疑問の答え
お風呂から上がった後、ボクは考えた。
「このままだと、きっと、体が変になる」
長門さんの匂いを嗅ぐと、認めたくはないが、股間がガチガチに硬くなってしまう。
でも、ボクは風紀委員で、ああいう人を許すわけにはいかない。
「あんな人に、屈しちゃいけない。ガツンと言わないと」
決意を胸に、今日のところは早めに寝る。
そう思い、布団を捲った時だった。
ゴンゴン。
乱暴なノックの音が聞こえ、振り返る。
ゴンゴンゴンゴン。
連続でノックの音が鳴る。
緊急を要する用事だろうか。
ノックの音から漂う雰囲気は、どうもエマ先生のそれとは思えなかった。
「誰だろう」
玄関に行き、扉を開く。
「やっほ」
長門さんだった。
「……え?」
女子寮は9時を過ぎると、鍵が閉められる。
部活で遅くなる子もいるから、それに合わせての門限だ。
なのに、長門さんは男子寮まで来ていた。
「ど、どうやってきたの?」
「アタシ、一階だもん。窓開ければ来れるよ」
しっかりと、抜け穴があるみたいだ。
「ダメだよ。男子寮にきちゃったら。ていうか、帰ってよ」
「ありゃ、冷たいじゃん」
ぶーっ、と口を尖らせ、拗ねる長門さん。
「何か用事あるの?」
「ん。ハルくんのこと考えながらオナニーしてたらさ」
「――ちょ、っと」
「会いたくなっちった」
つくづく、羞恥心というものが感じられない。
「長門さんさ。そういうの良くないよ。女の子でしょ。少しは慎みをもちなよ」
「は?」
睨まれるけど、負けない。
「今日はガツンと言わせてもらうよ。長門さんは、もっと我慢というものを知るべきだよ。節操がなさすぎるよ!」
長門さんはイライラした表情で言う。
「我慢?」
「そうだよ。我慢することで、忍耐強さってのが育まれるんだ」
「何のために、我慢するの? 忍耐強さって、何に使うの?」
「そりゃ、社会に出てから必要になるんだよ」
「ふーん。社会に出て、我慢するために、今から我慢するの?」
「そ、そうだよ」
なんだよ。
変な食い下がり方するな。
「それってさ。電車でよく見るような、クッソつまんねえ大人になれってことでしょ?」
「長門さん?」
ちょっとだけ、本気で怒ってる気がした。
「バッカバカし」
舌打ちをして、長門さんはため息を吐いた。
「アタシ達、……ロボットじゃないじゃん」
キッパリと、長門さんは答えた。
「間違えまくるし、イケない事だって、みんなやってるよ。アタシは悪くありません、って顔してるだけ」
長門さんが家の中に入ってきた。
勢いに負けて、ボクはその場に尻餅を突いてしまった。
「口先だけの理屈じゃなくてさ。ハルくんの言葉で、説明してごらんよ。そしたら、やめたげる」
「ボクの、言葉?」
そう言われると、ボクの頭には、何も言葉が残らなかった。
何で我慢するのか、と改めて聞かれると、口が閉じてしまう。
校則だから。
法律で決まってるから。
宗教上ダメだから。
理由はあるけど、長門さんが言いたいのは、そういうことじゃないんだろう。
「ほら。ないじゃん」
長門さんがボクの上に跨る。
「アタシはさ。嫌なことは、やってないって。もちろん、セックスだってしないよ。でも、気に入った男子と、少しくらいはエッチなことするよ」
ボクの手を引いて、股の下に持っていく。
「――っ、な、がと……っ!」
指の甲には、柔らかい感触があった。
指の付け根には、パンツの生地が当たっている。
また、お尻の出ているパンツを履いているのだろう。
でも、指の触れた箇所は、位置的にお尻の割れ目じゃない。
「……アタシは、自分に正直なだけだよ」
ボクの手首を動かすと、グリグリと指の甲が柔らかい肉の割れ目を擦っていた。
「はぁ、……長門、……さ……っ」
濡れていた。
漏らしたのだろうか。
それぐらい、ぐっしょりと濡れていた。
「……ゆ、指。入れて、みる?」
その時、初めて長門さんは、弱弱しい表情でそっぽを向いた。
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