第95話ダンジョン攻略十日目4
距離を取るつもりだったのだが……予想外だった事に俺の左足には、新《スキル》の『【
不味い! とは思ったもののもう俺の左脚は“蹴り”の態勢へ移行しており、振り下ろす事は困難に思えた。
体重を乗せた
「よし! 突破口が開けました斬りこみます!」
中原さんもその意見に賛同し補助に回ってくれるようだ。
「援護します。全力で稼いで来てください!」
流れるように、金色に輝くショートソードを振いモンスターの大軍を斬り殺していく……
画一的な構えに囚われず。手、脚、鞘、敵、味方その全てを合理的に使いモンスターを
あの時に比べ、
一見すると奇想天外な回転薙ぎ払いや、肘打ち・蹴りなどを織り交ぜつつ、短剣と格闘を織り交ぜつつ確実に
無双ゲーのような爽快感や絵面の面白さはないものの、竜巻が巻き起こったように周囲のモンスターを縦横無尽に蹴散らし、迸る金色の閃光の数々その全てが、通常なら強攻撃と言って差し支えない威力を誇っており着実に数を減らしてく……と同時に俺の魔力や体力、集中力もゴリゴリと削り取って行く……
「せやぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁっ!!」
絶叫を上げながら、放つ袈裟斬りでリザードマンの胸を切裂く。
緑の血がブシゃっと吹き出し地面に倒れる。
仲間を踏み進行する次のモンスターには、社会現象にもなった作品の総長のような蹴りをかまして首の骨を粉砕して仕留める。
両足と左手を地面に付いて着地する。残りのモンスターが襲いかかって来るが問題はない。
なぜななら俺には信じている仲間がいるからだ。
刹那。
俺の頭上を銀閃が
俺が直ぐさま立ち上がったり攻撃する事を予測しているからか、彼女が放ったのは鋭い突きだった。
「はぁぁあああああああッ!」
彼女の刺突によってマーマンは緑の血を流して絶命しする。
周囲を見渡すと助けに入った探索者達も、リザードマンとマーマンの群れを掃討した所のようだ。
「ありがとうございます。助かりました」
そう声を掛けて来たのは魔法職と思われる金属製の
「申し遅れました。私は愛◆大学三年で迷宮同好会の会長を務めています。
ハルトさんは長身の男性で、石見さんが中性的な容姿、
流石大学生、皆個性的外見をしている。
「……全員豊橋キャンパスの学生なんです」
「ああ……」
俺はその話で違和感に対して腑に落ちた。
年齢が若く、探索者として生計を立てている。ようにはみえなかったからだ。
短大込みで文系3学部しか残っていないキャンパスで、ほぼ全ての学部は名古屋にある名古屋キャンパスと、車通りキャンパスに移転してしまっており歴史のある建物しか残っていないキャンパスだ。まぁ文系大学なので文系学部以外は無いのだが……
「地元の大学のサークルなんですね。失礼しました僕は高校一年の加藤と申しますこちらは二年の中原です。それで分け前なんですが……」
俺は刀とスーツの代金を稼ぐために粘り強い交渉を挑んだ。
………………
…………
……
「いやぁ大量、大量まさか100匹以上も居るなんて予想外だった」
「まぁタイミングが良かったお陰で、倒していない分約束通りに支払われたので御の字ですね」
マーマンもリザードマンもレベル2が推奨のモンスターではあるものの、本来のレベルは1の後半であり、マーマンは《魔法》を使用する事と高い素早さ。リザードマンは刃物を弾く程の硬い鱗と左利きで、怪力と言う戦い辛さを加味されての評価なのだ。
「新人さんの研修で追い立てられてアレだけ増えたって言ってましたけど……まるで私が助けられたスタンピードみたいでしたね」
「数的には似たようなものですね……JSUSAに報告上げます?」
「前回のスタンピードを”モンスターの異常発生”と言い切る団体に報告した所で、って感じは正直ありますよね。多分助けたサークルの人達が報告すると思うので私達はノータッチ……否、
「ありがとうございます。来年受験なのに大丈夫なんですか?」
「ちゃんとやってますよ? 参考書を読んで、過去問を解いているので大丈夫ですよ」
お嬢様学校に通っている彼女の事だ、きっと大丈夫だろ……
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