いじめ

「ねえねえ、しまこさ、鬼の住処(ケーキ屋さん)辞めてもいいと思う?」


「うん、おれは辞めればいいと思うよ。それはいじめられていると思うよ」


「そっかあ。でも、わたし、いじめられている自覚ないし、しかも全く気にしていない。というか、どうでもいい」


「そこなんだよねえ。状況的にはいじめられているからさ、しまこちゃんが落ち込んでいるなら、すぐ辞めろって思うんだけど、なんかそうじゃないからねえ」


「うん、全然気にしていない。むしろ、どうしてこのひとはいじめるんだろう? 何か不満があるのかな? って考えている。そもそも、幸せなひとはいじめしないよね」


「……ほんと、性格悪いよね(笑)」


「ふふ。おもしろくない? あのさ、いじめられている時間も時給が発生していますよね? って思ってんの」


「……なんでも時給?」


「うん、そう。毎回同じこと言って怒っているから聞き飽きちゃってさ。違うこと考えてんの。どうでもいいから。でも、その間も時給発生していますよね? って思ってんの」


「……。ま、時期を見て辞めたら?」


「うん!」



 しまこには嫌味もいじめも通じない、というお話。

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