耳かき

 寮に帰ると、ヒナ姉ちゃんがいた。


「横になって」


 耳かきをしてくれるとの事で、言われるがままに、ボクはヒナ姉ちゃんの膝に頭を置く。


 カリ……カリ……。


 丁寧に耳の中を掻かれて、喉が痒くなった。


「今日、見回り終わるの、遅かったね」


 カリ……カリ……。


「うん。ちょっと」

「ちょっと、なに?」


 カリ……カリリ……。


「っ、と、友達と、話し込んじゃって」


 カリリ……カリリ˝……っ。


「い、って。痛いってば」

「ご、ごめん、ごめん」


 綿で耳の穴を掃除され、次は反対側をされる。

 丁寧にしてくれるけど、何だか今日のヒナ姉ちゃんは怖い。


「それで、友達って、……女の子?」

「え、と」

「ダメだよ。女の子と話すなんて、許されないことだからね」

「……ヒナ姉ちゃんだって、女子じゃんか」

「お姉ちゃんはいいの。姉弟みたいなものなんだから」


 カリカリと、耳を掃除してくれるが、時々変に力が入る時があった。

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