第10話

 まずは状況を整理しようではないか。

 

 ・魔獣?なる生物に襲われた。

 ・西洋風騎馬武者の一人が精霊術?なる技を使おうとした。

 ・小型の人間?がいた。

 ・吾輩が魔力?を提供した。

 

 以上の結果として竜巻が発生し…………、恐ろしく巨大なイノシシであったものは今現在吾輩らの前で残骸となっている、と。

 

 「うむ、わからん」

 「「「「「うおぉっ!」」」」」

 

 納得した吾輩の声に、激戦を勝ち抜いた武者五人ががばっと大仰な仕草で振り向いた。吾輩と同じく突如発生したあまりの竜巻の威力に驚き呆けていたところに後ろから声がして驚いたのであろうが……、それにしてもおかしな反応をするものだ。

 

 「そも、あの竜巻はそなたらが起こしたものであろう? 何故驚いているのだ? 愚かな人間どもにしては、大した破壊力であったが……」

 

 沈黙。

 我が同胞はひどく驚くと動きを止める習性がある訳だが……、人間どもにも似た習性があったということか。

 

 「喋った!?」

 

 先ほど緑色に発光していた彼らのリーダー格と思われる武者が、代表するように大きな声で叫んだ。うるさいことこの上ない。

 

 「だから何だ、失礼な人間どもめ。それより吾輩の質問に答えるがいい」

 

 人間というのは、比較的聡明な幼少期を過ぎてしまうと、このように会話もままならなくなるものだから厄介だ。

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