ポーン教団編 第二十九話 交戦
「さて、クラーク。君はこの教会についてどう思っていたのだ?」
「あまり興味はなかったが……まぁ現に人を誘拐している。国にとって悪なんだろう」
「そうだね。にしても、あの不可視の拳……ラオとかいう名前だったか、がやられたとは我々にとっては信じ難いものだね。昨日の事件絡みだとは思うが誰が行えたのだろうか」
「私にとって分が悪いだけだけで他者からするとそうでもないのかもしれない」
「いやいや何を言っている。あの女は誰からみても強い。そもそも、君が勝てないのなら誰であっても勝てないよ」
「そうか……。だとすれば余計会いたい気持ちが強くなるな。私の記入漏れか?」
「それはないと思うが……そうだ。今回助ける人物の話でもしようか」
「あまり興味はないのだがね」
「そんなことを言うな。私はかなり重要な人物だと考えている」
「ほう。どっかの貴族か?」
「私がそんな人間を大切に思っていると思うか?」
「そうだな。忘れていた。では、聞こうか」
「あぁ、彼は……と、いいところで邪魔されてしまったようだな」
私は話を区切って魔法の詠唱に意識を向ける。
「どんな話をしていたんだ?スキル女と認知症」
「そのあだ名も久しいね。サディスティック被れ。
目の前にいる鞭を持った男を中心に自分達をも巻き込みかねない程の高熱の爆破が広がる。
男は魔法の鞭を自在に動かし、熱の爆破をかき消す。
「くっ!厳しいか……狐の王の百尻尾!!」
三又に分かれただけじゃ厳しかったのか男は無知の数を何倍にも増やし質量でかき消すことに成功している。
だが、もう遅い
「不可侵への収監」
クラークが一言それを唱えた瞬間、男の存在が消えるかと思ったが、檻は男を捕えずに何もない空間をとらえた。
彼のスキルをこんなふうに対策するのは一人しかいない。
「生きていたか、ラオ」
「そうみたいだね。ただ……姿が見当たらない。そういうことをし始めたのか。落ちぶれたものだね。
教会はもう影もない。いつの間にかコウシも死んでしまったかもしれない。だからこそ、殺さないといけない。
「効かん!!束縛する蛇!!」
首と腕と足が縛られ、宙に飛ばされる。声が出ない。息ができない。無詠唱で唱えるために魔法陣を描くがその前に死んでしまってもおかしくない。
クラークを見ると常に男を狙ってはいるようだが、狙うことも危ういぐらいに不可侵の檻を使用している。何度やってもラオの拳を収監してしまっている。無視しようにも拳に殴られ、発動が厳しい状況にある。
ここで終わってしまうのか……
そんな希望にも絶望にも似て非なる感情は自分と比べることもできない人間に断ち切られた。
「精霊斬!!!!」
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