犯人

どうしても眠いから、少し仮眠するね、と息子たちに言い、ベッドで横になっていた。


うとうととなり、ああ少し眠れる、と思った瞬間にがちゃ! と扉が開き、


「大変大変、しまこちゃん、下に来て。いいから来て!」


と次男が呼びに来た。


……眠ろうとしていたのに……


仕方がないので、リビングに行くと、長男が食卓テーブルを拭いていた。


「しまこちゃん、大変なんだ。しまこちゃんのマグカップが割れた……」


彼はどうやら、カップに残っていたコーヒーを拭いているらしかった。


「これ、どうしよう? コーヒーがついちゃったの……」


次男はそっとクッションを差し出した。


「……誰が割ったの?」


「オレじゃない!」「俺じゃない!」


「あのね、クッションがぽーんと飛んで、そんで、がちゃん! て割れたんだよ」と、次男。頷く長男。


クッションは自然に飛んだのであろうか。


犯人は分からないが、いずれにせよ、クッションを投げ合って遊んでいるうちにコップにあたって、割れたことは間違いがない。


ふとマグカップを見ると、すごくきれいに割れていた。


大きな三角形の割れた部分をマグカップに乗せると、あら不思議、元通り!


「ねえねえ、こうやって、そーっと置いておけばよかったんじゃない?」


「そっか!」「なるほど、頭いい!」


犯人捜しをしても無駄なのである。


ちなみに、息子たちは中学生と高校生である。

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