第101話ダンジョン攻略十一日目2
「そこまで便利じゃないですよ……エアリアルの盾……エスカッシャン程は便利じゃないみたいです。このこたちは四本しかないですし……【
また『三猿』には某バスケ漫画よろしく、幻の四人目がアジア各地で語られて居るらしく、日本では
師匠が疑問を口にした。
「『
「せざる、臭わざる、思わざる。があるらしいです。良源大師は『
「有名な猿って言うと、
「白猿神ハヌマーン、あとは日本の
流石国内有数うの大学に通う大学生と、サブカル女……情報の密度が濃い……
「まぁ《魔法》が強化される余地が残ってたって事で結果オーライって事で……」
「確かに四本が最大一三本になるって考えたら三倍以上ですしね。まぁ最後の一本は裏切りそうですが……」
「まぁ何にせよ。トモエちゃんの中・遠距離戦闘の性能向上は良い事よ。コータローをメイン近接火力と考えれば、二人でお互いの弱点を補えるような関係は最高だわ」
「そうですね。俺も中遠距離攻撃の方法が欲しいです」
――――とは言うものの俺は既に一つの中距離攻撃手段を編み出しており、もう一つの技を目下習得中である。
師匠にも中原さんにも驚いて欲しいので秘密にしている。
「折角だしもう少し奥くに行きましょうか?」
右回りのエリアも夏休みが始まって4週間を過ぎたため、以前までのボリュームゾーンになっていたエリアよりも、深い階層で戦える探索者の数も増えてきたた。
危険地帯とされている。ゴブリンエリアでさえもチラホラと他の探索者を見かける程度に飽和してきている。
俺たちは師匠の提案でより深い階層に足を運ぶ事にした。
「はぁ……見え見えの罠ね……」
「罠? どういうことですか?」
「もしかして俺の体質のせいですか?」
「これよこれ……」
そういうと師匠は、鞘から抜き放ったブロードソードの切っ先で虚空を指し示す。
「ん? 何もないじゃないですか?」と言う言葉が声に出かかるがそれをぐっとこらえ目を凝らしてみてみると、塗装され見えずらくなった糸が足元にピンと張ってある。
「これってどこを獲物が通ったのか? 判別するためのモノですよね?」
俺の疑問に二人が答える。
「そうよ。デス〇ートのシャーペンの芯を使ったモノやセロハンテープを使ったものが有名ね」
「現実でも家賃の取り立てなどで、ドアの部分に仕込む事があるらしいです」
流石雑学女子達……無駄な知識を持っている。
「コレどういう意図だと思います?」
自分の中で多分コレじゃね? という予想はあるものの取り合えず博学な女子二人に質問をしてみることにした。
先ず答えたのは、中原さんだった。
「亜人系モンスターによるものでしょうか? コータローくんと一緒にいると遭遇する亜人系モンスターからは、知性のようなものを感じます。このような古典的な罠なら使ても不思議はないように思いますが……」
自信がなさそうに中原さんは答える。
中原さんの意見で俺は確信を持つことができた。
俺は最初のゴブリン戦以外敵が強化された個体なのか? されていない個体なのか? 全く分からない状況にいるので、中原さんでもモンスターの仕業と言い切れない事を踏まえると、答えは一つしかない。
「確かにモンスターであると俺も信じたいけど……多分コレは人間の仕業ですよね?」
俺の意見に師匠も同意する。
「ええ、恐らくは強盗の類ね。約24時間でダンジョン内にある生物の死骸はダンジョンに吸収される。これを悪用すれば完全犯罪が出来るわ……」
人間の可能性も考慮していたのだろう。暗記で試験をパスした俺とは異なり、キチンと試験をパスした中原さんはダンジョン内に適応される法律にも詳しいようだ。
「ダンジョンは法律上の定義では危険失踪に分類さるので、家庭裁判所に申し出れば、普通失踪の七年に比べ一年という極短期間で死亡とみなす事ができます」
「オマケに死体は海や山に捨てるのとは異なり発見されるリスクが少く、人目も少ないので殺すところを発見され辛いというメリットもありますしね……」
何故こんなに詳しいのかというと、中学生活でムカついた相手をダンジョンで殺すという妄想をして、ストレスを発散していた時期があるからだ。
約24時間死体をダンジョン内で死守すれば、殺害したという証拠は凶器ぐらいしかなくなるからな……
「でどうする? アタシはアタシたちが被害に会っている訳ではないから見過ごしてもいいと思っているんだけど?」
確かに師匠の言葉にも一理ある。特に俺は大会を二日後に控えた身……万全を帰すのなら些末な事にかかわるべきではない……
「立花さん。俺は妹の為なら人を殺す覚悟でこの夏を過ごしています。丁度いい訓練だと思いませんか? 本気で殺しに来るかもしれない奴と白刃を交える……コレ以上の経験はありませんよ」
俺は訴えかけるように語りながら、自分で言っていて冷や汗が滲むのを感じる。
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