第7話 誘拐?変態ショタコンを探し出せ!

突然だが僕はシェアハウスに住んでいる、しかもタダで、それは何故か?僕が管理人(名ばかり)だからである。

中3のある朝、僕は日課の散歩をするついでにポストを覗くと僕宛ての封筒が来ていた。自分宛なので前に頼んだカードとかなんかかなと思って気軽に開けたら中になんかシェアハウスの相続についての紙が入ってた。しかしも差出人不明、感想を言うとめっちゃ怖かった、すぐ母さんと姉さん達に泣きついて相談しに行ったら


「ちょうどいい!高校からここに住めばいいよ、今調べて見たけどこの場所から近いよ、志望校」


僕の不安全部すっ飛ばした提案をされた


「いや......詐欺とかだったらどうしよう......」

「うーん、母さん職業柄色んな契約書にサインしたりしてるけど、これは大丈夫なタイプの契約書だね、何処にも変な文言は書いてないし、まあ万が一のことがあっても母さんが払ってやるから安心しな!私これでも弁護士兼社長なんだぜ!」

「いつも思うけど母さんって属性詰め込みすぎだと思うの」

「まあみんなを守るためならこうもなれるよ!」

「流石っす」


的な経緯を経て、僕は契約書にサイン、中学生にしてシェアハウスの管理人とかいう、漫画やアニメの世界特有な男になってしまった。

まあその後もついて行きたいついて行きたいとうるさかった葵も一緒にシェアハウスに住むことになったりと色々あったんだけど......まあこんな話をしたのには理由がある、それは......



〜***〜



「ピクニックだああああ!」


葵が日頃のストレスを発散するかのような大声で叫ぶ、相当ストレスが溜まっていたんだろうなぁと僕はテント貼りながら考える。今日は5月21日の土曜日、僕と葵はシェアハウスからちょっと遠くにあるカタリナの森という場所に来ていた。ここはキャンプ場付きのでかい公園(まあ実質レジャー施設)で僕達はピクニックという名のキャンプに来ていた。ただ僕達というのは僕と葵の2人ではだけない。


「なしなくん、お昼何がいいですか?色々カップラーメンありますけど」


テントを立ててた僕に昼飯の相談をしてくれた人が田畑祥一郎たばた しょういちろうさん、僕以外だと唯一、このシェアハウスの男性で、普段は税理士とか大学の教授をやってるらしい、主に僕がからっきしな家賃とか食費とか、色々な家計簿をつけてくれる、僕にとっては頭の上がらない存在だ。メガネと長い後ろ髪をゴムで軽く結んだ髪型が地味に特徴的な人だ。


「えー......」


僕は結構多いラインナップを見ながら色々考える、白い狐、黒い狸、極父辛味噌、極母とんこつ、DON助の牛すき味うどん、同じくDON助の黒猫カレー味そば......かなり魅力的なラインナップだが僕は迷わず食べたいものを手に取る。


「やっぱりこれ!雀焼きそば!」

「ほんと好きですねそれ......ていうか焼きそば全般か」

「だって美味しーじゃないですか!」

「まあ別に否定はしませんけど、それじゃあ作るんでみんなから食べたいの聞いて来てください」

「はーい!」


そう返事をすると僕はそのまま他の作業をしている人達の所へ向かう。

先ずはサボってそうなあの人所から行くか......



〜***〜



「やっぱ酒飲んで寝てやがる......はぁ......息吹さーん!起きてくださーい!」

「んにゃ〜りゅうごろし、息吐くだけで、酒交わし」

「寝言で俳句読んでる......」


息吹 童花いぶき どうか、多分このシェアハウスで1番謎な存在だ、わかってるのは身長が小学生かと見間違うほどだということぐらい、基本シェアハウスの人達は自分から話さない限り余計な詮索はしない約束になっているため、何も話さない人がいたら本当に何も分からないのだ。そしてこの息吹さんがまさにそのパターン、僕が分かってることなんて毎日お酒を飲んで街を徘徊してることぐらいだ、ただこれに関しては僕も注意しようと帰ってくるのを待っていたこともあったがだいたいそれまでに来る睡魔に勝てず寝てしまう。とにかく謎だらけの存在なのだ。


「いー加減起きてくださーい!」


僕は怒りのあまりほっぺたを引っ張りあげながら起こそうとする。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!い"た"い"い"た"い"やめて!」

「やめて欲しかったらさっさと起きてください、はいスタンドアップ!」

「わかった起きるから!起きるから離してー!」


ようやっと起きる気になった息吹さんはよっこらしょと言いながら重い腰を上げて椅子に座る。


「で?なんのよう?」

「カップラーメン何がいいですか?」

「あーお昼かァーオムライスで」

「話聞いてました?」

「うそうそ冗談!極母とんこつで!お酒に合うからさ!」


なんかお昼がなにか聞くのはあっさり終わった



〜***〜



「じゃあ葵は黒い狸ね」

「そっおねがーい!」

「おっけー、あっあと!」

「ん?」

「愛花さんの場所わかる?」


色々な荷物整理をしていた葵にもお昼の内容を聞いた僕は最後の一人石張 愛花いしばり あいかの場所について葵に聞く。


「愛花さん?確かあっちのでっかい遊具ゾーン内にある室内遊戯場行くって言ってたよ、自分の仕事終わったから休憩に行くらしい」

「あっそーなの、サンキュー!」


僕は葵からそのことを聞くや否や遊具ゾーンの方へ走っていく。あんまり田畑さんを待たせるのも良くない、僕は体力が尽きない程度に駆け足に向かう

それにしても愛花さんが休憩がてら遊具で遊んでるとは......

いが......いや妥当か、あの人はよく僕のことをからかってくるし、私生活めっちゃズボラでたまにしか風呂入らないし休日とか平然とパジャマで1日中ぐーたらしてるし、大企業レインコーポレーションの社員で結構偉い人っていうのは聞いたことあるけど、全然信用出来ない、まあホントなんだろうけど

僕はそんなことを考えながら遊具ゾーン、ひいてはそこにある室内遊戯場へと向かっていった。



〜***〜



「っと、ここが遊具ゾーンか......」


遊戯ゾーンに着いた僕は愛花さんを探しにそのまま室内遊戯場へと向かおうとするが、その矢先、嫌な奴に会ってしまう。


「うわっなしな!なんでここに!」

「それはこっちのセリフだアホさとこ」


灰色パーカに灰色の髪、憎たらしいアホ毛を引っさげたその貧乳娘傘谷 智子かさたに さとこは僕のことを指さして来るや否や唐突に要らんことを言ってくる。


「一応言うと僕は同居人の人達とピクニック兼キャンプに来てるだけだから、変なイチャモンはよしてよね」

「はぁーそうやってすぐ予防線を貼るの、やましい気持ちがあるからじゃないの?」

「んなわけないでしょ、そーいうお前どうなんださとこ」

「は?私?私もただ姉さん達とキャンプしてるだけだが」

「はぁー?ぼくはそっちの方が信用出来ないね、また僕のストーカーとかしてたんじゃないの?」

「酷い言い草!つい昨日退院したばっかなんですけど!?もっとこう怪我人をいたわる気持ちとかないわけ?」

「あれは遊園地で知らない人について行ったさとこ自業自得でしょ」

「にゃんだとぉー?」


さとこはだいたい2週間前に僕のことをストーカーをしていた。しかも理由はなんかこう理想を汚されたとかいうよく分からないものだ。その事件は連兎姉ちゃん(探偵)が何とか解決してくれた。まあそのあとも色々あり、さとこは遊園地で怪我をすることになったのだ、本当に自業自得だ。


「今日は退院祝いでキャンプに来たんだから!今日は夜どうし両姉さんのイチャイチャを見るんだから」

「両姉さんってあれかお前の双子のお姉さんたちか、自分の姉同士の絡みみて興奮できるとか頭おかしいんじゃねぇか?」

「おかしくないし!多分全国の百合ヲタに来たら羨ましがって私のこの座を奪いに来るだろうね」

「随分と特殊な性癖だなお前......」

「ていうか!それよりもお前だよ!お前!虹風なしな!最近お前が別々の3人の女とデートしてるところ!」

「待て待てそんなことしてない!?」

「葵ちゃんが可哀想とか思わないのかこのばーか!」

「待て!心当たりが......あ」


もしかして......葵、先輩、怜の3人のこと......?葵とは普段から一緒に居るし、先輩ともこの前バイクで一緒に事件現場に向かったし、怜とはよく色々なところに行くし怜は可愛いから女の子だと思われても仕方ない。僕と女と勘違いしてたぐらいだし


「待ってそれについては弁明を......」

「うるせぇ!弁明もクソもあるか事実だろ!」

「聞く耳持たないってやつか」

「それじゃ私は両姉さんにカップラーメン何がいいか聞いてくるから、とりあえず遊具の方に行く!それじゃ!」

「えっちょ!僕もそっち側!」


結局僕はさとこを追う形で室内遊戯場へと向かうこととなった......



〜***〜



「いた!愛花さん!」

「あれ?なしな?」


室内遊具場前に着いた僕は愛花さんと合流する。


「そろそろお昼なんで戻りましょう。」

「あーまじ?私もそーしたいところなんだけどさ......」


愛花さんが申し訳なさそうに断る。


「なんかあったんですか?」

「まーね、でも大丈夫、私の個人的な事情だから先に食べてて!」


愛花さんはどこか遠慮気味に断りを入れてくる、しかし、そう言われてしまうと引くしかないとその場から消えた行くような僕では無い


「そーいう訳にも行きません!みんなでご飯を食べるんです!このピクニックは親睦を深めるためのものなんですから!誰か一人でも欠けてちゃ行けないんです。」

「嫌でもこれは本当に外せない用事で......」

「だったら僕も協力します!協力出来るものか分かりませんが......やれることはやったります!」

「でもマジで個人的なことで......」

「や!り!ま!す!」

「はぁ......そこまで言われちゃあしょうがないね、かなり苦労することだろうけど!協力してもらいましょうか!」

「はい!」


愛花さんが僕を指さして宣言する。どんとこい、僕だって色々なことを経験して強くなってるんだ、負けられない!



〜***〜



「おーい戻ってきたよ〜なんなら外部の人間もつれてきたよー」

「あ......えっと、失礼します」


僕は愛花さんにつられて室内遊戯場に入る、室内遊戯場、字面だけ見れば子供達がワイワイ遊んで居そうな場所だが、どうやら様子がおかしい、雰囲気があまりにもピリピリしている、この場に居るだけで胸が締め付けられるような感覚だ。ただ、何よりおかしいのはその子供の少なさだ、子供向けの遊び場と言うには子供が少なすぎる、その割には1人だけの30〜40代程の女性達が多く、その人たちは誰かを心配しているのか弱ったような様子で不安そうにしている、それに数少ない子供たちも親と思わしき人達に抱えられている、その姿は子供抱きしめているというよりも、誰かから守らなければと言った雰囲気でギュッと縛り付けている様だった。


「愛花さん、これって......」

「私がつい20分前にここに来た時には既にこんな感じだったわ、あそこでうろたえているのはここに来たお母さん達よ」

「もしかしてこれって......」

「そう、この室内遊戯場で誘拐事件が起こってるのよ!それも年端も行かないショ......うねんだけねらわれてる!」

「誘拐事件......」


どうしよう......思ったより大事だった......てっきり子供たちが危険な場所に行って出られない的なものかと思ってた。


「こういうのって警察に言った方が......」

「無理無理、多分来ないよ」

「え?」


僕の提案を白髪ロングの大学生と思わしき女性が止める


「なんで来ないんですか......?別にここ警察署から絶望的に離れてる訳でもないんですし」

「厳密には来て言おうにも連絡出来ないだね、ここ電波一切飛んでないんだよ?」

「あ」


そうだ、ここは森の奥に作られている所のため、電波がほとんど届かない、一応連絡とかはできるWiFiスペース的なものはあるのだが、生憎そこは月1のメンテに当たってしまい使えない、確かこう言う時のための緊急連絡網なんかも同じ理由で使えないなのではなかろうか


「そして、これから警察署にこの事件に伝えに行くとしても、それこそ時間がかかりまくってしまうって事なわけ」

「そんな......」

「ふへぇ、でも愛花さんと君が来てくれて助かったよ〜」


僕が白髪の大学生と話していると、今度は背格好まで完全に同じなのに髪色だけが黒髪の女性が割って入る。おそらく双子なのだろう


「ここの監視カメラには犯人らしき奴とか子供の姿とかは写っていくて、この場所にいた人たち全員が犯人の可能性があるの、そのせいで誰かが犯人を探そうとしてもそいつが犯人かもしれないで、いたちごっこの無限ループになっちゃって」

「それは......大変でしたね」


妙な空気の悪さの正体はそれか、誰が犯人か分からない、そんな状況じゃろくに捜査なんてできなかっただろう


「ほんと、めっちゃギスギスしてたところに愛花さんが来てくれた時は救世主かと思うほどだったよ、事情を説明したら任せてと胸を叩いて宣言してくれて、まあ何もわかんね一旦外出るとか言った時は殴り飛ばしたくなったけど」


一瞬上がりかけていた愛花さんへの尊敬ゲージが急降下していく。やっぱ変わんねぇわこの人


「ふへぇ、まあだから君は期待してるよ......えっと名前は......」

「なしなです」

「なしなちゃん」

「男です!」


2人はきょとんとした顔でこちらを見つめる、やっぱ僕って女の子に見られやすいのかな......結構色々あって男らしくなったと思ったんだけどな〜



〜***〜



「早速捜査開始だ!」


僕は中にいたスタッフの田所さんと三井さんに室内遊戯場の様々な場所を案内してもらう。


「ここはブロックコーナーで、でっかいブロックにのったりでっかいブロックを組み立てたりして遊んでもらうコーナーです。」

「めっちゃ楽しそう...!」

「遊んじゃダメよ」

「遊びませんよ、子供じゃないんですから」

「ここはコーナーとは言いますがだいたいの子がここからブロックを持ち出して色んな場所で遊ぶので、ただのブロック置き場と化してるんですよねぇ」

「じゃあここに何かを隠したりとかは」

「出来ませんよ、ここブロックぐらいしかないんですよ、影に隠したとしても遊ぶ為に取られたらバレますよ」

「ですよねぇー、次お願いします」


次に僕達は田所さんに案内されながら遊戯場の壁についてる階段を登る。


「この先に、巨大な球体があるでしょ?」

「はい、あのネットか何重にもかけられているやつですよね?」

「そう、この室内遊戯場の目玉で、親にとっては10個のネットによる多重構造による圧倒的安全性と子供たちにとっては超高所から味わえるスリルが売りの遊具だ、世界どんなところを巡ってもこんなところがあるのはここぐらいだろう!」

「いや北海道に似たような施設があるみたいよ」

「愛花さん!......」


田所さんがめちゃくちゃ自慢気に語るのだが愛花さんがそれに水を差してくる、やめてやれよもうなんか恥ずかしそうにしてるだろ田所さん


「ここって入っていいですか?」

「はい、問題ありません」

「じゃあ失礼しまーす」


僕と愛花さんは中に入り、色々探り始める、勿論こんな中に子供がいるなんて思ってない、どちらかと言うとなにか手がかりがあるかもしれないと探している、すると......


「ん?これは......」

「愛花さん?」

「なしななしな......ちょっと来て」

「はい」


愛花さんに促されるままに愛花さんの元に行く、ネットが何重になっているとはいえ不安定な足場をなんとか転ばないように慎重に歩いていく、そして愛花の所に着くやいなや僕は衝撃的なものを目にする。


「え!?ネットが1枚破けて!?」

「シー!」

「アッハイ」


愛花さんの気迫に押され僕も小声になる


「これ、どういうことですか?外から見た時は破けてるとこなんて」

「この破けてる部分の色、ここ以外の他の場所どこにもないし、多分誰かがネットを取る際に邪魔だからと切り離した部分だと思う。」

「そんな......今すぐにでも知らせなきゃ......」

「ダメ、忘れたの?私たち以外全員犯人の危険性があるんだよ?迂闊な情報共有はむしろ悪化を招く危険性がある」

「そっか」


愛花さんそこまで考えて......流石だな愛花さん、だとしたらあの双子の言ってたポンコツ姿もあえて?


「でもなんの為にそんなことを......?男の子を網で捕まえるため?」

「そんな漁業みたいなことしてたらすぐバレるじゃないですか......」


僕はその素っ頓狂な考察を呆れながら一蹴する。やっぱポンコツ姿はガチかな?


「とりあえずメモっときますね」

「頼んだ、さてそろそろ次行きますか」


僕はメモりながら今度は三井さんに誘導されながら木製の塔っぽいところに行く


「さっきのネットも人気なんですけど、ここも結構人気なんですけど、かわいい男の子達が仲良く遊んでる姿はもう可愛くて可愛くてもう食べちゃいたいぐらい......って失礼しました!」

「好きなんですね、子供」

「ええ、愛花さんは?」

「私も好きです。」

「そうですよね、私、遊びに来た子供達と触れ合いたくてここ来たんですよ」

「へぇ.....それは立派ですね」

「そうですかね?」

「そうですよ」


傍から見たら他愛のない会話なのだがなんかねっとりとした雰囲気が漂う、具体的には科林先輩が汗について語ってる時の気持ち悪さと似たようなものを感じる。

そんなことをボーッと考えていたら、ふたりがこちらに話しかけてくる、どうやら話が終わったみたいだ


「おお!なんか秘密基地みたい!」


僕の声が少し木霊する、木の塔全5層で成り立っててハシゴで移動する形式、全ての場所にクッションが敷きつめられていて落ちても全く痛くなさそうだった。


「昔は地下にもここと同じくらいまで階層がまであったんですけど、危険ってことでなくなっちゃったんですよ」

「ほぉほぉ」


じゃあ埋め立てられてなくなっちゃったのかな?

僕は音が出ない足音をなんとか立てながら歩く、

一つだけ無いネット、地下、誰も外に出ていない、何かのピースが足りない気がする......うーんうーん

あとひとつ何かが解れば見つかる気がするんだけどな〜

とりあえず僕は考えながらその場を後にするのだった......



〜***〜



再び広場に戻った僕は水を飲みながら色々考える、何かが何かが足りない......それさえ見つかれば......!


「なしなく?困ってる?」

「愛花さん......」


困ってる僕を見兼ねてか、愛花さんが話しかけてくる


「すいません......あんだけ啖呵切っておきながら全然わかんなくて」

「いやいや、来てくれただけでもありがたいよ」

「こっちもそう言ってくれるだけでありがたいです」


僕は苦笑しながら答える。愛花さんも頑張ってるんだから僕も頑張らなきゃ、そんなことを考えながら雑談を続ける


「そういえば、愛花さんって子供好きなんですね、それは知りませんでし」

「まあね、元気なショ......うねんは可愛いからね、守りたいって気持ちがあるよ」

「じゃあ今回も事件も」

「うん......許せない、ソイツはイエスショ...うねんノータッチを理解していない!」

「?」

「あ......なんでもない」


言ってることはよく分からなかったけど、その熱い気持ちは愛花さんの真剣な眼差しからも伝わってくる、何となくで首を突っ込んでしまった僕は少し甘かったのかもしれない、なら気持ちを切り替えて動くだけ、僕もより頑張ろう


「僕今からもう1回聞き込みしてきます!」

「おっ急にやる気だねぇ」

「はい!」


僕は聞き込みをするために走り出す、まず色々聞くなら少しでも話していた方がいいと考えた僕は先程少し話していたあの双子のことを思い出す、まず最初に聞き込みをするならあの2人がいいだろう、そんなことを考えていたら、丁度目の前で2人で話していた、僕は聞き込みをしようと近づいていくと後ろから何者かに後ろから羽交い締めにされる


「えっ......誰......?」


首を完全に固定されており、体を動かすこともままならないまま...人混みの少ないところに連れ込まれやがて拘束を取られる


「はぁ......はぁ......はぁ......誰!?」


僕を捕らえたやつの方を向いてみるとそこに居たのは......


「ふぅ危なかった百合の間に男の娘を挟めてしまうところだった。」

「相変わらず何を言ってるのかよく分かんないよさとこ」


僕をさっきまで羽交い締めにしていたのは傘谷さとこだった。


「何が目的で羽交い締めなんて......普通に息が出来なくて苦しかったんだけど......?」

「ああそのつもりでやった」

「容赦ないな!?」

「いいかなしな、百歩譲ってお前が3人の女子とイチャイチャするのは許すとしよう許さんがな」

「許してから言ってくれ」

「だが、姉さん達の間に挟まることは許さん!」

「もうこいつ黙ってくんねぇかな」

「とにかくもうこんなことはするな!」

「はいはい......ていうか羽交い締めされる直前までお前の気配を感じなかったんだけどあれなんなの」

「そんなの百合を愛するものなら当たり前の技能だよ、気配を殺すことで自然と視界に入りにくくする、探そうと思わなかったら見つからなくなるんだよ」

「無駄にすごいなそれ」

「だろぉこれのおかげで私が木の塔にいたこと、誰も気がついていなかったからな!」

「は!?お前いたのかよ!」

「そりゃ居たよ〜まああんな危険な場所もう二度と行きたくないが」

「は?どこが危険だよ?クッションもしかれててめちゃくちゃ安全だろ」

「いやいや危険でしょ、木の塔の1番下のクッションに一部切込みが入ってたし」

「それマジ!?」


あまりの事実に僕は思わずさとこの肩を掴んで振りまくる


「あばばばばばばばばば離せ離せ!」

「あ、ごめん」

「分かればよろしい......」


とにかく、全ての謎がわかった、後は......子供たちを助けるだけだ......



〜***〜



「なしな...そこダメ......」

「あっすいません......ここ......ですか?」

「うん......そこ、上手にできたね」

「ありがとうございます、それじゃあ行きますよ?」

「ん、来て」

「「いっせーのーせ!どっこいしょー!」」


僕達は不自然に切り込みの入れられた巨大クッションを一気に持ち上げて中を見る


「やっぱり....思った通りだ.....昔あった地下層に繋がってる」

「それだけじゃない、破られたネットは地下へ降りるハシゴ代わりだったみたいね」


僕達は地下へと続くネットをゆっくり降りていく、元々5階層もあった床が全てとっぱらわれているからか、下へと続く穴はかなり長く、降りるには相当時間がかかりそうだった


「犯人はあのデカクッションを1人で持ち上げたわけですよね、その怪力やっぱり」

「ええ、催眠被害者よ、催眠を受けたものは肉体のリミッターをある程度外されて常人ではなし得ない力を得ることができる、だからこんな芸当できるのは催眠被害者ぐらいね」

「え?そうなの?」

「わかって無かったの?」

「すっごい力持ちなのかって」

「なしなってたまに本当にバカになるよね」

「何を!ていうか!だったら愛花さんはなんなんですか!催眠被害者のこと色々知ってるし僕にクワトロハンド持たせたし」

「えー強いて言うならクワトロハンド開発チームのリーダー?」


おっと思ったよりすごい情報が出てきた、だがよく考えたらそうか、クワトロハンドだって誰かに作られたからここにあるのだ。


「これってどうやって作ったんですか?」

「なんかね、宛先人不明の封筒が送られてきて、その封筒の中に、クワトロハンドの基盤と設計図が入ってたの、だから私たちはその通りに作ったって感じ」

「謎の封筒......それって何年前のことですか?」

「えっと......確か2年前の朝だったかな?」


やっぱり、僕がシェアハウスの権利書が来た時と同じだ

そういえば、僕が来る前のシェアハウスとか考えたこと無かった、前はどんな人が住んでいたんだ?愛花さんや田畑さん、息吹さんはいたのか?疑問が次から次へと湧いてくる。ていうか、前の管理人って誰なんだ?


「なしな!危ない!」

「え?あ!」


ずっと考え過ぎてたせいか僕は足を踏み外し落下してしまっていた


「うわぁ‪ああああああああぁぁぁ!?」

「なしなあぁああああ!」



〜***〜



「ぅゎぁああああああ」


やばい風が強すぎて目を開けられない......!


「ぶべ!......ってあれ?なんともない?」


とりあえず床を見てみるとクッションが辺り一面に敷かれていた、そういえばそうだ、ここは元々木の塔の地下部分だったのだ、クッションが敷かれてても不思議は無い。


「さて......愛花さんが来るまで待っててもいいんだけど......」


ペタッペタッとクッションの上特有の足音が僕の後ろからやってくる。


「そうはいかないみたいだね」


僕が足音のする方向に振り向くと、そこにいたのは黒いサングラスをかけた謎の女だった。


「あんたが犯人か」

「まぁあぁ、この際、犯人なんてどうでもいいでしょう?」

「いや良くは無いけど、まぁ気にしないよ......

結局、ここでぶっ倒せるし!」


【クワトロハンズ!!ON!!ON!!】

【ダイヤ!!エレキ!!ストライク!!⠀】


先手必勝、僕はこっそり持ってきていたクワトロハンドを腕に取り付けてすぐさまエレキハンドを使い、そのまま飛びかかるように攻める、しかし......


「ショタ取りネット!」

「うわ!」


突然、大きなネットが僕を捕らえる。


「動けな......」

「あなたはそこで見てなさい......私は見るのよ、ショタ達の美しい絡み合い、あどけない少年たちが肉よく溺れるさまを!」

「つまりショタ達にホ○○ックスをさせると?」

「有り体に言えばそうなるわね」

「んな事させてたまるか!」


事案も事案の大事案を起こそうとしてんじゃねえかこいつ!?


「どんなに吠えても無駄よ、ここには誰も助けに来ないし貴方はそのネットで動けない」

「確かに......」


意外と繊細に絡まってて解けない、ネットをちぎれる何かがあればいいんだけど......


「それじゃあね〜」

「あっ待ておい!」


どうする、このままじゃ子供たちが酷い目に......そうやって悩んでいると


「なしな!これ!」

「うわ危なッ!」


後ろから反響する愛花さんの声とともに何かが僕の近くに落ちてくる


「なにこれボール?」


僕はネットの合間から手を出してそれを掴みそこに着いていたボタンをしてみる


【switch!taka!】


謎の機械音と共にボールがタカモチーフっぽいメカに変形する。


「これあれか!サポートアイテム的なやつ!なまえ何にしようボールかタカになったしタカボでいいや」

{キューキュー!}

「声かわいい〜!」


僕がそんな反応をしているとタカボはたちまちネットを食いちぎって行く


「おお!これなら出られる!」

{キュー!キュー!}


次にタカボは僕のポッケからネオジム磁石を取り出しそれを自分にくっつけて見せる


「磁石がくっつく、つまりマグネハンドでタカボについて来いってこと?」

{キュー!}

「わかった!」


タカボは猛スピードで奥へと進んでいく、僕もハートのスイッチを押して


【ハート!!マグネ!!ストライク!!】


超磁力に身を任せタカボに食らいついていく、すごいスピードだ、すごいスピードに耐えながら何とか目の前を凝視すると、そこに犯人が見えてきた。


「行くぜ!」


その勢いのまま僕は......犯人に膝蹴りをかます


「うお!?」

「ウルルルルア!」


犯人は勢いのあまり地面に体を擦り付けそのままぐだっと倒れたがすぐさま立ち上がってしまう。


「ちっ!あと少しだったのに!」

「子供同士で変態行為とかさせるわけねぇだろボケ!」

「貴様ああああ!」

「もっかいネットか!芸がないな!」


【ハート!!マグネ!!ストライク!!】


犯人は再びネットで僕を捕らえようとしてくる、しかしそれにもうそれに捕まる僕じゃない、僕は再びマグネハンドを起動して奥に回ってもらっていたタカボの方に移動する


「んな!?瞬間移動!?」

「みたいなもん!さぁ!この一撃でお前の計画全部無しにしてやるよ!」


回り込んだ僕はすぐさまスペードのスイッチを押して必殺技を放つ


【ダイヤ!!エレキ!!ストライク!!】


「これで終わりd

「いや、終わってもらってはまずい」

「は?」


次の瞬間視界が一回転して揺らぎ、僕の体は気づけば地面に這いつくばっていた。


「ぐ......何が起こって......」


揺れる視界を何とか押さえ込み僕は目の前を見るとそこには灰色のパーカーとフードを被り白黒の仮面をつけた謎の人物が僕のことを見ていた。


「お前は誰だ......」


僕の質問にそいつは首元に付いている謎のチョーカーをトントンを触ってから喋り始める


「誰か......そうだな、幽霊フェイスにクールなフード......

ゴーストフードとでも名乗っておこうかな」

「ゴーストフード......ッお前がみんなに催眠をばらいまてる元凶か!何が目的だ!」

「さあね?元凶かどうか、目的はなにか、それくらい自分で考えな」


チョーカーは変声機だったのだろう、声はあからさまに加工されている、ゴーストフードは倒れている犯人を抱えてどこかへ去っていく。


「子供は返してやる、こいつは連れていくけどな」

「おい!そいつを連れて行って何が目的だ!」

「さあ?自分で考えな」


ダメだ意識が遠のいていく、目の前が真っ暗......に



次回予告!


子供達は無事に帰ってきたが犯人はまだ捕まっていない、これではまた同じことが繰り返されるかもしれない、犯人は誰かここは推理タイムって息吹さんが推理?探偵とあったことがある?それはなんの自慢にもなりませんって、とにかく犯人はあの日対峙した時間にアリバイが無かった、5人の誰か、いいぜ絶対見つけ出してやる!姉さんの名にかけて!


次回!誘拐?見つけ出せ犯人!

乞うご期待!

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