昼休みは生徒がみんないなくなる

昼休み。


国立仮想電子高等学校は昼休みになると生徒がいなくなる。

みんな昼食をとるためにログアウトしているのだ。


仮想世界でも物を触った時の感覚や味覚、匂いなどを感じることができるのだが、本体は寝ているだけなので、どうしても定期的に栄養を摂取する必要がある。


そのため、昼休みはログアウトすることを学校としても生徒に義務付けているのだ。栄養失調で倒れたりしたら大変・・・というところだろう。


そして俺も今はログアウトしてリビングに用意してあった昼食をとっている最中だ。


今日の昼ごはんは母が作っておいてくれたカレーとサラダだ。

食事は栄養を摂取するための行為としか俺は思っていないのだが、母としては少しでも感情豊な人間になってほしいと言い、いつも食事はしっかり作ってくれている。確かに俺はそんなに喜怒哀楽が激しい方ではないが、これでも感情はあるんだがな。


ちなみに俺は母と俺の二人暮らしだ。父と妹はまあ、いろいろあっていなくなった。そのため母は日中、仕事に出ている。


俺が昼食をとっていると、スマホのバイブレーションがなった。

スマホを確認してみると、クラウドから「今日のクエストどうするお?」とメッセージが届いていた。


俺は食器を片付けつつ、学校が用意した専用のチャットアプリを起動し、


「今日は狩り系のクエストにしよう」


と返信をする。


俺が送信ボタンを押したと同じくらいのタイミングで


「おっけー!そしてたら昼休み明けにクエストの申し込みをしようぜ♪相棒♪」


と即レスがきた。


クラウドは基本いつも即レスだ。

なんでもマメな男はモテるから俺はメッセージは3秒以内に返すのもモットーにしている・・・とのことらしい。


そんな即レスだと逆に女性もびっくりする気もするが、まあ俺には関係がないのでそっとしておこう。(クラウドが事実に気づいたときの顔をみたいというのもあるがな)


そんなことを思いつつ、俺は専用アプリの画面からクエスト検索用の画面にアクセスし、今日受注ができるクエストをざっと眺めてみた。


ちなみにクエストは、学校側が公式クエストとして準備したものもあるのだが、生徒がクエストを発注することもできるようになっている。


生徒がクエストを発注するケースは素材集めを効率的に進めたい場合や、スキル習得に協力してほしい場合など様々だ。


俺はクエストの一覧をざっと確認し、[[ゴブリンを一緒に討伐してくれる人募集!]]というクエストを発見した。


「このモンスターを倒せば、新しい装備の材料が全部そろうな・・・」

と独り言をいいつつ、そのクエストの詳細を確認するとなんと発注者はクラスメイトのあみんだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ひきこもりだが学校に通っている @johnamatsu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ