何もそんな人間に化けなくても……

馴染みのない方言で語られているにもかかわらず、どことなく懐かしさを感じさせる、実にノスタルジックな書きっぷりが見事です。
その書き方がより「狸っぽさ」を強く感じさせるのですから、なかなか面白いものです。

そんな狸……しかもお腹に子を宿したお母さんが化けたのは、まさかの甲子園を目指す高校球児……!
発想が斜め上です。
そして、無理するお母さんがなんともいじらしい!
高校球児に化けたばっかりに……。

そして、その後の展開がなんとも切ない。
やるせなくて、惨めで、それでもどこか誇らしい。
そんな狸たちの不思議な物語です。
読んでいてどこか心の内側がぽんぽこ……じゃなかった、ぽかぽかするようなお話でした。

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