第25話 リナの異変

 放課後。


 教室がゆるやかな喧騒に包まれる中。


 俺は帰り支度をしていたのだけど……


「……ショータ」


「リナちゃん?」


 何だか、うなだれた様子の彼女が俺のそばにやって来た。


「ど、どうしたの? どこか具合でも悪いの?」


「……胸が苦しくて」


「む、胸が……?」


 俺はハッとする。


 先日、俺はつい調子に乗って、リナちゃんのギャルパイを揉みまくってしまった。


 まさか、そのせいで……?


「ねえ、ショータ……ちょっと、付き合ってくれる?」


「わ、分かった。責任を持って、付き添うよ」


 病院に行くんだな。


 クソ、俺はなんて最低の彼氏なんだ。


 愛する彼女をこんな風に苦しめて。


 この卑しい手を、誰か切り落として欲しい。


 それくらい、俺は自分の性欲にかまけた暴走を後悔していた。




      ◇




 ガヤガヤと賑わっている。


 病院……ではなく、ショッピングモールが。


 そして、男の俺が場違いなところに佇む。


 色鮮やかな、下着が並ぶ。


 かっこ、女性の……!?


 お、おい。


 いくら、俺が童貞を卒業したからって、イケメンみたいに何気なく来るレベルじゃないぞ!?


 ていうか、リナちゃん、胸が苦しいって言うから、てっきり病院に行くかと思ったのに……


「ショータ、おまた~♡」


 先ほどまで、ずっと苦しそうな表情だったリナちゃん。


 けど、今は晴れやか、にこやかスマイルちゃんだ。


 一体、何があったのだろうか……?


「リ、リナちゃん。一体全体、何がどうなっているの?」


「ん? あのね、今朝からずっと、胸が苦しくて」


「うん」


「それで、さっき胸のサイズを計ってもらったら、育っていたの」


「ほ、ほう?」


「で、何と……GからHカップに進化していました♡」


「…………」


「ショータ?」


 俺はプルプルと、体が震え出す。


「――でっか!?」


「きゃんっ!」


「あっ……」


 焦って周りを見渡すと、お姉さん方が好奇の目を向けていたので、すぐに死にたくなった。


「ご、ごめん、リナちゃん……」


「ううん、平気よ。で、改めて感想は?」


 問われて、俺は自然とリナちゃんの成長したという、Hなギャルパイに目が行く。


 たぷぷん、と音を奏でるかのような、この存在感が……


「……たまらん」


「きゃはっ♡」




      ◇




 その後、改めて、リナちゃんのお家にお邪魔した。


「ていうか、今回あたしのおっぱいが急成長したのは……ショータのおかげだと思う」


「お、俺の?」


「うん、そのゴッドハンドで、しこたま揉まれたから♡」


「ゴ、ゴッドハンドって……そんな、まだ大したテクとかないよ?」


「まあ、ぶっちゃけ、細かいテクはこの前のメイちゃんの方が上だけど……何ていうか、その温かみ、存在感が……もはや、神なんだよ」


「そ、そうかな?」


「でも、困ったなぁ~。これから、ショータのゴッハンで揉まれまくったら……リナのおっぱい、まるますおっきくなりすぎて、爆発しちゃう」


「そ、それは困る!」


「ぷぷっ、ウケる。まあ、冗談だけどさ。でも、ショータのゴッハンがすごいだけじゃなくて、あたしがショータのこと大好きで、愛しているから、ここまで育っちゃうの♡」


「リ、リナちゃん……」


 お互いに見つめ合うと、自然とキスをした。


「……でも、どうしようかな。ブラジャーって、サイズが大きくなるほど、値段が高くなっちゃうし……」


「そ、そうなんだ……」


「う~ん、あたち、バイトしようかな」


「えっ、バイト? 何をするの?」


 リナちゃんみたいなギャル子は、やっぱりオシャレな服屋の店員とか?


 もしくは、その可愛さと巨乳を活かして、夜のいけないお仕事を……!?


 って、ダメダメ! まだ、高校生なんだから!


 その乳はもはや、大人というか、グラドルも真っ青レベルだけど……


「コンビニにしようかな~」


「へっ? コンビニ?」


 何か、ちょっと意外なところが来たな。


「ほら、前にゴム買ったとこあるでしょ?」


「あ、ああ……」


 レジ打ちをしてくれたのが、若い女子の店員さんで、お互いに気まずかったなぁ……


「あの時、レジ打ちしてくれた子、若くて話も出来そうだし。コンビニバイトって、ちょっと憧れというか、楽しそうかなって」


「そ、そっか……」


 ま、まあ、コンビニバイトなら、大丈夫かな?


 いや、でも、可愛い女子の店員は狙われるって言うし。


 エロオヤジに……


『姉ちゃん、今度おれとデートしない?』


 ……クソが。


 俺の最高に可愛いギャル彼女に……


「ショータ、どうちたの?」


「あ、いや……」


 ここで俺が嫌だと言えば、リナちゃんはバイトをしないだろう。


 でも、そんな風に何もかも、彼女を束縛する男にはなりたくない。


「……が、がんばってね」


「うん、ありがと♪」


 リナちゃんは相変わらずのキュートスマイルで言ってくれる。


 俺はぎこちなく微笑みつつ、やはり内心では完全に不安を拭いきれなかった。






※限定ノートにて、リナ視点を公開します。


 よろしくお願いします。


https://kakuyomu.jp/users/mitsuba_sora/news/16817330653682727596




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