいっちゃいましたっ」
ハッとして我に返ると、気がつけばあたりが薄暗くなっています。
そうか……もう日が沈むんですね。
お店からは灯りが漏れています。マーリーさんの宿は食事もできるということだからか人の出入りがありますが、入り口にたってこちらを見ているシルエットが見えました。
……あれ?マーリーさん、もしかして私のことを心配して様子をうかがってくれているのかな?
ミック君が売りに行くと言ってどれくらいたったでしょうか。
……それほどの量があるわけでもありません。肉2枚分……親指サイズの魔石2個分の肉です。
高級品で買う人がいないというわけでもないでしょうし……。
売れないわけはないと思うんですが……。ミック君、少しでも高く売ろうと粘ってくれているのかな……?
それとも……。
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