第11話

 「魔獣……では、ない……よな? しかし人語を話す獣とは……なんと……」

 

 突っ立ったままでジロジロと吾輩を見て、リーダー武者はそんなことを呟いている。

 だがまあ、吾輩がこんなよくわからない言い分に付き合う義理もない。

 

 「今の竜巻はそなたらが、そこの小型人間と協力して起こしたのか? 精霊術……といっていたが、それか?」

 「小型……? 何を……言って? 精霊術は確かに自分が使ったものだが……」

 

 先の予想通りアレは吾輩にしか見えておらぬようだ。そして混乱している様子だが、吾輩の質問には答えてくれた。愚かな人間にしては素直で好感が持てるな、やはり見どころがある。

 

 「お嬢様の気に入っておられた……獣、だよな? このまま連れて帰って大丈夫なものか……?」

 

 とはいえぐちぐちとし過ぎだな。減点である。

 

 『今の竜巻はヴォルテクスという精霊術です。本来はテラービッグボアを怯ませて動きを鈍くさせる程度の威力なのですが、御使いたるタヌキ様のお力添えであのように素晴らしき奇跡へと昇華されました!』

 

 再び吾輩の耳横まで戻ってきた小型人間が、そうまくし立ててくる。

 

 「つまり、吾輩から抜き取っていた魔力……?が功を奏した訳であるな。ならば重畳、吾輩も体を張った甲斐があった」

 『その通りです!』

 

 やや大げさなきらいはあるが、こうも肯定的に持ち上げられると、吾輩自慢の尻尾も膨らむというものだ。

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