第19話
「どこに行きたいの?畑?森?」
畑?畑があるんですね。そりゃそうですが、畑……ってことは、何か食べ物があるってことでは?
魔石と物々交換してもらえないでしょうか……。
ぎゅーくるるぅん。
ちょっと畑を見て、魔石との交換をお願いしてみようと思います。
兵士さんからもらった魔石が、パン1個分、およそ100円というのならば野菜の1つくらいは交換してもらえるのではないでしょうか。玉葱でも人参でもピーマンでもなんでもいいです。上手くいけばダッチオーブンみたいな蓋つきフライパンで蒸し野菜とかも作れるかもしれません。だめでもフライパンですし野菜炒めが作れます。ふへへへ。
==========(↑復習 ↓続き 視点戻ります)
――と、思っていたこともありました。
畑は畑でも、「魔石畑」と呼ばれるものでした。
だいたいパンサイズの魔石が採れる小型の魔物を飼育しているところです。
そういうの、畑とは言わず、えーっと、なんていうんだろう。
鶏を育ててるところは養鶏所。豚は養豚所。牛は養牛所とはいわずに牧場とか牧場っていうのはなんでですかね。
魚は養殖っていいますし、養魔物所?
とにかく、畑じゃないと思いますっ!
……ちなみに、養鶏所タイプの建物にびちっと詰め込まれてるところもあれば、柵で囲ったところで自由に動き回っているところもあり……さらには、土に埋まっている魔物……引っこ抜くと叫び声を上げそうなもの……も色々ありました。
……土に埋まっている魔物のところだけは畑ってよんでもいいとは思うんですが、ですが……。
やっぱり、畑じゃないと思います!うえーん。
ショックで目の前がちょっと暗くなりました。
ぐぅ~きゅるる。
野菜は諦めて、パンを食べましょう……。
森はあっちだと言われた場所に改めて移動します。
あまり街の近くで火をたくのもはばかられ、歩いて30分ほど。米粒魔石を拾えそうな場所まで移動してきました。
ぐぅ~きゅるるん。
はー。お腹空きました。
急いで火をおこします。炭を粉にしたものがあるので、弓きり式前回からかなり時短で火がつきました!最高です。
適当に石を置いてその上にフライパンの蓋をさかさまに置いて、その上にパンを載せました。蓋!役に立ちます!
ダッチオーブンみたいな蓋ですから、鉄板?みたいなものです。パンが温まったころ合いで木の棒で挟んで取ります。火傷をしないように注意します。
「ほう、パンです。パン……ナンみたいですけど、いただきまーす!」
……もぐもぐ。
ごっくん。
もぐもぐ……。ごっくん……。もぐもぐ……。
ふわぁ。お腹が空いているのに、半分も食べないうちにもういいかなという気持ちになってきました。
皮です。何らかの皮だけの味です。お好み焼きの皮だけとか……あ、いえ、お好み焼きの皮の方が出汁とか入っていて美味しいと思います。でもソース味がついていたらもっと美味しく食べられると思うんです……。
そう、味、味がないんです。小麦粉の風味を存分に味わえるというのを売りにしているパンとかもあると思うんですが……。
小麦粉だけとなると話は別だと思います……。塩のひとつまみも入っていない純粋な小麦粉のような気がします……。味気ないです。
かさっとポケットのふくらみが揺れました。
「あ!そうでした。チィロールチョコがまだあったのです!」
チョコを載せて焼けばチョコが溶けて、チョコパンに!
「……いえ、もう、チョコはしばらくご飯では食べたくないです……あと、出せるものと言えば、うまいんだ棒」
パンにあううまいんだ棒って何かありましたっけ?
■
「そうです!ピザ、ピザ味のうまいんだ棒と一緒に食べれば、ピザになるのではないでしょうか!」
米粒魔石を手に載せてうまいんだ棒ととなればピザ味のうまいんだ棒が出てきました。とりあえず3本。
袋から出して、コップに袋についている粉を入れ、うまいんだ棒の周りの粉がいっぱいついているところをコップに入れます。
1本はそのままコップに入れて粉砕。そして少量の水を入れて、溶かしていきます。
練り練り……うん、においはピザ。見た目は……多少はピザソースのように見えないこともないような……。
平ぺったいナンのようなピザクラフトのようなパンの表面に、作ったピザソースモドキを塗ります。
「……」
えーっと……。
なんでしょうね。見た感じいまいちです。食べれば美味しいのでしょうか。
……ピザって、ソース塗っただけだと頼りない食べ物ですね。サラミとかチーズとか載ってないと。
「あ!もしかして……?」
記憶違いかもしれないけど、駄目で元々。
米粒魔石を手の平に載せて呪文を唱えます。
「おやつのカルパーン」
小さなサラミのような駄菓子です。2~3センチくらいの長さで、直系は1センチにも満たない小さな一口サイズの……。
「ふわっ!」
で、出ました!
おやつのカルパーン出ました!10円で買って食べたことがあったようです!
知り合いはおとなになって箱買いしてお酒のつまみに食べてるとか言っていましたが……。私はおとなになってから食べたことがなかったので、いくらするのか覚えてなかったのです。
すごいです。お肉の加工品が10円で買えるなんて、すごいです。
サラミは安くないのに、おやつのカルパーンは10円です。すごいです。
お肉ですよ!お肉!駄菓子なのに、お肉!お肉なのに駄菓子!
ああ、もう、興奮して何がなんだか分からなくなってきました。
包丁を取り出し……じゃなかった、イケオジのおじ様から買った刃が欠けた短剣を取り出します。
火であぶって殺菌してから、おやつのカルパーンを細かくカットして、ピザモドキのパンに乗せます。
「だいぶピザっぽくなってきました!」
あとはチーズがあるとよいのですが……。
ん?
んん?
そういえば、おやつのカルパーンにパッケージも形も似ている商品にチーズ系の駄菓子もありませんでしたか?
おやつのカルパーンを箱買いしている知り合いにもらって食べたことがあります。同じ会社が作っていると勘違いしちゃうそうだけれど別の会社が作っているんだよと教えてもらいました。それからチーズとタラで出来ていて、チーズではなくチーズを使ったお菓子だということも……。ああ、でも、肝心の値段を教えてもらっていません。
名前はたしか……。
「おやつのチーズー」
おやつのカルパーンに名前も似てたんですよね。そして、まるっきりタラを感じさせないネーミングで、覚えていました。
……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます