第80話
「ここは?」
「レオ! 正面っ!」
「皆んなこっちへ」
「セリシェール灯を!」
光の柱の中から姿を現した
「
「駄目ぇ!!」
悲痛な叫びとその瞬間を見たくないという思いから瞑られた
恐る恐る目を開けた二人の眼前にはエイシャとアフェクトがいた。
「リイサ治療できる?」
離れたところにいる者には聞き取れない声量で問いかけられたその言葉に首を振って答える。
「わかった。治療する」
エイシャとアフェクトが三人の元に駆けて行ったあと。光の陣から一歩踏み出した
「これは返すよ」
そう言ってドラゴン(石像)に向けて翳した右手からさっきの岩塊が撃ち出された。ドラゴン(石像)が身を躱したことで正中を捉えることはできなかったがそれでも右半身を吹き飛ばして瓦礫に変えた。
「レオ、あの石を壊して」
「わかった」
駆け出した
ガキン、ガキン、バチン、バチンと石礫がドラゴン(石像)を穿ち、石礫同士が弾き合う。そしてドラゴン(石像)の体内で淡く光を放っていた石に渾身の力を込めて解体ナイフを振り下ろした。
キィーンと澄んだ音が響いた。
そのあとにチンと音を立てて
「あっ!?」
尚も光を放つ石を包むように集まってくる石の間に手を突っ込んで
次の瞬間、ドラゴン(石像)を形成していた石が崩れ落ちた。
「
「
「二人とも間に合ったかな?」
「うっ……」
「わぁあああ」
ドラゴン(石像)だった瓦礫の中で膝を突いていた
一頻り泣いて落ち着きを取り戻した二人が恥ずかしさに顔をあげられなくなっているところにエイシャの肩を借りたミドヴィスとアフェクトが加わった。
ミドヴィスの折れた腕はエイシャによって回復していたが失った体力までは回復できていない。それは
「さて、あっちの衛兵達はどうしようか?」
「買ってきてる傷薬を渡しておけば?」
「回復魔術はマズイか、やっぱり?」
「ん、やめた方がいい」
「私もそう思う」
「じゃあ、傷薬と携行食を渡してくることにしようか?」
「ねぇレオ。急いだほうがいいんじゃない? 光が弱くなってる」
「ヤバっ! 皆んなは先に陣の方に行ってて」
このあと衛兵達の前にバッグに入っているのがおかしい程の量の傷薬と包帯がわりの布。携行食を山積みにして慌てて
全員が朽ちた祠の前で目を覚ました頃になると森の中から覗く空も朝焼けで鮮やかに染まってきていた。
明るくなるにつれて
「それならこの祠の裏に泉があった筈」
セリシェールの言葉を聞くや否や二人は駆け出して、まもなくザブンという音と「うひゃあ」「冷たぁい」という叫び声が聞こえてきた。その二人を追いかけていったミドヴィスは飛び込むことなく濡らした布で身体を拭くのであった。
「結局、あの光がどうしたかったか分からなかったんだよね」
水浴びを済ませた三人が戻ってきて朝食を食べ終えたところで溢した
「ええと、実はこの祠に来たのは……」
これまでの経緯を三人に説明する。
【説明中】
「そんなことがあったんだ……」
「でも、そのおかげで助かったんだから結果的にいい存在だったんだよ」
「やっぱり導きの光だった? レオは特別?」
「うん、そうだねアレは変だったよ。なんで咄嗟にあんなことができたんだ……」
セリシェールがブツブツと何か呟き、アフェクトが大きな岩塊を収納して撃ち返した時のことを振り返って遠い目をしている。けど、ああするしかなかったし、結果的に全員無事だったからいいじゃないか。
まあ、装備は新調する必要があるけど。
「レオの愛用の解体ナイフも刃先から半分ほどで折れたからこの際新調したらどうだ? もちろん武器も」
「うっ、ん、まあ、また折れるの嫌だしなぁ、でも、こんなのってまたあるの?」
「無いとは言い切れないんじゃないか? ルゥビスを襲った大型獣の話を聞くだけでもありえないことが起きているのは間違いないからな。備えておくに越したことはないと思うぞ」
「アフェクトに言われると重みが違うなぁ、さすがルビー(A)。経験の差が感じられる……」
「揶揄うなよレオ。それで武器ができたら手合わせしよう! レオ、いい線いけそうな動きしてたからな」
「あ、うん、まあ、お手柔らかに……」
「ヨシ、言質は取ったからな」
「ん、そろそろ出発しないと夜までに森を出られない」
「そうだね。帰ろうか」
来た道を随分ゆっくりと時間をかけてアンクロの街に戻った
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