第36話 底が知れない
ビーチでたっぷりハシャいだせいか、みんな食欲旺盛だ。
「う~ん、焼きそばおいち~♡」
俺のとなりで、リナちゃんがご満悦な様子で言う。
「なるほど、リナ先輩はよく食べるから、そんなに育つんですね」
「でも、きっと運動不足だから、その内お腹が出て来るよ」
星宮さんと七野さんが言う。
「確かに、ここんところ、運動不足だったよ~。補習地獄で、ショータとエッチ出来なかったし」
「ぶふっ!?」
俺は瞬時にむせた。
「ゲホッ、ゴホッ!」
「やん、ショータ大丈夫ぅ?」
「だ、大丈夫だよ」
「背中さすってあげようか? おっぱいで♡」
「ゲホッ、ゴホッ!?」
「おーい、リナぱい。彼氏くんが死んじゃうぞ~?」
「や~ん、そんなの困るぅ~! あたち、もうショータがいないと生きて行けないカラダなのに~!」
「良いな~、リナめちゃゾッコンじゃん」
「そんなに良いなら、ちょっと貸してよ」
「嫌よ、あんたらみたいなビッチに貸すなんて」
「ひどっ」
「てか、リナだってビッチじゃん」
「ビッチじゃないもん! あたし、ショータしか知らないし」
「じゃあ、彼氏ヤリ◯ン」
「それなら許す♡」
「こら、あなた達。食事中にはしたないわよ」
「ところで、マコちゃん。ナンパされた?」
「……私、教師だから。そういうチャラチャラしたこと、知らないから」
「でも、1人でこれ見よがしにアピールしながら歩いていたけど、誰も声をかけてくれなかったんでしょ?」
「う、うるさいわねぇ~……別にアピールなんてしていないし……やっぱり、年齢かしら」
「大丈夫、アラサーでも、まだまだイケるって♪」
「うるさいわよ、小娘。リア充だからって、調子に乗らないの!」
「ごめんちゃ~い♪」
リナちゃんを中心に、ランチタイムでも騒がしい。
けどそんな中で、芽衣ちゃんは変わらず大人しい。
ていうか……
「
「えっ?」
「何か元気がないというか、お前らしくないな? 最初はテンション高かったのに」
「……いや、別に。ただ、なかなか良い女がいないなって」
「はぁ~? 大貫、目が節穴なん~?」
「うちらがいんじゃん」
「身内とか、気が乗らないな~」
「何かムカつく。じゃあ、いっぺんパコってみる?」
「そうだ、そうだ~」
「って、あなた達、下品よ!」
「マコちゃんも、一緒にどう?」
「えっ? いや、生徒が相手とか……ダメよ」
「何かまんざらでもなくない?」
「まあ、大貫って、顔だけは良いから」
「でも、粗チ◯っぽいよね~」
「うん、その通りなんだよ~」
「おい、舞浜。お前、見たことねーくせに、余計なこと言うな」
「ちなみに、ショータのは大貫の3倍はあるから♡」
「「「「「えっ?」」」」」
女性陣の視線が、一気に俺に集中した。
「あ、あの、そんなに見ないで下さい……」
俺が弱々しく抵抗した時、
「……仕方ないわよ。男が女の胸の大きさが気になって仕方ないように、女は男の性器の大きさが気になって仕方ないから」
上品に冷やし中華をすすっていた芽衣ちゃんが言う。
「め、芽衣ちゃん……」
「だから、大して胸が大きくない私は、あまり注目されないわね」
「いやいや、メイちゃん何を言ってんのさ。それさえ凌駕する、超美人さんでしょ?」
「そうだよ~、ちゃんメイ」
「自信を持ちなって~」
ギャルズに慰められる芽衣ちゃん。
「え、ていうかさ、この際だから聞いちゃうけど……佐伯ちゃんって、大貫と付き合っているんだよね? ぶっちゃけ、何でって感じだけど……」
七野さんが、遠慮がちに言うけど……
「……ごめんなさい。隼士くんとは、もう恋人の関係は終わって、今はお友達なの」
「あ、そうなんだ。それは良かった。でも、友達もやめた方が良いと思うけどね~」
「おい、七野。お前こそ、オレと交わって、良さを教えてやろうか~?」
「いや、ごめん。あたし、初めてがチャラ男とかないから。初めては、加瀬ちんみたいな純情くんが良いし」
「ちょっと、のぞみん。あたしのショータはダメだよ?」
「ごめん、例え話だから。でも、アレがおっきい彼氏って、羨ましいかも」
「あー、ちくしょう。バイトして金貯めて、サプリ買おうかな~。あるいは、改造手術するとか」
「こら、大貫くん。それは教師として、見過ごせません」
「え、なに? じゃあ、マコちゃんが相手してくれんの?」
「ごめんなさい、私もはじっ……やっぱり、真面目で可愛らしい人が良いから」
「ぷはっ、大貫モテなっ(笑)」
「うるせーよ、牛ギャルが」
「あ~、セクハラなんですけど~?」
「ちげーし!」
と、何だか隼士が可哀想なことになっていた時、
「……確かに、隼士くんのアレは小さいけど。その他のテクは抜群よ」
芽衣ちゃんが口を開くと、また乱れた場が落ち着く。
「いや、まあ、それは聞いているけど……」
「てか、佐伯ちゃん、大貫とは経験済みなんだ?」
「ええ、まあ。今まで経験した男の中で、隼士くんは上位に来るわ」
「えっと、ちなみに経験人数は……」
「20人くらいよ」
「……マジで?」
衝撃で七野さんが硬直する。
星宮さんも、両手で口を押えていた。
篠原先生に至っては、何だか灰になりそうな勢いだ。
「さすが、ちゃんメイ。清楚ビッチの貫禄だね~」
「また良い男でも紹介してよ~」
ギャル2人が言う。
「ええ、良いわよ」
芽衣ちゃんは微笑む。
そんな彼女を、隼士はどこかポーッとした目で見つめている。
「隼士、大丈夫か?」
俺が声をかけると、
「えっ? ああ、まあ……平気だよ」
返事に力はない。
けど、決して元気なく、覇気がない訳ではない。
何だか、その内でふつふつと沸き立つような、熱情を感じた……気がする。
「さてと、いっぱい食べた分、午後もいっぱい遊びましょう」
「うん、そうだね~。何する?」
「スイカ割り」
「え、もうしたじゃん?」
「まだ残っているでしょ? ここに♡」
「って、あたちのおっぱいを指差して言うな~!」
「「よし、やろう」」
「ほえっ!?」
「リナぱいの巨乳を潰せば、相対的にあたしの巨乳ランキングが上がるな……よし」
「おい」
「リナ先輩のおっぱい、正直コンビニの狭いレジ中だと邪魔なので……成敗しちゃいます」
「なぬっ!?」
「若くて可愛くておまけに巨乳とか……お仕置きしないといけないわねぇ~?」
「ひっ、ひぃ~!?」
何か、リナちゃんが
「うわ~ん! このおっぱいが無くなったら、ショータに愛してもらえなくなるぅ~!」
「だ、大丈夫だよ、リナちゃん。例えそのおっぱいが無くても、俺は……リナちゃんを愛しているから」
「本当に?」
「うん、本当だよ」
「えへへ。じゃあ、あたし、貧乳になっても良いや」
「「「「「「ちっ……」」」」」」
何か結局、リナちゃんの周りが敵だらけなの変わらないけど。
「うふふ」
とりあえず、何よりも、芽衣ちゃんの底が知れなくて怖かった。
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