第14話 マーシャと一緒の風呂


「本当にここなの?」


「すごい大きいね、魔王様!」


「ちょっと値段が張ると思ったが、スイートルームだったとは」


 マーシャがベッドをトランポリンのようにしては寝ている。


「このベッドすごいふかふかだよ!」


「こっちにしてよかったな」


「ありがとう魔王!」


 マリーが笑顔でこちらを見てきた。

 さっきのことを思い出してしまい顔が赤くなる。


「どうしたの魔王様、顔赤いよ」


「少し汗をかいてしまってな。悪いが風呂に入ってくる」


「私も一緒に入る!」


「だめだ、マーシャはマリーと遊んでいなさい」


 風呂をみて圧倒された。

 魔王城と同じくらいの広さがあるぞ。


「すげぇ……」


 窓から外を見てみる。

 高層階にあるからか見晴らしがよい。


「この景色は魔王城の西側か。遠くのほうで派手に光ってる建物があるな。センスの悪い光り方だなぁ」


「魔王様、窓の外に虫でもいるの?」


「いや、遠くのほうでセンスの悪い建物が見えたものでな」


「それはたぶんアルマルク城だよ。あそこの王様変な趣味してるって有名なんだ」


 魔王城では見えなかったのに、こちらでは見えるのか。

 魔王城の立地が悪かったか、それとも俺の目がよくなって遠くのものを見れるようになったか。


「まて、なんでマーシャが返事したんだ」


「それは魔王様の後ろにいるからだよ!」


 マリーと遊んでいるように言ったのに。

 過ぎたことはしょうがない、彼女の姿を見なければ何の問題もない。


「そうか、悪いが俺はそろそろ出るつもりだったんだ。それじゃっ?!」


「魔王様ちょっとはこっち見てくれてもいいじゃん」


 壁を向きながら出ようとしたら、マーシャに腕をつかまれた。


「いきなり引っ張るな」


「あっやっと見てくれた!」


「…………タオル巻いてたのか」


「うん、これなら一緒に入れるでしょ!」


「まあな。そこまでして一緒に入りたかったのか」


「いやだいやだって言われたら見せたくなるじゃん」


「マーシャは男子小学生か。それよりマリーはどうした、あいつは許可出したのか」


「ううん、昨日買ったジュース飲んだら寝ちゃったみたい。疲れてるんだよきっと!」


「ジュース飲んで寝るって、まさか酒じゃないだろうな」


「わからない! それでどう?」


 マーシャは俺の隣に座り小さな胸を必死にアピールしてくる。

 どうといわれても表現に困るのだが。


「肌がきれいだな」


「そっちなんだ。そうだ、肌といえば私の脚線美も見てよ!」


「今回はマリーが寝ているからまだいいが、次からは別々に入ってくれよ。今回のことがばれたら俺の威厳がなくる」


「魔王様がロリコンの変態だったってばれちゃうもんね」


「違う……と断言できないのがつらい」


「好きなものは好きって素直に言えばいいじゃん。魔王様は私のことどう思う?」


 顔を近づけて返事を迫ってくる。


「顔が近い、それにタオルもはがれちゃってるぞ」


「別にいいもん。それで私のことどう思ってるの?」


「かわいいと思ってるよ」


 まだ二日ほどしか一緒にいないのに、ずっと昔から一緒に生活している気分だ。

 ずっとこんな生活が続けばいいんだがな。


「それよりマーシャ、その、言いずらいのだがタオル全部落ちちゃってるぞ」


「ほんとだ! でも私は気にしないから全然いいよ」


「こっちは気にするんだよ。とにかくタオル巻いてくれ」


「えー、これから魔王様の背中流してあげようと思ったのに」


「俺はもう体洗ったよ。あとはマーシャだけでゆっくり入ってくれ」


「魔王様もしかして私のこと見て興奮しちゃったの?」


「そんなわけないだろ。大体俺が好きなのはその……あの……」


「やっぱり魔王様私のこと好きなんだ!」


「まあ否定はしないよ」


「違うよ魔王様、こういう時には好きですってちゃんと伝えるんだよ」


「わかったわかった。俺はマーシャのことが好きだよ」


「私もだよ魔王様」

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