第64話
ギィィィ
枝や根をうねらせて……動揺しているのか?
……ふむ、今は防げたものの、長引かせてしまえばまた同じような危機が繰り返されるだけであろうな。
「で、あれば!」
この隙をついて、決めてしまうに限る。
「いくのか?」
いつもは声の大きいシエナが、一度手を止めて近づいてきて幾分抑えた調子で聞いてくる。ふふん、さすがに緊張してみえるな。
「なら、自分が機をつくる!」
「あ! ゲイル! 俺もいくぞ!」
先ほどかばわれたことを気にしているのか、ゲイルが先走って飛び出してしまい、シエナが慌てて追いかけて加勢する。
やはり巨樹魔獣は動揺している様子で、それに見事につられて、吾輩から魔獣の幹へと攻撃を通す道ができている。図らずも、先ほどゲイルを本命としてシエナがやろうとした作戦を、吾輩中心に変えて改めてやるような形になった。
「魔獣も人間も、刮目するがいい……!」
これはタヌキ族にとって最強の攻撃技であると同時に、最大の忌事。
罪業を炎となして顕現させ、相手に叩きつけるという奥義だ。
「お前はただ生きているだけであろうが、そのあり様は皆が困るのだ、魔獣よ。だからこそ、この技でお前を黄泉へと送ろう…………
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