第24話 暗躍2 ????視点
「よく留まった。君に敬意を表する」
多少加減して「 」を彼ごと、炎で焼き払う。
「ぎゃーーーーーーー!!!!!!! hidosfdfvnz;vhjk!!!!! あっあぁぁぁぁぁaaa!!!!!!!!」
汚い上にでかい叫び声に辟易しながら、不思議そうにしている彼に話しかける。
「やぁ。さっきぶりだね♪」
「あんたは……さっき俺の背中を摩ってくれた人、だよな?」
「そうそう!
「……狩人連盟」
「いやぁ~さっきは馴れ馴れしくして申し訳ない。でも、辛そうにしてたから心配でね……。つい、追って来ちゃった♡」
彼との距離を少しでも縮められたらなぁ~と思いながら、茶目っ気たっぷりな言葉を選ぶ。
「……。まぁ、なんでもいいよ。そんなことよりこの炎──何で熱くないんだ? ……そいつには効いてるみたいだけど。それに、そいつなんなんだ? さっきまでは俺……」
「まぁ、詳しい事はおいおい話すけども、とりあえず簡単に説明しよう。とりあえず、この炎は俺の特別性で悪い奴しか焼かない! そして、そこのはすっごく悪い奴! おまけに────」
言葉をいったん切る。生き汚く藻掻き、この場を切り抜けようとする「 」の四肢を飛ばす。
「gyaaaaaaaaa!!」
「うるっせぇな! ったく、俺が逃がすわけ無いだろ? 流石に見くびり過ぎだ」
「……ふふふっ、女相手に容赦のない人。それに、男と女の
「抜かせっ。彼がお前の甘言に耐えた時点で、完全に詰みだ。もうお前にとれる手段はない」
「……あぁ、口惜しい……。あと少しだったのに。あの坊やを手中に収められたなら、貴方相手でも多少は抵抗もできたでしょうに……」
「ねぇ、坊や? 何故あの時止まってしまったの?」
「 」が彼に問いかける。彼に答える義理はないし、封殺しようかとも思ったが……。
彼自身が言葉にすることを望んでいるような素振り見せるため、様子を見るに留める。
油断ならない連中だから、あんまり話させたくはないんだが……。
「……死んだ母さんの声が聞こえたから。多分、気のせいなんだと思うけど……。聞こえたんだ……
「……くくっ、あっははははは!!! なによそれっ!! とんだマザコ────gyaaa!!! 熱いぃいぃぃ! いたぁいぃいぃぃっ!!!」
「
胸糞悪い。
俯きがちになる彼にどんな言葉をかけてあげたらいいだろう。
彼の言葉から察するに彼は母親を亡くしてるのだろう。それに、彼に会ったときの憔悴具合からすればもしかしたら……。
彼と同じ苦しみを知らない俺の言葉は実に空虚なものだろう。あまり知ったような口を叩くのは……。
だが、彼が深く傷つきながらも「 」を退けられたのは、
連中は酷く精神的に弱っているものの前に現れる。そして、甘い言葉や魅了の魔術をはじめとし、あらゆる手段を用い、弱った心を誘惑する。
跳ね除けられるのは少数……。殆どは処分の対象。
皮肉にも強い魅了にかかった彼は、「 」の中に最愛の母親を見たのかもしれない。それがきっかけになった。
違和感が原因なのか、極度のトランス状態が原因なのかは定かではないが、彼は本当の母親を強く思い出したのだろう。
彼の一途なまでの思いが結んだ奇跡なんだろう。だから少しだけ──彼に
「名前を聞いてもいいかな?」
「……優斗……天城優斗」
「あまぎ ゆうと君か。いい響きだね」
「……」
「君がさっき言ってたお母さんの声──」
「俺の幻聴だったんだろ……。我ながら呆れるよ……。母さんどころか、家族なんてみんなもういないのに、ずっと忘れられない。思い出しても辛いだけなのに……忘れるなんてできない。……家族と過ごした時間が恋しくてたまらないんだっ!!」
彼の慟哭を聞いているだけで、彼の心情を想像するだけで、心が張り裂けそうになる。
『……力を貸してもらえるか?』
『主の望むがままに振るうといい。それが私の望みであるから』
『……助かる』
「いや、それはきっと幻聴じゃない」
「はっ?」
「ゆうと君。実は、俺はね、かなり凄い存在と契約をしてるんだ。そのおかげで人には持ちえない能力がある──今日のことは、内緒だぞぅ♪」
「……あんた何をいって──」
困惑する彼の言葉を無視して強引に彼の胸に手を当てる。彼の眼を見て告げる。
「騙されたと思って──俺を信じてくれ。頼む」
……嫌だって言われたらどうしよう……。なんも考えてない……。でも、きっとこの子は──
「…………いいよ、わかった。あんた、信じてみる……」
「……ありがとう。強く家族のことを思ってくれるかい」
「……そんなの必要ないよ。俺はずっと家族のことしか──」
奇跡を叶えるに足る莫大な魔力を一気に練り上げ、魔術を行使する。「不死鳥」由来の淡い輝きを帯びた炎が彼を優しく包み込む。
……俺にできるのはここまで、この炎は奇跡を起こすための呼び水。
「不死鳥」といえど、軽々に死者を蘇らせることなど不可能。
だけど、彼の思いが、家族の絆が、一時だけ彼に奇跡を見せてくれるかもしれない。
この炎の中で彼が幸せな時を過ごせていることを心から祈る。
まぁ、俺は確信しているがね。彼と家族の時間に余人が入るのは野暮だろう?
俺は、残りの仕事をこなそう。
どうかよい夢を──
なんだろうこの炎、凄く心地がいい。とても温かい──
「「「「「優斗」」」」」
「兄ちゃん!」
「! あぁぁぁぁぁっ!! 母さん? 父さん!? 兄ちゃんっ! 海斗! じいぢゃん! ばあぢゃん! みんなっ!!!!」
*後書き
大幅な変更もうしわけないです!!
なんか涙流しながら書いた。こんなことあるんだなぁ。
上手な文章にできないかもだけど、伝わるといいなぁ。
読んでくださりありがとうございます。
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