二人はいがみ合う

 夜。男子寮前。


 玄関前で、二人の女子がいがみ合っていた。

 包丁を持ち、仁王立ちするヒナ姉ちゃん。

 バットを持って、舌打ちする長門さん。


「先輩、ここ男子寮ですよ」

「長門さん、でしたっけ。あなたこそ、どうしてここにいるの?」

「彼氏の家に遊びに来ただけです」


 本当にきたのだ。

 だけど、長門さんより早く来ていたヒナ姉ちゃんが、包丁を持って玄関前に立っていた。


 そこへ長門さんが、ゴリゴリとバットを引きずってやってきたわけだ。


「あの、どいてくれません?」

「断るわ」

「あは。何様のつもりです?」

「ワタシは、ハルくんの姉です。悪い虫が寄ってこないように、ここで見張ってるだけです。――あなたのように」


 ピクっと頬が引き攣る長門さん。


「ブラコンってやつですか? きっしょ」

「なんですって?」

「あー、やだやだ。いつまで、弟にしがみ付いてるんですか。ていうか、いちいちウチらの間に入らないでもらえます?」

「学校では姦淫が禁止されているの。知らない訳ではないでしょう」

「知らないっス」


 うわ。

 うわぁ。


 二人がバチバチと睨み合った。

 一触即発の空気が流れ、ボクは扉を閉めようとする。


「待って。逃げないで」

「ねえ。彼女頑張ってるんだからさ。応援してよ」


 扉の間に包丁が入ってきて、閉じる事ができなかった。

 こじ開けられると、今度はバットが入ってくる。


 二人は互いを押しながら、男子寮に入ってきた。


「ちょっと! 入ってこないで!」

「っせぇな! ババア!」

「この……」


 怒ったヒナ姉ちゃんが包丁を突き出す。

 その手首を掴んで、包丁を掻い潜り、二人はもみ合った。


「二人とも、落ち着いてよ!」


 包丁は床を転がり、バットが玄関の扉に立てかけられる。


 床の上に二人で倒れ込むと、長門さんが力任せに大きな胸を握りつぶした。


「きゃうんっ!」


 肩を震わせて、口を押えるヒナ姉ちゃん。


「ハンッ。おっぱいだけデカけりゃいいってもんじゃないですよ」

「こん、の!」


 負けじと、長門さんの胸を握り返す。が、膨らみが小さくて、真ん中あたりを摘まむ形となった。


「んぐっ!」


 顔をしかめ、全身を震わせる長門さん。


「人の、乳首、……つま、……ン……あああっ!」


 愛撫、と呼ぶには乱暴な掴み方。

 服越しに摘まんだ乳首をグイグイと引っ張り、長門さんは思わずといった感じで、口を押えた。


「なに、腰動いてるじゃない」

「ち、が。これは……」

「どうせ、いやらしい事で頭いっぱいなんでしょ! この、淫売!」


 ぐりぃ、と乳首を捻じると、長門さんが前かがみになる。

 開きっぱなしの口からは唾液を溢し、「う、あっ」と、震える舌先が出てきた。


「随分と敏感じゃない。もしかして、一人でしていたのかしら」

「ん、ふ、……あふ、ぅ」

「下級生の分際で、調子に乗る、な!」


 グリグリと長門さんの乳首をイジメたヒナ姉ちゃんは、気のせいか頬が赤かった。


 長門さんは悔しそうにしながらも、表情は蕩け切っている。

 蕩けた表情を誤魔化すために、眉間に皺を寄せている風にしか見えなかった。


「アンタこそ、調子に乗んな!」


 負けじと、長門さんが反撃した。

 大きな胸をすくい上げるように揉みしだき、乱暴に上下へ揺さぶる。


「ん、くぅ!」

「女に揉まれて感じてるじゃん。淫乱! ビッチ!」

「う、るさ――ああんっ!」


 指を噛んで、ヒナ姉ちゃんが腰を反らせる。


 ビクビクと何度も跳ねると、長門さんは胸に顔を埋めた。


「人の乳首で遊びやがって。こうしてやる!」


 服越しに突起した部分に歯を立て、もう片方は力いっぱい揉んでいた。


「ふ、んんんっ! や、ら! やめ、なさい! んあう!」


 強い刺激に、ヒナ姉ちゃんまで蕩けていた。

 強張っていた全身から力が抜け、長門さんの頭に手を置いて、何度も全身が痙攣を起こしている。


 ボクはその隣りで正座をしていた。


 二人の嬌声が色っぽすぎて、また眠れない。

 そっと手で耳を塞ぐのだった。

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