第4話 なんで?
そんなこんなで。
課題提出のたびにモヤモヤした問題はなんとか解決した。
朋ちゃんのように、最初から都合のいい子として目を付けられないようには振舞えていなかったけれど。
今は変な子を過去も含めて整理したから。
朋ちゃんと同じスタートラインくらいにはたてたかな?
どうやって恋愛に持ち込んだらいいかはちっともわからないけれど。
とりあえずこういう時は自分ができる努力をしよう。
これまでと違って、終わりのないものではなく。
努力すれば成果が少なからず自分にもたらされるだろうし、努力は無駄にならないはず。
こうして私は彼氏を作るために女子力を上げることにした。
とりあえず手を出したのはメイクだ。
今の私のメイクはというと。
化粧水、乳液、化粧下地、ファンデ。ほんのり色がつくリップ。眉ペン。
そして、とりあえずお店で手ごろな値段だからと購入したアイシャドウ。
とりあえず最低限はあると思っていたのだけれど。
メイク動画をみて私はいかに自分が最低限しかメイクしてないことを理解した。
化粧下地っていろんな色があることは知っていたけれど、肌に直接ファンデーションなどがよくないかな程度で。
ニキビ跡やクマをカバーしてみようとかあまり考えたことがない。
私のメイクって綺麗になろうというよりかは、皆しているからとりあえずそれなりって感じだったのかもと思いだす。
それにカラコンって明らかに付けてますっての以外に、さり気ない気持ち瞳が大きくなる程度の物があるとか次々と新しい発見があった。
ブラックバイトのおかげで少々貯金があるからと次のバイト探しをサボっていたけれど、これは本格的にいろいろ揃える必要あるかもと思うとバイト早めに何か探したほうがなど出てくるが。
とりあえず、恋に発展させるために化粧能力を向上してから、新しいバイト先にいくほうがよさそうだと私は考えていた。
理由としては、『さのさの』で同時期にはいった、美容専門学校に通っていたリリコちゃんのことになる。
リリコちゃんは、美容専門にいっているだけあってすごくかわいい子だった。
同じバイト先に同じくらいの時期に入ったにも関わらず、私は皆でワイワイ遊ぶだけでおしまい。
方やリリコちゃんはバイト先の男の子から好意を明らかに寄せられていたもん。
かわいいと相手からのアクションの数が絶対違ってくると思う。
今の私のままだったら、皆で遊ぶメンバーには入れてもらえても、恋の相手としては見てもらえない。
予算を考えつつ、色のついた化粧下地やメイク動画を参考にいろいろ値段が手ごろなのをそろえてみよう。
ということで、電車で20分。
大型施設が並ぶエリアへと足を延ばした。
駅から直結する形で、2つの有名デパートと1つの若者向け商業施設『ミラージュ』がある。
デパコスなんて到底買えない私は、ミラージュへと足を運んだ。
ちょっと恥ずかしいけれど。私はメイクのことをよく知らない。
私が一人で試行錯誤するよりも、上手な人上手くやれる人に恥ずかしいけれど教えてもらってのほうが効率がいいことを気が付いたこともあり。
いつもなら、店員さんに話しかけられたくないから。
店員に話しかけられないようにパパっと買い物を済ませたり。話しかけてくる店員がいないドラックストアでメイク用品を買っていたけれど。
今日はちゃんと店員さんにみてもらって、ブルベかイエベもいい加減白黒つけてもらおうプロの力に頼るわよ! 意気込んでいた。
ものすごく緊張していたけれど、恥をかくのは一瞬、 一瞬と言い聞かせて話しかけると、仕事だけあって丁寧に教えてくれるし。
自分がブルベ系だということがわかって、それを参考に色味を選ぶといいとアドバイスをうけて教えてくれたお姉さんのお店でいくつかと、後はプチプラでこういう色味をかうといいよと言われたのを参考に、こちらはドラックストアで手ごろな値段の物をそろえることにした。
選んでくれた店員さんにお見送りしてもらって、お店を後にすると。
私はどっと疲れていた。
店員さんと普通に話せるようにかなり気を張っていたせいだ。
店員さんとすんなり話しかけられて、仲良くできる子がうらやましい。
私の隣のブースで、私とは違い雑談なんかもしちゃうコミュ力の塊みたいなのをみつけて、私って頑張ろうとしているけれど、素でできちゃう子とは違うことをまざまざと感じてしまった。
私の場合がんばろうって気合をいれて、話している間もどこか緊張してしまうのにこの差は一体……
楽しい子になろうと思っているけど。素のタイプが違う私には難しいな。
本当ならお金がもったいないから、まっすぐ家に帰りたいところだけれど。
カフェで甘いフラペチーノとかホイップもりもりで楽しみたい、いつもの自分ならしないこと頑張ったし。
ストレスを発散したいという思いが出てくる。
甘味を求めて足を運んだカフェの前で私は思わず立ち止まった。
店内はそれなりにお客さんがはいっていて、ちょっとしたコミュニケーションを店員同士でとりつつも和気あいあいと客をさばいていく。
180cm近い長身ゆえに、お客さんが列を作っていてもばっちりと顔が見えた。
髪色はそのまま、髪型がセンター分けに変わっていたけれど。何度も思い出した塩顔イケメン。
「あちらの灯りの下でお待ちください」
そういって笑うと左側にだけエクボが現れた。
――――ヨッシー先輩。
もう会うことはないと思っていた、会いたかった好きな人に出会ったテンションはすぐに叩きのめされた。
「はい、こちら……」
これまた聞き覚えのある声に視線を移すと、そこには長い髪をお団子にしてなれた手つきでドリンクをお客さんに手渡しする、『さのさの』の元バイト仲間リリコちゃんがいた。
嘘……
私の頭の中は、二人の登場でぐちゃぐちゃになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます