ダンジョン攻略八日目と新たな仲間アフター『ラーメン』と『修行』と『ウラオモテ』1-7

第77話家系ラーメン1

 帰りに何体かのモンスターを狩りながら、出入口に向かう。

 駅の改札口のような機会にライセンスをかざし、入退場の時間を記録すると、バーがカシャと音を立て開き先に進む。


 買い取りカウンターに付くと、発券機で券を受け取ってお待ちください。とアナウンスがかかる。

 モンスターの体液を浴びているのだが、それは良いのだろうか? ものの5分ほどで自分の番号が呼ばれる。



「券番号 347番でお客様、買取窓口3番までお越し下さい」



 自動音声を繋ぎ合わせているせいで、所々とぎれとぎれだ。



「お待たせ致しました。拾得物をこちらにお願いします」



 受付の人がそう言うと、カウンターの下の部分が空き魔石や拾った武器屋防具と言った荷物が吸い込まれていく。



「ライセンスと振込先の銀行カードをお願いします」


「均等割りで良かったですか?」


「はい大丈夫です」



そう言うと二人はライセンスを提示する。



「確認いたします……武器や防具がありますね……買い取りで宜しいですか? 」


「大丈夫? 手伝いましょうか?」


「はい。大丈夫です」


「分かりました。申し訳ありませんが、マジックアイテムやそれに類似する品の買取査定には、確認作業に少々時間がかかります。今この場で査定額を算出する事が出来ないので、お預かりしさせて頂き、後日査定額を通知するという流れに、なりますがご了承ください」


「魔石の買い取りが35000円で武器・マジックアイテムが未定になります。1,2週間で査定が完了しますのでその時にお支払いいたします」


「お預かり証明書にサインお願いします」



 証書にサインをする。



「こちらがお控えとなっています。なくさないようにお願いします。パーティーメンバー見つかって良かったですね……本日は御利用ありがとうございました」



 買い取りカウンターのお姉さんはそう言うと礼をした。



「お知り合いなんですか?」


「顔なじみってかんじかな、パーティーを組んだ方がいいよってずっと言われてたし……」


「なるほどそう言う事ですか……すいません少し時間がかかると思うのでロビーで待っていてください」


「分かりました」



 こうして俺達は更衣室で暑いシャワーを浴び血や汗を流した。


………

……



「どこか? 行きたいところはありますか?」



 優柔不断ではいけないと、ネットの記事で見た事があるきがするが、実質初対面なのだ相手にも気を遣う。



「そうですね……汗もかきましたしここは、ガッツリ豚骨ラーメンが食べたいです」


「じゃぁ家系ラーメンでも食べにいきましょうか?」


「いいですね。家系ラーメンご飯が付いているとなおいいですよね!」



 どうやら家系ラーメンのヘビーユーザーのようだ。



「ここなんてどうでしょう?」



 スマホに表示されたお店は、1500円でMaxラーメンと言う味玉、ウズラ、メンマ、チャーシュー、海苔、ほうれん草の乗ったラーメンと大ライスの付いた。セット食べられると言う比較的お手頃な店だった。 



「いいですね……それに敬語なんていりませんよ。命を助けてもらった人ですし、おまけに今はパーティーメンバーなんですから」



 そう言った彼女の頬は赤らんでいた気がした。



「じゃ、じゃあ遠慮なく……じゃぁ行こうか?」



 赤い看板の店に付く、暖簾をくぐり店内に入ると券売機で食券を購入するシステムのようだ。

 注文するのは当然1500円の醤油味のMaxラーメン、そこに+100円で大盛りに変更しテーブル席に座る。



「いらっしゃいませ、麺の硬さ、スープの濃さ、脂の量はどうしましょうか?」



 店員がカスタマイズ部分を訪ねてくる。

 今日はどうしようか? いつもは普通、濃いめ、普通なのだが、今日は麺大盛り……食べている間に伸びる事を考えて硬めにしようかと悩んでいると……

 静寂を破ったのは中原さんだった。



「では、硬め、濃いめ、多めでお願いします。あとライスは一番多いモノを」


「畏まりました。麺大盛りのお客様は……」



 硬め、濃いめ、多め……それは『早死に三段活用』と称されるそれは、プロのシーバス釣り師として活動するRED中村氏により開発されれた食べ方で、卓上調味料として置かれた。ニンニクチップ、擦り胡麻、そして大量の擦り下ろしニンニクを加えて食べると言う健康に害悪しかない食べ方を差す。



「もちろんここは、硬め、濃いめ、多め……家系ラーメン。早死に、三段活用基本ですねぇ。」



 と言いながらキマッた邪悪な笑みを浮かべる。



「少々お待ちください」


「楽しみですね。家系ラーメンなんて久しぶりです。加藤君は良く来るんですか?」


「探索者になってからストレス発散を兼ねて、良く外食をするようになったけど基本は家で食べるかな……作ったりもするし」


「料理が出来るなんて凄いですね……私も花嫁修業として習っているんですけど得意ではなくて……」


「技術がある程度あれば、調味料が誤魔化してくれるよ日本の調味料メーカーは優秀だから」


「確かにそれもそうですね」


「あ、来たみたいです」



 横浜家系ラーメンが着丼すると、家系ラーメン特有の豚骨と鶏油の香しいかおりが鼻孔をくすぐる。



「あらやだおいしそうやだ〜!」


「いただきます」


「イタダキャス……」

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